京都市右京区西院にキャンパスを構える京都外国語大学・京都外国語短期大学。
世界中から観光や学びを目的に多くの外国人が訪れる京都で、異文化交流が最も盛んに行われているのが、この京都外大といっても過言ではありません。
そんな京都外大の留学制度について「外国語大学だから、留学は必須?」「留学に挑戦したいけど、留学費用が心配……」など、詳しく知りたい人も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、京都外国語大学・京都外国語短期大学の職員さんに、留学制度についてお話を伺いました!
学内での学生の様子も伺うことができたので、京都外大に興味がある方はぜひ参考にしてください。
目次
京都外国語大学が掲げるビジョンは「『異なる』を愛せる世界をつくる」

── はじめに、京都外国語大学が掲げるグローバル教育の方針を教えてください。
本学は、「PAX MUNDI PER LINGUAS ー言語を通して世界の平和をー」を建学の精神に掲げています。
この精神に則ってカリキュラムを組み立てているのですが、「世界の平和」は非常に壮大な願いですよね。
そこで、より身近に感じてもらえるように、「『異なる』を愛せる世界をつくる」というステイトメントを掲げています。これには、「異なる」を楽しめる人、そして隣人を愛せる人になってほしいという思いが込められています。
これからは、学校や会社、地域といった身近なところに外国人がいて、一緒に仕事をし、生活していく社会になっていくでしょう。
ですから、異文化を正しく理解し、様々なバックグラウンドを持った人々と協力関係を築いていけるような人材を育てる大学をめざしています。
誰もが平等に留学にチャレンジできるのが京都外大の魅力

── 京都外国語大学の留学制度の魅力や特徴を教えてください。
本学の制度の魅力は、すべての学生が平等に留学にチャレンジできる環境が整っているところです。
たとえば、留学に伴う奨学金を広く受給しやすい設計にしています。
海外留学の奨学金を支給する大学は多いと思いますが、条件が厳しく、学生にとって受給するのが難しい場合もあります。
これでは、言語能力が非常に高い学生や、特に優秀な学生しか恩恵を受けられません。
本学の場合、選考試験の合格者全員に一律支給しているので、希望者には平等に奨学金が行き渡ります。
──「誰にでも平等に」という考え方がとても素敵だなと思いました。他にも、京都外大ならではの魅力はありますか?
外国語学部にはさまざまな言語の学科があるのですが、自分が専攻している言語以外の国にも留学することが可能です。また、国際貢献学部の学生を中心に、社会科学を中心とした専門分野を学ぶ留学も増えています。
協定校は40ヵ国・地域にあり、語学留学または学部留学のいずれかを169校の協定大学から選べます。
語学留学では英米語学科の学生が韓国に留学したり、フランス語学科の学生がフランス語も公用語であるカナダに留学したりすることもありました。
また学部留学を希望する学生は、英語で授業が開講していれば、英語が公用語ではない国にも留学することができます。諸条件はありますが、留学先を柔軟に選べるのは本学ならではのメリットです。
京都外大の留学制度「短期留学」「長期留学」「キャリア教育」を紹介

── それでは、京都外国語大学の留学制度について、詳しく教えてください。
留学制度は大きく分けて、「短期留学」「長期留学」「キャリア教育」の3つあります。
まず短期留学にはいくつかありますが、メインのプログラムは学部・短期大学生対象の「First-Step Abroad Program」です。
こちらは春休みや夏休みの期間を利用して、約3週間ほど行う語学研修です。日本から本学教員が引率するので、プログラム名が示す通り初めて留学に挑戦する学生にもおすすめのプログラムです。
短期でも一律5万円の奨学金が出て、単位も認定されます。2025年度はスペイン、フランス、イタリアの3ヵ国で実施します。
また、短期大学生向けの「夏期英語研修」というオーストラリアでの研修プログラムもあります。短期でありながら24万円の奨学金が支給され、単位認定も可能ですので、人気のプログラムとなっています。
それ以外にも、スペイン語やロシア語といった言語別の研修や、米国非営利教育機関SAF(スタディ・アブロード・ファウンデーション)が提供するフィールドワーク型のプログラムへの参加が可能です。

── 短期留学でも奨学金の支給や単位認定があるのはとても嬉しいですね。長期留学はどういったプログラムがありますか?
長期留学は、交換留学プログラム[派遣留学A]、セメスター・アブロード・プログラム[派遣留学B:英語留学]、ブリッジ・プログラム[派遣留学C:英語留学]があります。
なかでも学生が一番利用していておすすめのプログラムは、交換留学プログラム[派遣留学A]です。
協定大学へ1学期間(半年)または2学期間(1年)留学し、現地の学生とともに専門分野を深く学ぶ学部留学がメインです。留学先の授業料は免除され、さらに本学から奨学金が支給されることから、経済的支援が充実したプログラムです。
留学中も本学の在籍期間に含まれ、単位認定も可能なので、最長1年間海外で過ごしても、学部生は4年間、短期大学生は2年間で卒業できる点もメリットと言えますね。
派遣人数の枠があり、選考試験も行われますが、しっかりと準備をすれば交換留学プログラムに参加できるチャンスが全員にあります。
セメスター・アブロード・プログラム[派遣留学B]は、1学期間英語を集中的に学べるプログラムです。奨学金は支給されますが、留学先の授業料が必要となる点が交換留学プログラムとは異なります。
ブリッジ・プログラム[派遣留学C]は、最初の1学期間、語学コースで英語力をつけてから、次の1学期間は学部で現地の学生に混じって専門分野を学びます。
語学留学から学部留学とステップを踏むので、「最初からいきなり学部に入るのは不安……」という方は、こちらがおすすめですね。
その他、自身の目的によって行きたい大学を自分で選び、京都外大の単位認定が受けられる「認定留学」や、SAFの長期留学プログラムへの参加、卒業は延びますが、休学してより自由に留学する方法もあります。

── 一人ひとりに合った留学方法が選べるのですね。それでは3つ目の「キャリア教育」についても教えてください。
キャリア教育は、いわゆる海外で行うインターンシッププログラムのことです。2024年度はアメリカ、インドネシア、オーストラリア、シンガポールのプログラムがありました。
キャリア教育の中でおすすめなのは、「エアラインスタディプログラム」です。
客室乗務員が実際に訓練を受ける施設で受けられるプログラムなので、航空業界への就職をめざしている学生にはぜひ参加してほしいですね。
長期留学に行く90%の学生が奨学金を活用し、留学費用の負担を軽減
── 京都外国語大学の留学制度の魅力に、奨学金のお話がありました。奨学金について、より詳しく教えてください。
もちろんです。まずは短期留学の奨学金について紹介します。
メインのプログラムである「First-Step Abroad Program」は、約3週間の留学で一律5万円が支給されます。
また、短期大学生対象の夏期英語研修プログラムでは、約5週間の留学で一人につき24万円支給されるので、費用負担が軽くなるのではないかと思います。
次に長期留学です。交換留学プログラム[派遣留学A]は学部生と短期大学生それぞれに奨学金が支給されます。
学部生の場合は1学期間の留学で25万円、2学期間で50万円。短期大学生は1学期間30万円の支給です。加えて、期間に関わらず留学先大学の授業料が免除されます。
セメスター・アブロード・プログラム[派遣留学B]は1学期間の留学で25万円、ブリッジ・プログラム[派遣留学C]は、2学期間の留学で、50万円が支給されます。
本学で長期留学に行く学生のうち、約90%がこれらの返済不要の奨学金を受けて留学しているので、奨学金受給のハードルが低いのは本学のメリットです。
── 学部生だけでなく、短期大学生も奨学金を受けて交換留学プログラムに参加できるのは嬉しいポイントですね。
本学の奨学金以外にも、外部団体の奨学金があったりしますので、そういった奨学金制度の案内もしています。
費用面のサポートは非常に充実していますので、ぜひ活用してほしいですね。
京都外大の留学に関する相談は国際部におまかせ

── 留学希望者へのサポート体制について伺います。まず、留学について相談したい場合は、どこに問い合わせればよいでしょうか?
留学に関する相談は国際部が親身になって対応しますので、まずは国際部にお越しいただければと思います。
また、国際部カウンターには国際部Student Ambassador(S.A.)という学生スタッフもいます。S.A.は留学経験者なので、経験談を聞いたり、留学先や選考試験の相談をしたりできます。
その他、国際部の隣の留学情報室に先述のSAFが関西オフィスを置いています。
この世界最大規模の非営利教育機関がオフィスを大学キャンパス内に置いているのは日本で本学のみです。留学アドバイザーの資格を持ったスタッフに対面で気軽に相談が可能なのは本学生の特権といえます。
さらに、毎学期留学フェアを実施しており、留学を経験した学生さんや実績あるエージェント、海外協定大学なども招いて相談会も開催しているので、こういったイベントを活用いただくのもよいですね。
このように留学を検討するにあたり不安なことや気になることがあれば、必ず相談できる人がいて、悩みが解決できる環境が整っているので、安心して留学に挑戦できます。
── 留学が決まった学生へはどのような支援をされていますか?
まず、様々なオリエンテーションを実施しています。
たとえば派遣留学が決まると、大学での履修に関することから各種渡航手続き、危機管理まで、全5回のオリエンテーションを通して詳しく学べます。準備の段階に沿って参加するだけで、必要なモノ・コトがわかります。
具体的には、第1・2回では履修計画・単位認定・奨学金・就職活動などについて、第3・4回ではビザ(査証)取得・航空券購入・保険加入・危機管理について、第5回の最終オリエンテーションで残った点をカバーします。留学中の相談は、国際部の職員がメールで対応しています。24時間対応のヘルプデスクもありますので、留学中も安心していただけると思います。
── 帰国後のキャリア支援についてはいかがでしょうか?
帰国後の就活については、キャリア支援部で相談が可能です。
もちろん、留学前から計画的に進めることが大切なので、キャリア支援部と国際部で連携を取りながらサポートしています。
京都外大は学内でも語学学習や異文化交流ができる環境が整っている
── 外国語大学ということで、語学学習支援が非常に充実していますよね。
そうですね。本学には「外国語自律学習支援室 NINJA」という施設があります。
NINJAにはラーニングアドバイザーとして日本人教員や外国人教員が常駐しているので、授業で分からないことがあったら先生に相談することができます。
また、日本人と留学生の学生スタッフもいるので、会話の練習や文章の添削、語学検定の相談など、ちょっと躓いているところを一緒に解決してくれます。
また、NINJAは国際交流の場にもなっており、ハロウィンやクリスマスなど季節ごとのイベントも行っています。

本学で学ぶ留学生と密に交流したい人は、留学生向けアシスタントになるのもおすすめです。
交換留学に来た留学生の学校生活や日常生活のサポートを通じて交流の機会が格段に増えます。
── 留学しなくても、学内で十分国際交流ができる環境なんですね。
本学の学生は、9人に1人が海外から来た留学生です。そのため、積極的に交流しようと思えばチャンスはたくさんあります。
これは本学の大きな魅力のひとつですが、やはりできれば国外に出て実際に現地の人との交流を通して語学力を試したり、学んだことを実際に見て感じたりしてほしいという思いもありますね。
京都外国語大学の今後「留学しやすい環境づくりをさらに極める」

── 今後、留学制度やグローバル教育で特に力を入れたいことはありますか?
異文化交流や語学習得に興味があっても、実際に国外へと踏み出すことをためらう学生も多いです。
さまざまな事情があるでしょうか、今はインターネットやSNSの普及により、海外の情報を手軽に知ることができるため、実際に行かなくてもよいと考える人も増えているかもしれません。
ですが、実際に留学した学生の話を聞くと、みんな本当に行ってよかったと言います。
画面上で情報を見るだけでなく、実際に行って現地の雰囲気を肌で感じることはとても貴重な経験です。より多くの学生にその機会を提供できるような仕組みづくりに努めています。
「『異なる』を愛せる世界をつくる」のビジョンを今後も貫き、キャンパス内の国際性、充実した留学制度も活かしたグローバル教育を展開していきたいと考えています。
京都外国語大学のオープンキャンパスで留学情報をゲットしよう!
── 受験生が京都外国語大学の留学情報を知りたい場合、何を参考にするのがよいですか?
京都外国語大学のオープンキャンパスに来ていただくのが一番おすすめです。
そこでは留学説明会を行ったり、個別の相談ブースで職員や留学経験をした学生にいろいろと相談ができます。
また、留学経験者のトークセッションといったイベントもありますので、ぜひ一度オープンキャンパスにお越しください。
その他、京都外国語大学の公式ホームページや、国際部のInstagramもあるので、イベントの様子や留学制度の情報を見ていただけます。
京都外国語大学から受験生へメッセージ
── 京都外国語大学・京都外国語短期大学の受験を検討している学生の方に、メッセージをお願いします。
比較的規模が小さいため、先生と学生との距離がとても近く、頼りになる先生が多いことも本学のよいところだと思います。
コツコツしっかり勉強をして語学力をつけたい方や、海外について深く知りたい方に大変おすすめの大学です。
また、多様な国籍の留学生や外国にルーツを持つ学生、多様な言語を学ぶ学生など、さまざまな人が集まった外国語大学ならではの多様性あふれる環境が本学にはあります。
ぜひ一度、京都外国語大学・京都外国語短期大学にお越しいただき、その雰囲気を直接体感していただければと思います。
── 本日は貴重なお話をしていただき、ありがとうございました!
京都外国語大学の基本情報
| 大学名 | 京都外国語大学・京都外国語短期大学 |
|---|---|
| 学部 | 【大学】 <外国語学部>英米語学科、スペイン語学科、フランス語学科、ドイツ語学科、ブラジルポルトガル語学科、中国語学科、日本語学科、イタリア語学科、ロシア語学科 <国際貢献学部>グローバルスタディーズ学科、グローバル観光学科 【短期大学】キャリア英語科(夜間2年制) |
| 所在地(住所) | 京都市右京区西院笠目町6 |
| 留学プログラム | 長期留学、短期留学、キャリア教育プログラム、海外フィールドワークなど |
| 大学公式HP | https://www.kufs.ac.jp/ |
| SNS |
・Instagram ・LINE ・TikTok ・京都外国語大学・京都外国語短期大学公式チャンネル(YouTube) ・KUFSチャンネル |
※ 取材時の情報を掲載しています。
語学の力で世界へ羽ばたこう!京都外国語大学の取材後記

京都外大では、学生の9人に1人が外国人留学生であり、教員の約5人に2人が外国人教員です。そのため、学内で国際交流をしない方がむしろ難しいかもしれません。
キャンパス自体はコンパクトですが、多様な国や文化が凝縮された、とても貴重な学びの空間であると言えるでしょう。
また、京都外大は言語を極めるだけでなく、言語を通して世界を知り、新たな仲間をつくり、未来の自分を構築できるチャンスがたくさんあります。
今はまだ留学というものが明確に分からなくても、京都外大で学び、たくさんの文化に触れることで、自分に必要な留学とは何かが見えてくるはずです。
語学力を生かして、将来世界で活躍したい高校生の皆さんは、ぜひ京都外国語大学・京都外国語短期大学をご検討ください。
取材日:2025年10月15日
取材/文:富澤 利恵
写真提供:京都外国語大学・京都外国語短期大学





