拓殖大学では、「世界で活躍できる人材を育てる」という建学の理念のもと、国際教育に力を入れています。
その中心となるのが、独自の留学制度 TUSAP(Takushoku University Study Abroad Program) です。
TUSAPは、短期研修・長期研修・交換留学・個人研修奨学金の4種類で構成されており、語学力の向上だけでなく、異文化理解や主体性を育てるプログラムが充実しています。
さらに、世界各地に広がる学友会ネットワークが、学生の海外挑戦を力強く後押ししてくれるのも拓殖大学ならではの魅力です。
今回は、国際教育への取り組みから、具体的な留学制度、サポート体制、キャリアへの活かし方まで、拓殖大学の留学制度を徹底取材しました。
拓殖大学に入学すると、どのような留学のチャンスが広がっているのか。その魅力についてご紹介します。
目次
拓殖大学の理念「挑戦する学生を世界へ送り出す」

── まず、拓殖大学が大切にしているグローバル教育の理念を教えてください。
本学では、「積極進取の気概とあらゆる民族から敬慕されるに値する教養と品格を具えた有為の人材の育成」 という建学の理念を、創立以来ずっと大切にしています。
これは単に語学力が高いだけの国際人を育てる、という意味ではありません。
学生一人ひとりが国際的な視野を持ち、さまざまな価値観を理解しながら、国内外の人々と協働して課題を発見し、解決に向けて粘り強く行動できる。そんな「タフな人間力」を備えた人材を育成することが、拓殖大学の目指すグローバル教育の核心です。
── そうした人材を、拓殖大学ではどのように定義しているのですか?
私たちは、こうした特性を持つ学生を総称して “拓殖人材”と呼んでいます。これは単なるキャッチコピーではなく、本学の教育が目指す理想像を端的に示す言葉です。
海外に挑戦する強さだけでなく、多様な文化を理解し尊重する姿勢、自ら問いを立てて行動できる主体性、そして、困難な状況でも前向きに立ち向かうタフネス。
そうした総合的な能力を兼ね備えた「未来を切り開く人材」という意味を込めています。
── 建学の理念が、現在の取り組みにも一貫しているのですね。
はい。拓殖大学では創立以来、一人ひとりの学生が世界で活躍できるよう、国際教育を教育の中心に据えてきました。その結果、多くの卒業生が企業、国際機関、教育機関、そして地域社会など、さまざまなフィールドで実力を発揮しています。
国際大学のパイオニアとして歩んできた長い歴史の中で、本学は世界に挑戦する若者を支え続けてきました。その足跡こそが、私たちが何より誇りにしているものです。
拓殖大学の海外留学プログラム(TUSAP)を紹介
── それでは、拓殖大学の留学プログラムについて教えてください。
本学では、学内の留学プログラムを「TUSAP(トゥサップ)」と呼んでいます。
TUSAP(トゥサップ)とは「Takushoku University Study Abroad Program」の頭文字を取った名称で、学内の留学・研修制度全体を指します。
この制度は大きく4種類に分かれていて、それぞれに特長があります。
拓殖大学の留学プログラム
- 長期研修(5~7ヶ月)
- 短期研修(夏季・春季の長期休暇)
- 交換留学(半年~1年間)
- 個人研修奨学金(夏季3~8週間)

── 長期研修と短期研修はどのような内容ですか?
長期研修プログラムについては、英語圏・中国語圏・スペイン語圏の8つの提携校で、5~7か月間、ホームステイや大学寮に滞在しながら言語運用能力を高めるプログラムです。
現地で取得した単位は一定範囲で拓殖大学の単位として認定されるため、研修に参加しても4年間で卒業できます。
短期研修プログラムは、夏休みや春休みなど長期休暇中に参加できる研修です。
夏は英語圏、中国語圏、韓国、インドネシアなど、春は英語圏、中国語圏、韓国、タイ・マレーシア・シンガポール、スペインなど、年間で約20のプログラムを用意しています。
たとえばインドネシア研修では、提携校のダルマプルサダ大学でインドネシア語特別集中授業や日本語のボランティア授業、企業見学などを行います。同大学は日イ友好の象徴的な大学として有名で、拓殖大学とは日本語弁論大会の共同開催など長い交流があります。
タイ研修では、同じく提携校のコンケン大学(タイ東北部の中心都市)で語学研修や文化交流を実施します。農村訪問や近隣寺院の視察など、タイ文化を深く知る内容が特徴です。
また「インターカルチャー研修」という、韓国・台湾などで異文化に触れ海外への視野を広げる低予算・短期間のプログラムもあります。初めての海外でも参加しやすい内容です。

── 交換留学についても教えてください。
交換留学プログラムは、学術交流協定を結んでいる大学と相互に学生を派遣し合う制度です。
対象は英語圏はもちろん、中国語圏・スペイン語圏、韓国、タイ、フィリピン、インドネシア、ベトナム、エジプトなど幅広い地域の大学で学べるチャンスがあります。
休学せず在籍したまま留学でき、協定により留学先大学の学費が免除されるほか、奨学金制度もあります。

── 個人研修奨学金というのは、非常に珍しい制度ですね。どのような内容なのか教えていただけますか。
個人研修奨学金は、本学で地域言語(第二外国語など)を学んでいる、または過去に学んだ学生を対象とした制度です。
この制度を利用すると、対象となる言語が使われている国で研修を行う際、奨学金を受け取ることができます。
研修は夏季休暇を利用して、3~8週間にわたり実施できます。語学の勉強だけでなく、その地域に関する専門的な学びもサポートの対象となっています。
対象となる言語は幅広く、アラビア語、ヒンディー語、インドネシア・マレー語、韓国語、タイ語、中国語、フィリピン語、ベトナム語、英語、スペイン語、ドイツ語、ブラジル・ポルトガル語、フランス語、ロシア語など、多くの地域の言葉が含まれているのも特徴です。
拓殖大学は60年以上にわたり、この伝統ある奨学金制度を継続しており、これまで数多くの学生がこの制度を利用して海外で学びの経験を深めてきました。
個人の留学も後押し!拓殖大学にしかない留学制度の魅力とは

── あらためて、拓殖大学の留学制度にはどのような魅力があるのか教えてください。
先ほどご紹介した留学プログラム(TUSAP)に加えて、学生が海外へ行く方法は年々多様化しています。最近では、学生自身が自分で計画を立てて海外に挑戦するケースが増えてきました。
このような「自分で考えて行動する」という姿勢は、拓殖大学がこれまでも大切にしてきた“主体性”そのものです。私たちも、この変化をとても良いことだと感じています。
そこで拓殖大学では、大学の制度を利用する場合だけでなく、学生が個人で計画した海外留学についても積極的にサポートしています。
── 「個人の海外留学をサポートする」とは、具体的にどのようなものですか?
本学は、アメリカ・イリノイ州シカゴに本部を置く国際留学支援団体「SAF(Study Abroad Foundation)」と提携しています。
このSAFとの提携により、条件次第では合計10か国(アメリカ、カナダ、イギリス、アイルランド、フランス、スペイン、ドイツ、オーストラリア、ニュージーランド、韓国)にある大学の留学プログラムに参加することができます。
また、台湾など海外提携校が主催する夏季や春季の短期研修プログラムにも参加可能です。
このように海外提携校とのネットワークを活用し、海外経験が初めての方でも安心して参加しやすい短期プログラムから、じっくり学べる長期型の研修や留学まで、一人ひとりの目的や語学レベルにあわせて挑戦しやすい環境を整えています。
── 海外を志す学生にとって、心強い後押しですね。そのほかにも、注目すべき特徴はありますか?
そうですね。拓殖大学には、ほかの大学ではあまり見られない取り組みがあります。
それが、大学の学友会に組織された、海外にも広がる「卒業生ネットワーク(学友会海外支部)」の存在です。
このネットワークを活かした「学友会海外在住卒業生訪問研修」という取り組みでは、将来海外で働いてみたいという学生を、実際に海外の支部へ派遣します。そこで活躍している卒業生や、現地の学生と交流しながら、世界を見る視野を広げていくプログラムです。
海外で仕事をしている先輩たちが、在学生の挑戦を全面的にサポートしてくれる。そんな環境があるのも、拓殖大学ならではの大きな魅力だと思います。
はじめての渡航でも安心!国際課が留学全般をサポート
── 拓殖大学では、どのような留学サポートを受けられますか?
拓殖大学の文京キャンパスと八王子国際キャンパスにある国際課では、海外留学プログラム(TUSAP)担当のスタッフが窓口で相談を受け付けています。
留学プログラムの内容だけでなく、渡航手続きや現地での生活に関する情報など、留学に関する幅広い相談に対応することが可能です。
また、すべての留学プログラムでは出発前に事前研修を実施しています。この研修では、ビザの取得支援や語学の学習方法、危機管理など、必要な準備をしっかりと身につけることができます。
── サポート体制が充実しているので、安心して留学相談ができると感じました。ほかにも国際課として力を入れている取り組みがあるとお聞きしましたが。
国際課では、「Gatewayプロジェクト」というオンラインでの異文化交流企画を行っています。
このプロジェクトでは、学生が海外をより身近に感じられるよう、オンライン語学講座やワークショップを気軽に受けられるようにしています。
予約は必要なく、自由に参加できます。海外の卒業生や提携校の先生とつないで交流をする機会もあり、先日はネパールやパラグアイとオンラインで交流を行いました。
さらに、2009年度から実施する「海外雄飛の集い」を「Gatewayプロジェクト」でも紹介しています。このイベントでは、ゲストスピーカーによる対面講演や語学講座の紹介、留学の準備、海外で働くために知っておきたい情報の提供など、タイムリーな企画を実施しています。
── ちなみに、留学先においてもサポートを受けることはできますか?
もちろんです。提携校の担当者がサポートしてくれるのはもちろんですが、拓殖大学では各長期研修派遣先に「現地主事」というサポート役を配置しています。
現地に根付いた卒業生や関係者の方にお願いし、定期的なミーティングや生活相談を通じて、学習以外の面もしっかり支えてくれます。
拓殖大学ならではの支援体制が整っているので、安心して現地での留学生活を送れます。
知っておきたい!留学の費用負担を軽くする奨学金制度について

── 留学を考えると、費用が気になる方も多いと思います。留学のための奨学金制度はありますか?
はい、本学では留学をサポートするさまざまな奨学金制度があります。
長期研修プログラムに参加する場合は、まず「留学二種奨学金」があり、研修先で必要な学費(授業料や登録料など)の約8割が支給されます。
さらに、事前選考で特に優秀と認められた学生には「留学一種奨学金」が適用され、学費全額が支給されます。これにより、費用の心配をせずに学業や研究に集中できます。
── 経済的負担を軽減し、安心して長期研修に臨むことができますね。
加えて、先ほどご紹介した「個人研修奨学金」も存在します。
この奨学金は、研修を行う地域やプログラムによって支給額や対象者が異なり、各学生のニーズに合わせた柔軟な支援が受けられます。
また、交換留学プログラムの場合には、協定に基づき留学先の学費が免除される制度も整っており、こちらも学生の経済的負担を軽減する重要な制度です。
最近では、日本学生支援機構(JASSO)が提供する「海外留学支援制度」の奨学金も、派遣学生を対象に給付されています。
長期研修や交換留学に参加する学生で、JASSOが定める支給条件を満たしている場合には、本学に割り当てられた人数の範囲内で奨学金を受け取ることが可能です。
このように、学内外の多様な支援制度を組み合わせることで、経済的な不安をできる限り軽減し、学生が安心して海外で学べる環境を整えています。
留学後のキャリア支援は?海外で得た経験をガクチカに活かす

── それでは、留学から帰国後のキャリア支援について教えてください。
拓殖大学では国際部と就職部が連携しながら、留学で得た経験を就職活動で活かせるようサポートを行います。
単に「海外に行った」という事実だけでなく、留学に向けての準備から留学中にどんな学びを得て、どんな成長があったのかという部分を「ガクチカ(学生時代に力を入れたこと)」として自信を持って伝えられるよう、面談や対策の指導を丁寧に行っています。
また、就職部主催の説明会では、実際に留学した先輩の体験談を直接聞く機会も用意しています。
たとえば、「カナダに半年間留学して語学力を磨き、航空業界に内定した」といったリアルなエピソードを聞くことで、自分のキャリアをより具体的にイメージできるようになります。
── 留学を経験した学生は、その後どのような進路に進むことが多いでしょうか?
留学経験者の就職状況は、メーカーや物流会社の駐在員として活躍している卒業生も多く、全体的に見ても良好です。もちろん、最終的には個々の努力が大きく影響しますが、語学力や異文化理解を活かせる業界で内定を獲得する学生が多く見られます。
海外の文化や社会に触れる経験を通じて、多くの学生が幅広い分野に挑戦するようになってきています。
大学時代に留学を経験すると、海外での経験から視野が広がり、日本だけにこだわらないさまざまなキャリアの選択肢を持てるのも大きなメリットです。
留学なしでも広がるグローバルな学びの場!学内の外国語講座も人気
── 一方で、留学をしなくても学内でグローバルな視野を育てられる環境はありますか?
拓殖大学は、海外からの留学生を積極的に受け入れています。アジアを中心に多くの留学生が在籍しており、こうした環境のおかげで、拓殖大学のキャンパスはとても国際色豊かです。
たとえば、国際部主催の日本人学生と外国人留学生の交流や、両キャンパスにある留学生寮を通じて、日常的に学内での国際交流が生まれています。
また、学生部や学生自治会、サークル、教職員によるプロジェクトチームなどでも多様な国際交流イベントを開催していて、魅力的な学びの場が広がっています。
── 全学部を対象とした、外国語講座があるとうかがいました。
拓殖大学では、公開講座として外国語講座(中国語、台湾語、韓国語などアジア言語中心)を開講しており、学生価格で受講できるといった魅力があります。
人気の言語はすぐに定員が埋まってしまうこともありますが、毎年4月スタートですので、申込時期に合わせれば誰でも受講が可能です。
本学の外国語学部・国際学部の学生はもちろん、商学部、政経学部、工学部など、理系学生も含め幅広い学部が参加しています。
拓殖大学の今後の展望「留学サポートをさらに強化したい」

── 今後の留学制度の充実に向けて、重点的に取り組みたい分野や課題はありますか?
アフターコロナの今、学生の海外への意識は大きく変わってきています。円安などの影響もありますが、拓殖大学としては「学生のうちに積極的に海外へ出てほしい」という思いを大切にし、制度の充実を続けています。
個人研修奨学金制度では、ポルトガルをはじめ、ヨーロッパや中南米、アフリカといった幅広い地域に挑戦する学生が増えるよう、サポートの強化を進めています。
個人で留学を考えている学生に向けて、大学からも情報発信をさらに充実させていく予定です。
── 拓殖大学の留学制度を調べる場合、どこを確認するのがおすすめでしょうか?
やはり大学ホームページを見ていただくのが、いちばんわかりやすいかと思います。
よりイメージしやすいように、留学制度を紹介した電子パンフレット(拓殖大学 海外留学プログラムガイド)もご用意しています。写真や図を使って分かりやすくまとめていますので、初めて留学を考える方でも安心して読んでいただけると思います。
また、受験生や高校生の皆さん向けの入試関連ページには、留学制度の案内や留学経験者の報告書などが掲載されており、実際のイメージがつかみやすくなっています。
定期的に開催しているオープンキャンパスでは、国際部の相談コーナーを設けています。気になることがあれば、どのキャンパスに来ていただいてもお気軽にご相談いただけます。
未来の一歩を考えるきっかけとして、ぜひ気軽に情報をチェックしてみてください。
拓殖大学から高校生・受験生のみなさんへメッセージ

── 最後に、拓殖大学の受験を検討している高校生にメッセージをお願いします。
拓殖大学は、アジア、そして世界に貢献する真のグローバル人材の育成を建学の理念とし、1900年(明治33年)に創立された歴史と伝統ある国際大学です。
専門性・国際性・人間性を兼ね備え、主体的に未来を切り開いていく力を持った人材、私たちはこれを“拓殖人材”と呼んでいます。授業だけでなく、課外活動も含め、多角的・総合的に学生教育を行っています。
文京キャンパスには商学部・政経学部、八王子国際キャンパスには外国語学部・国際学部・工学部があり、40以上の国・地域から1500名以上の留学生が在籍しています。学内で日常的に国際交流ができる恵まれた環境です。
旅行や短期研修といった小さな一歩でもかまいません。まずは海外に行ってみようと思えるように、不安を抱えている学生にも前向きな一歩を踏み出してもらえる仕組みづくりを進めていきたいと考えています。
ぜひ拓殖大学で、多様な価値観に触れながら、自分の世界を広げてください。
── 本日は、貴重なお話をありがとうございました。
拓殖大学の基本情報
| 大学名 | 拓殖大学 |
|---|---|
| 学部等 | 商学部、政経学部、外国語学部、国際学部、工学部 |
| 所在地(住所) | 【文京キャンパス】 〒112-8585 東京都文京区小日向3-4-14 【八王子国際キャンパス】 〒193-0985 東京都八王子市館町815-1 |
| 留学プログラム | 長期研修、短期研修、交換留学、個人研修奨学金など |
| 大学公式HP | https://www.takushoku-u.ac.jp/ |
| SNS |
・拓殖大学 公式Instagramアカウント ・拓殖大学 公式Xアカウント ・拓殖大学 公式Facebookページ ・拓殖大学 公式YouTubeチャンネル |
※ 取材時の情報を掲載しています。
入学後に広がるグローバルな舞台!拓殖大学の取材後記
今回の取材で印象的だったのは、拓殖大学の「挑戦する学生を肯定し、送り出す校風」です。
とくに個人研修奨学金プログラムをはじめ、第二言語の習得を深められる制度の充実は、古くから多様な世界の人々を尊重、理解すべく言語文化の教育に力を注いできた大学ならではの強みだと思います。
また、個人での海外挑戦にも大学が手厚く連携してくれる点や、時代とともに留学の形が変わっても学生の“外へ出る力”を支える姿勢が揺らがないことも心に残りました。
さらに、“拓殖人材”という言葉に象徴されるように、同大学の卒業生は社会で厚いネットワークを築いており、ブランドとしての存在感も確かです。OB・OG組織の充実ぶりからも、多くの卒業生が大学の理念を体現しながら活躍していることがうかがえます。
「世界を見たい。もっと外国語を話せるようになりたい。」
そんな思いを行動に変えるチャンスが、拓殖大学には充実した留学制度として用意されています。
あなたの“最初の海外挑戦”の舞台として、ぴったりの環境です。ぜひオープンキャンパスや学内ページで、最新の留学情報をチェックしてみてください。
取材日:2025年11月27日
取材/文:永谷 知香
写真提供:拓殖大学 国際部





