宮崎国際大学の留学制度

1994年の開学以来、英語でリベラル・アーツ教育を行う大学として日本のパイオニア的存在であり続けてきた宮崎国際大学。

国内トップクラスの外国人教員比率を誇り、世界各地から集まる留学生とともに学べる国際性豊かな環境が整っています。

今回は、そんな宮崎国際大学国際教養学部の留学制度について西村直樹副学長にお話を伺いました。

宮崎国際大学 西村直樹副学長

日常的に英語で授業を受けている学生にとって、実際に海外で生活し、学ぶ「留学」の意義はどこにあるのでしょうか。大変参考になるお話なので、ぜひご覧ください。

開学から変わらない宮崎国際大学の理念「英語で学ぶリベラル・アーツ」

宮崎国際大学の校舎

── 宮崎国際大学におけるグローバル教育の方針を教えてください。

本学は1994年に、日本で英語を用いた「リベラル・アーツ教育」を行う大学として設立されました。

リベラル・アーツ教育とは、専門分野にとらわれず、幅広い分野を横断して学ぶことによって、柔軟な思考や問題解決能力を養う教育のことを言います。

現在では、開学以来変わらずに授業のほとんどを英語で行う国際教養学部比較文化学科と、教員資格取得を目指す教育学部児童教育学科の2学部2学科制を敷いています。

国際教養学部では、7割を超える教員を海外から迎え、1クラス20人前後の少人数制を用いた上でアクティブ・ラーニングやクリティカル・シンキングを礎にした教育手法を実践しています。

大きな教室で教員の講義を一方的に聞く、という従来の大学教育にありがちなスタイルではなく、学生が主体となって自ら考え、そして学ぶことを大切にしています。

── 西村副学長は、英語によるリベラル・アーツ教育の発展に長く尽力してこられたそうですね。

そうですね。約30年前から本学に在籍し、英語で行うリベラル・アーツ教育の推進に関わってまいりました。

アメリカの関係機関に直接連絡を取って問題解決を図ったり、文部科学省に本学の教育手法を理解していただくべくお話しするなど、大変なこともたくさんありました。

ですが現在では、本学が英語によるリベラル・アーツ教育のパイオニアとして発展し、学生の成長を見守れたことを、大変嬉しく思っております。

全員必修!宮崎国際大学国際教養学部の海外研修制度

宮崎国際大学 留学先でホストファミリーとクリスマスを過ごす様子

── 宮崎国際大学で実施されている留学制度について教えてください。

本学では、国際教養学部の2年次後期に、原則として約16週間(1セメスター)の海外研修を必修としています。研修先は、本学が協定を結んでいる5カ国16大学の中から決まります。

留学時期は研修先の大学によって多少異なりますが、概ね8月から12月の期間です。

現地では、各大学の英語集中プログラム(ESL)に参加します。

また、学生には研修期間中にポートフォリオと呼ばれる課題の提出を義務づけています。

ポートフォリオとは、研修中の活動や学修をまとめた論文形式のもので、英語で15,000ワード以上を書き上げて現地指導員の承認を得た上で、本学に提出します。

海外研修の単位は英語6単位、地域研究6単位、自由研究2単位の合わせて14単位です。

研修先での授業の履修と、期限内のポートフォリオ提出の2つをもって、海外研修プログラムの全単位が認められる仕組みです。

宮崎国際大学 留学先のThompson Rivers Universityで集合写真

── 海外研修先は、どのようにして決定するのでしょうか?

学生と個別面談を行い、一人ひとりの希望や学びたいことなどをヒアリングしながら決定します。本学の研修派遣は少人数制が前提で、同一研修先に行く学生は原則10名までとしています。

宮崎国際大学 留学先のカナダでの様子

一方で、健康上の理由や経済的な事情などにより、海外研修に参加しない学生も一部います。

海外研修プログラムの単位は卒業に必要であるため、そのような学生は「学内研修」として2年次の後期は学内に留まり、研修を受ける形です。

学内研修も、海外研修と同じように英語のポートフォリオを提出することで単位認定を行います。

── 柔軟に対応されているのですね。学内研修では具体的にどのようなことをするのか教えてください。

単位の内訳は海外研修と同じで、英語6単位、地域研究6単位、自由研究2単位の合計14単位です。それぞれの科目に授業時間が設定され、担当教員が置かれた上で、学内で授業を受けます。

英語は、本学で行っている通常のプログラムを継続して受けます。

地域研究は、海外研修の場合は派遣先の国・地域に関するテーマとなりますが、学内研修の場合は担当教員が決定します。2025年度はハワイの文化について学びました。

自由研究は、学生自身がテーマを選びます。

大まかな学ぶ内容や単位認定の仕組みとしては、学内研修も海外研修も同じです。

── ちなみに、教育学部の学生も参加できる海外プログラムはありますか?

本学の教育学部は、国際教養学部とはカリキュラムがまったく異なります。小学校や幼稚園の教員、保育士などを目指すために必要な科目が組まれているため、長期の海外プログラムへの参加は現実的ではありません。

教育学部の学生から「留学したい」という相談があれば、学部長を通じて面談やアドバイスをすることはありますが、カリキュラムの制約上、現時点で参加できる海外プログラムは本学にはありません。

ただ、小学校の教育現場でも英語の授業が本格化していることからも、今後は教育学部の学生も参加しやすい短期の海外プログラムなども検討していければと思っています。

地元企業のサポートも受けられる宮崎国際大学の留学奨学金

── 海外研修中の宮崎国際大学への学費の扱いはどのようになりますか?

海外研修参加者は、研修参加費と本学への学費の両方を納めていただくことになります。

円安や物価高の影響もあり、研修費は以前よりも上昇しているのが現実です。

そこで、学生の経済的負担を和らげるために、本学に納めていただいた学費から一定金額を研修費用に充てる取り組みを行っています。

── それは嬉しいですね。ほかにも海外研修に参加する学生への経済的サポートはありますか?

国際教養学部の海外研修プログラムは、日本学生支援機構による海外留学支援制度の採択を受けているため、奨学金が支給されます。採用された学生には、大学を通して、毎月本人の口座に奨学金が振り込まれます。

ただし、支援を受けられる人数には制限があり、成績などの条件があります。海外研修プログラムに参加する全員がサポートを受けられるとは限りません。

そこで今年度からスタートした取り組みとして、本学独自の奨学金があります。こちらは地元企業の協力によるもので、海外研修へ行く学生1人に対して10万円を一律に支給します。

このように、奨学金を上手に活用することで、費用面の負担は多少なりとも軽減できるのではないかと思います。

帰国後の学生の様子は?留学先での体験が学生を大きく成長させる

── 海外研修を終えたあとは、どのような学びが続くのでしょうか?

基本的には帰国して、3年次の専門教育課程に進みます。

2年次までは基礎教育科目が中心ですが、3年次以降はより専門的な内容を英語で学ぶので、授業についていくためにも引き続き勉強は必要です。

2年次に海外研修に行ったか、学内研修で学んだかによって、3年次の履修登録を区別することはありません。

── 帰国した学生の変化は、どのような面で感じますか?

まず、変化としてわかりやすいのは英語力です。海外研修に行った学生と、行っていない学生のTOEICスコアを比較すると、スコアの伸び率が倍ほど違った年があります。

しかし、本当に注視すべき変化は英語力ではありません。

学生の変化の根本を支えているのは、「社会的知性」という言葉でも表わされる対人コミュニケーションの力です。

自分にとっての当たり前が通じず、周囲の空気も読みにくい。そうした「未知なる環境」で、相手を理解し、そして拙いながらも自分の意志を伝える経験を数多く重ねてきた学生は、その後も大きく力を伸ばしていきます。

「伝えたい」「わかり合いたい」という強い意志があるからこそ、結果的に英語力も伸び、積極性が生まれ、帰国後の教員からの評価も高くなる。そのような好循環に入ります。

そういった意味では、留学先で「コミュニケーションがうまくいかない」と悩んでいた学生ほど帰国後に大きく成長していきます。

── 留学中の学生から相談されることもありますか?

はい。「ホストファミリーとの意思疎通が難しい」という相談が多い印象です。

例えば、ホストファミリーの表情や話し方を見て、「怒っているのではないか」と学生が感じてしまったり、逆に、誤解があるにも関わらず学生の言い分を聞いてもらえずに一方的に責められてしまったり、といった相談がこれまでにもありました。

── 相談を受けた時は、どのようなアドバイスをされているのでしょうか?

学生には「話しなさい」と伝えます。

自分の受け取り方だけで判断せず、相手と話し、相手がどう考えているのか理解すること。そして、自分の考えていることを相手に伝えること。

言葉はもちろん、文化も習慣も違うのですから、「きっとこうだろう」といった自分の思い込みをいったん横に置き、目の前の相手と話して、お互いを理解し合う必要があります。

状況によっては、現地の担当者と本学で協議するケースもあります。しかし、まずは学生本人が目の前の相手と向き合い、自分で解決策を探る経験を大事にしています。

強い学習意欲を持って英語力を伸ばす宮崎国際大学の学生たち

宮崎国際大学 学生の国際交流の様子

── 宮崎国際大学では学生の英語力をどのようにして伸ばしていますか?

本学に入学してくる学生の多くは「英語ができるようになりたい」という思いを持っています。

大学としても、外国人教員による少人数制の授業や、海外研修への派遣などを通じて学生の英語力向上に力をいれています。

しかし、「ただ授業を受けるだけ」「ただ海外研修に参加するだけ」で、全ての学生が英語力を伸ばせるわけではありません。

── 入学後に、英語力を大きく伸ばす学生に共通するのはどのようなことでしょうか?

強い学習意欲や、将来の目標がある学生は、大学の4年間で大きく伸びていきます。

実際に、入学時のTOEICスコアが200点台だった学生で、就職活動をする時期には900点台まで英語力を上げてきたようなケースもあります。

このように目覚ましい成長を遂げる学生に共通しているのは、ものごとに対する積極性です。「自分の伸びしろを広げたい」という気概がある学生は、やはり強いです。

── どのようなタイミングで、学生は学習意欲を高めていくのでしょう?

個人差もありますが、やはり2年次の海外研修は学生のその後の成長や変化につながるひとつのタイミングです。

帰国後に大きく力を伸ばし、学びにも就職活動にも積極的に取り組むようになる学生が多くいます。

今までとまったく異なる環境に身を置き、人とのさまざまな出会いや体験を通じて、自分自身や将来について考えを深めること。このことは、必ず帰国後の学び、さらには卒業後の進路や生き方を支えていく力になります。

本学が行う海外研修は、学生に対する、将来に対する動機付けのひとつです。

大学がどれほど充実したカリキュラムや環境を整えても、学生本人に「学びたい」という意欲がなければ、成長や変化は生まれません。

本学は決して規模の大きな大学ではありません。だからこそ、教員と学生の距離が近く学生一人ひとりと深く関わることが可能です。

海外研修プログラムのように、学生の気づきを促し、学びへの意欲を高める機会を、これからも提供し続けることこそが、私たちの使命だと考えています。

宮崎国際大学西村副学長から中高生へメッセージ

宮崎国際大学西村直樹副学長とCasy Poe

── それでは、宮崎国際大学を目指す中高生にメッセージをお願いします。

現在は、日本にいながら、世界中のニュースや動画などを英語で見たり、オンラインで英語を学んだりすることができます。また近年はAIも急速に発達しています。

英語を単にビジネス上の意思疎通の手段として捉え、TOEIC、英検、IELTSなどの試験で高い点数を取ることだけを目標とするのであれば、必ずしも海外留学する必要はありません。

日本国内だけでも努力次第で十分に英語力を伸ばすことができるからです。私もそうでした。

しかし留学の本当の価値は、英語の点数を上げることだけにあるのではありません。異なる文化や価値観の中で生活し、自分とは異なる背景を持つ人たちと実際に関わることにあります。

海外では、日本の常識が通用しないことや、思うように自分の考えが伝わらないこともあるでしょう。そのような状況の中で、相手の話に耳を傾け、自分の考えを伝え、互いの違いを認めながら関係を築いていく力が求められます。

こうした力は一般的に「社会的知性」と呼ばれます。

それは、英語を流暢に話す力だけではなく、相手を理解し、状況を判断し、異なる考えを持つ人とも協力していく力です。AIが発達し、知識や情報を簡単に得られる時代だからこそ、人と直接向き合い、信頼関係を築く力はこれまで以上に大切になります。

英語は留学の最終的な目的ではありません。

英語はこれまで知らなかった人や文化、そして新しい世界とつながるための手段です。
皆さんには失敗を恐れず、自分の世界を広げることに挑戦してほしいと思います。

── 本日は貴重なお話をありがとうございました!

宮崎国際大学の基本情報

大学名 宮崎国際大学
学部 国際教養学部(比較文化学科)、教育学部(児童教育学科)
大学院(国際教養研究科・国際教養学専攻)
所在地(住所) 宮崎県宮崎市清武町加納丙1405番地
留学プログラム 海外研修プログラム、交換留学プログラム
大学公式HP https://www.miu.ac.jp
SNS 大学公式 Instagram
大学公式 YouTube
大学公式 LINE

※ 取材時の情報を掲載しています。

本当の知性が磨ける!宮崎国際大学の取材後記

英語でリベラル・アーツ教育を行う大学として、国内大学をリードし続けてきた宮崎国際大学では、教員と学生の距離が近く、学生一人ひとりに寄り添う風土が根付いています。

インタビューの中で、西村副学長が直接、留学を控えた学生と必ず面談し、アドバイスをしていると伺い、とても驚きました。

検定試験のスコアに表れるような目先の英語力向上だけではなく、自分とは異なる環境にある相手と言葉を交わし、心を通わせる経験を通じて、本当の意味での「知性」を磨く大学生活が送れそうです。

取材日:2026年9月29日
取材/文:川崎美和
写真提供:宮崎国際大学