法政大学の留学制度

1880年創立の法政大学は、東京都内に3つのキャンパスと15学部を有する日本屈指の規模を誇る総合大学です。

文部科学省が指定する「スーパーグローバル大学」の一角をなす法政大学。

今回はグローバル教育センター事務部の飯塚さんと松田さんに、法政大学の海外プログラムやグローバル教育についてお話を伺いました。

「海外に学生を派遣する」「学生の語学力を向上させる」といった表面的な取り組みだけではなく、法政大学が真に目指すグローバル大学の姿についてお伝えします。

法政大学が目指すのは「すべての学生にグローバル体験を積んでもらうこと」

法政大学 キャンパスと学生

── はじめに、法政大学のグローバル教育で大切にしていることを教えてください。

本学では2030年に創立150周年を迎えるにあたり、「HOSEI2030」という長期ビジョンを定めており、その実現に向けた取り組みの一つとして「グローバル大学の実現」を掲げています。

具体的には、大学に関わる人たちのグローバルマインドセットを育てること、そしてキャンパスのグローバル化を図ること、この2つを柱としています。

そのなかで最も重視しているのが、すべての学生にグローバルな体験を積んでもらうことです。

多様な海外留学制度はもちろん、キャンパス内、国内でのグローバル体験や語学学習にも重きを置いて、全学で取り組んでいます。

現在も進化中!学生の多様なニーズに対応する法政大学の海外プログラム

法政大学 派遣留学1

── 法政大学の海外プログラムには、どのような選択肢がありますか?

語学を学ぶ短期留学、海外の大学で専門分野を学ぶ派遣留学、海外ボランティアやインターンシップなど、幅広い機会を提供しています。

全学共通の制度に加えて、法政大学では現在15ある学部のうち14学部が「SAプログラム(Study Abroad Program)」と呼ばれる、それぞれの専門に基づいた海外留学・研修プログラムを設置しています。

例えば国際文化学部では、学部独自の海外留学を必修にしており、2年次の秋の留学をすべての学生に義務づけています。

── 全学共通と学部独自のプログラムが両方用意されているのですね。特徴の違いはどういったところにありますか?

学部独自のプログラムは、各学部のカリキュラムに紐付いた内容を提供できます。

一方、所属する学部や学年を問わずに参加できる全学共通のプログラムは、より多くの学生の興味関心を刺激する内容を意識しています。

今後もさらに選択肢を増やすつもりで、現在検討を進めているところです。

具体的には、既存の国際ボランティアやインターンシッププログラムを、よりジャンルにとらわれない形に発展させ、海外フィールドワークや、交換留学生とのPBL※体験や文化体験など、幅広い学生のニーズに応えられるようにしたいと考えています。

※ PBLとは、Project Based Learning の略語。自ら課題を見つけ、課題の解決方法を考える「課題解決型学習」を意味する。

法政大学 国際インターンシップ

また、学生が参加プログラムを選びやすくするために、「初級者向け」「上級者向け」「1・2年生向け」「3・4年生向け」といったレベルに応じたプログラムを設ける予定です。

さらに、国内留学プログラムの拡充も検討しています。
費用負担や就職活動への影響などの不安から、海外に長期滞在することが難しいと感じる学生もいます。そんな学生でも、気軽に参加できる機会を提供したいと考えています。

── たくさんの海外プログラムがありますが、リピーターとなる学生も多いのでしょうか?

はい。特に語学留学は、習熟度や目的によってプログラムが分かれているので、段階を追って参加するケースが多いです。

1・2年次に短期語学留学をして語学を学び、上級生になってから派遣留学に参加して専門分野を深めていく、といったパターンもよく見られますね。

── 派遣留学は、どのような目的で参加する制度ですか?

海外の協定校で、より専門的な学びを深めることを重視しています。そのため、本学の派遣留学は3年生以上が対象です。

派遣する学生は、学業成績・語学検定試験の成績・面接試験の結果を総合的に審査した上で決定します。

選考倍率は1.5倍程度と決して高くはありませんが、面接試験では留学に対する目的意識の高さを確認するために「なぜ海外で学びたいのか」を深く問います。

先輩学生からの助言もあるようで、面接に臨む学生はよく準備をしてきている印象です。

法政大学 派遣留学2

── 人気の高い派遣先はどこですか?

行き先としては、以前から欧米が中心でしたが、近年特にヨーロッパの人気が高まっています。

そうした学生のニーズに合わせ、現在はヨーロッパの協定校を拡大中です。最近も新しく、ポーランド、ノルウェー、ポルトガルの協定校が加わりました。

語学研修から長期留学まで学生を支える法政大学の手厚い奨学金制度

── 留学のための奨学金制度について教えてください。

法政大学では、ほぼすべての留学制度に大学独自の奨学金を設けています。

最も手厚いのが派遣留学です。

派遣留学では留学先の学費が免除され、さらに派遣学生全員に100万円、一部地域では70万円の奨学金を支給します。

奨学金は返還不要で、留学先の生活費などに充ててもらうことができます。

── それはかなり手厚いですね。学生さんにとっても派遣留学へのハードルがぐんと下がるのではないでしょうか。

そうだと思います。派遣留学においてはもう1つ経済的支援を行っております。

4年生の後期に留学期間が重なると、大学在籍期間は5年目に及ぶケースがでてきます。この場合、本学では5年目の学費を免除しています。

4年間分の学費で、5年間の在籍と海外留学が可能になる、非常に手厚い制度になっています。

5年目の在籍を見越して、あえて4年生の後期での留学を選択する学生もとても多いです。

── 学部独自の留学プログラムにも奨学金は支給されますか?

はい。ほぼすべての学部で奨学金を設けています。

例えば、先ほどご紹介した留学が必修となっている国際文化学部では、参加学生全員に25万円の奨学金が支給されます。

その他の学部でも、留学費用のおよそ30パーセントを上限に奨学金が支給されています。ただし一部の学部では選考を行うなど、制度には多少の違いがあります。

また2025年度から、短期留学プログラムを対象とした奨学金を新設しました。

これまで十分にカバーしきれていなかった、短期の語学研修に参加する学生への支援が可能になり、ほぼすべての留学制度で奨学金を提供できるようになりました。

── 奨学金の種類が豊富ですね。その他、法政大学ならではの奨学金制度はありますか?

学部の1・2年生を対象とした「海外留学ファースト・チャレンジ奨励金」があります。

こちらは、大学が提供する留学制度以外のプログラム、たとえば本学と協定のない海外大学が公募する留学プログラムや、ボランティア・インターンシップを含む海外研修に参加する学生を対象に、費用を補助する奨学金制度です。

コロナ禍に新設された制度で、海外留学に対する学生のモチベーションを上げ、背中を押したいという思いから始めました。

学生自身が主体性を持って自分の興味のあるプログラムを探せるように、年2回、留学フェアという形で留学エージェントさんを招き、個別相談会を実施しています。

留学前の相談から就職活動まで安心のサポート体制

── 留学に関する相談や情報収集は、どこでできますか?

各キャンパスにグローバル教育センターの窓口があります。予約不要ですので、いつでも相談に来ていただけます。オンラインでの相談も可能です。

実際には「留学に行きたいけれど、どうしたらいいですか」といった、ざっくりとした相談から始まる学生が多いですね。

そこから、学生一人ひとりの「留学で何をしたいのか」を拾い上げていきながら、利用できる学内・学外の制度を案内していきます。

最近の相談としては、費用に関すること、そして長期留学と就職活動の両立に関することが多く寄せられています。

── 就職活動については、どのような支援をしていますか?

就職活動の支援のひとつとして、「国際キャリア支援セミナー」という名称で、さまざまなイベントやセミナーを開催しています。

最近では、在学中にさまざまなグローバルな体験をし、社会人としてグローバルに活躍している卒業生の話を聞くイベントを定期的に開催しています。

就職活動の具体的な対策やキャリアに関する考え方について、実際に経験してきた先輩方との質疑応答を通して、学生自身の学びや自己分析を深める機会として活用してほしいと考えています。

ほかにも、グローバル人材に特化した採用イベントを行う企業などを招き、実際の採用イベントの概要や、選考に関する対策などについてお話しいただくこともあります。

── 国際キャリア支援セミナーの参加者は、留学から帰国した学生が中心ですか?

もちろん、帰国した学生も対象ですが、どちらかと言えば留学前の学生の参加を重視しています。

これまで実際に留学から帰国した学生から、「留学前にもっと就職活動に関する情報収集をしておけばよかった」という声を聞きます。

卒業後のキャリアの見通しを持った上で留学に向かうことで、留学先での学びや過ごし方はより充実したものになります。

留学に行く前の学生にこそ参加してもらい、留学への取り組み方や、現時点でできる準備について考えを深める機会にしてほしいと考えています。

── 留学から帰国した学生が、経験を生かせる場はありますか?

留学体験談の発表を毎年行っています。

これまでも留学プログラムごとの募集説明会で留学経験者に発表してもらっていましたが、2026年度からは、新たに立ち上げた「Go Global Festival」というイベントでも発表を行っています。

法政大学 Go Global Festival(体験談発表)

このイベントでは、学内のさまざまな留学制度に参加した学生の体験談や、先ほどご紹介したようなキャリアモデルになる方の講演などを、同じ日に同じ会場で聞くことができます。

より横断的に、かつ効率的に、学生が情報収集できる場として新たに設けました。本学の学生に限らず、学外の中高生の方も参加可能なイベントとなっています。

また、派遣留学に参加する学生には、後輩学生への連絡先の共有について、あらかじめ承諾してもらっています。会場で大勢に向けて行う体験発表会とは別に、学生同士が1対1でつながりやすくなるよう配慮しています。

本学では、学生が学生を支える「ピア・サポート」の取り組みを非常に重要視しています。派遣留学を経験した学生同士、またこれから参加する学生とのつながりも、その大切な支え合いのひとつです。

キャンパス内で実現する国際交流と英語力強化

HUBs書道イベント

── 法政大学のキャンパス内で行える国際交流には、どのようなものがありますか?

異文化交流という視点では、法政大学に在籍する留学生のバディとなってさまざまなサポートをする「HUBs(Hosei University Buddy system/ハブス)」というボランティア活動があります。

バディとして行う1対1のサポートとは別に、このHUBsでは毎年コア・メンバーを選出し、学生主導で交流イベントを企画しています。自分が担当するバディはもちろん、留学生全体と交流を深められる機会になります。

活動全体のサポートや、年間を通したスケジューリングは私たちグローバル教育センターが行っていますが、学生が主体となるイベントについてはコア・メンバーに企画してもらっています。

ほかにも、本学の3つのキャンパスすべてに「Gラウンジ(Global Lounge)」と呼ばれる、コミュニケーションスペースを設けています。バディ制度に参加していなくても、空き時間を利用して留学生と自由に交流することが可能です。

法政大学 Gラウンジ

Gラウンジには英語学習アドバイザーとして英語のネイティブ講師も常駐しています。学生は授業とは別に、自分の好きなタイミングで英語の学習に取り組んだり、アドバイスを受けたりできます。

── 留学生との交流を通して、英語力も伸ばせそうですね。単位認定を受けられる英語力強化プログラムもあるのでしょうか?

学部学科を問わずに受講でき、単位認定も可能な「ERP(English Reinforcement Program)」という科目があります。

法政大学 ERP

All Englishの環境の中で1クラス15名程度の少人数制で授業を行います。「英語を勉強する」ための授業で、海外の語学学校に通うようなスタイルに近いですね。

より上級の学習機会としては、法政大学で学ぶ留学生向けの科目を一緒に受講する仕組みもあります。こちらは「英語で専門科目を勉強する」もので、海外の学部留学に近いスタイルです。

受講要件も、海外留学に行く学生と同程度の英語力を求めています。

── 日本にいながら、海外の学生と交流する機会はありますか?

「ランゲージバディプロジェクト」というオンラインを活用した取り組みがあります。

海外協定校の学生と法政大学の学生が1対1のペアとなり、オンラインで自由に交流するプロジェクトで、コロナ禍をきっかけに始まりました。

英語で話す時間と同じように、日本語で話す時間を設けて、お互いの言語を教え合うランゲージ・エクスチェンジの活動です。

年2回実施していて、活動期間は最低6週間としています。その後も交流を続けたければ、もちろん続けられます。

中高生向けのイベント「法政グローバルチャレンジャーズキャンプ」に参加しよう!

法政大学 Hosei Global Challengers Camp

── 中高生が、法政大学のグローバル教育に触れられる機会はありますか?

全国の中学3年生から高校3年生を対象に「法政グローバルチャレンジャーズキャンプ」というイベントを毎年夏に実施しています。期間は5日間で、宿泊と通学を選択できます。

課題解決型のプログラムで、中高生はグループワークを通して幅広いテーマに対する解決策を探り、答えを導き出していきます。

2026年度は、グローバルとは何かを問い直すことがテーマで、参加者はゲストの講演を聞いたりディスカッションを行ったりした上で、最終日には英語によるプレゼンを行いました。

中高生の活動を支えるメンターとして、本学の学生がキャンプ中はもちろん、企画段階から携わります。

── 法政大学への進学を考えている人向けのイベントですか?

進学希望者に限らず、テーマに関心がある中高生に参加してもらいたいと考えています。

入試情報を得るとか、大学での英語学習に触れるとかではなく、幅広いテーマについて、全国の中高生、そしてメンターである本学の学生と、真剣に考えを深めていく機会にしていただきたいです。

大学進学はあくまで通過点に過ぎません。「その先」をどう生きていきたいのかを、広く深く考える5日間です。

もちろん、その結果として本学への進学を希望していただくのは有難いことです。しかし仮にそうでなかったとしても、参加者の皆さんがこのキャンプで得た経験を基に、それぞれの道で大きく羽ばたかれることは、本学にとって大きな財産となります。

キャンプの参加者で作る同窓会組織もあるので、進学とは違う形で本学とつながりを持っていただけることは、大学としての喜びです。

大学案内のパンフレットなどではお伝えしきれない、本学が大切にしているグローバル・マインドを肌で感じ取っていただけるようなイベントだと自負しています。

留学制度に関する相談はグローバル教育センターまで

── 法政大学の留学制度について中高生・保護者はどこで情報収集できますか?

毎年実施しているオープンキャンパスでは、本学の留学制度や国際交流活動について講演会や個別相談会を行っています。一度足を運んでいただけると、大学全体の雰囲気も感じていただけるかと思います。

またグローバル教育センターでは、イベント時以外でも、受験生や保護者の方からの相談を随時お受けしています。

メールやオンラインでのご相談はもちろん、窓口でも予約不要で受け付けていますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

── ちなみに、中高生や保護者からはどのような質問を受けることが多いですか?

中高生からは、学部選びのご相談が多いですね。学部ごとの留学プログラムや、留学しやすい学部はどこか、といった内容です。

保護者の方は、やはり費用と就職活動との両立に関することが中心になります。

法政大学から中高生にメッセージ

── それでは、最後に中高生へメッセージをお願いします。

グローバル教育センター事務部 飯塚さん:
現在は「留学」ということに対して、逆風が吹いている経済情勢、世界情勢かと思います。しかし、留学から帰ってきた学生と話すと、やはり留学で得られる経験というのは本当に何物にも代えがたく、人間的に大きく成長していく糧になるということを、学生さんから我々が日頃感じているところです。
大学の4年間を逃すと、なかなか長期で海外に行くことも難しくなります。ぜひ皆さん、大学生のうちに留学という貴重な機会に挑戦してもらいたいと思います。
一方で、目的を定めずに留学に行ってしまうと、ただなんとなく海外で半年、1年過ごしてしまうことにもなりかねません。それはすごくもったいないことです。
ぜひ留学に行かれる際には、「留学したい」ではなく「留学で何をしたいのか」という目的意識を明確にしていくことをおすすめします。
留学は目的ではなく、手段であること。
このことを意識して、「自分はどのような留学に挑戦したいか」を考え、実現のためにはどのような大学がよいか、という視点で受験校選びをされるとよいのではないかと思います。
皆さんを応援しています。

グローバル教育センター事務部 松田さん:
受験を控えた皆さんには、「自分が本当に学びたいこと」を軸にして、受験校や学部選びをすることを強くおすすめしたいです。
「国際」「グローバル」といった言葉のイメージに囚われるのではなく、「実際に何を学べるのか」「自分は何を勉強したいのか」という意識を高く持つことが大切です。
法政大学では、学部の枠を超えて参加できる海外プログラムもたくさん用意しています。
本当の意味でのグローバルな体験を学部を問わずに提供できますので、安心して、ご自分の学びたいことを軸に学部選びをしていただければと思います。

── 本日は貴重なお話をありがとうございました!

法政大学の基本情報

大学名 法政大学
学部 法学部、文学部、経済学部、社会学部、経営学部、国際文化学部、人間環境学部、現代福祉学部、キャリアデザイン学部、グローバル教養学部、スポーツ健康学部、情報科学部、デザイン工学部、理工学部、生命科学部
所在地(住所) 【市ヶ谷キャンパス】〒102-8160 東京都千代田区富士見2-17-1
【多摩キャンパス】〒194-0298 東京都町田市相原町4342
【小金井キャンパス】〒184-8584 東京都小金井市梶野町3-7-2
留学プログラム 派遣留学
認定海外留学
短期語学研修
国際インターンシップ
国際ボランティア
グローバルシナジープロジェクト
学部独自の留学制度(SAプログラム等)
大学公式HP 【法政大学HP】https://www.hosei.ac.jp/
【法政大学グローバル教育センターHP】https://www.global.hosei.ac.jp/
SNS 【法政大学】
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インスタグラム(交換留学生受入プログラム)

※ 取材時の情報を掲載しています。

真のグローバル人材の育成に邁進する法政大学の取材後記

法政大学 ESOPウェルカムパーティー

法政大学が理念として掲げる「グローバル大学の実現」は、「留学制度の充実」「英語力の強化」といった、表面的な取り組みだけを指すものではありません。

広い世界に身を置き、自らを見つめ、問い続け、そして行動していく学生を育てる。

「真のグローバル人材の母校」としての確固たる自負を、今回お話を伺い、強く感じました。

短期の語学研修から専門分野の学びを深める派遣留学まで、バラエティ豊かなプログラムと手厚い奨学金制度が整う法政大学。

グローバルなチャレンジを志す学生にとって、理想的な環境が待っています。

取材日:2026年9月10日
取材/文:川崎美和
写真提供:法政大学