函館大学は、日本有数の国際観光都市である函館市にキャンパスを置く、「商学部商学科」の単科大学です。
学生たちは、地域社会や企業とのプロジェクトを行う問題解決型学習を通じて、実社会で役立つ知識や実践力を身につけています。
函館大学のグローバル教育は、留学の前段階として、海外への興味を深める独自の取り組みが充実している点が魅力です。
函館大学ならではの「海外プロジェクト」や「海外旅行補助金制度」は、語学力にかかわらず参加・利用でき、学生の海外へ踏み出す第一歩を力強く支えています。
今回は、函館大学地域連携センターの八重樫さんに、函館大学の国際交流や留学制度について詳しくお話を伺いました。
目次
留学への第一歩になる函館大学の「海外プロジェクト」とは

── はじめに、函館大学の国際交流の魅力を教えてください。
本学の国際交流の魅力は、語学レベルに関係なく、どの学生も国際感覚を磨き、海外への興味・関心を深められることです。
たとえば、本学では留学に行く準備段階として海外の社会や文化を知る取り組みを行っています。それが、協定校である台湾の長栄大学との「海外プロジェクト」です。
もともと本学では、学生が街に出て、函館市や道南地域の課題を自ら見つけ、解決方法を考えるグループワークを行ってきました。
これはPBL(Project-Based Learning)と呼ばれる学習法で、問題解決力やコミュニケーション力、自主性を育て、実践的なスキルを養います。
この地域課題に取り組む学びを海外に広げたものが海外プロジェクトです。年間を通じて長栄大学の学生と共同で、テーマに沿った研究や調査を行います。
長期休暇期間を利用し、本学の学生が台湾に行ったり、逆に長栄大学の学生を本学に迎えて交流することもあります。
長栄大学には日本語を学ぶ学科があり、日本語でコミュニケーションを取れる学生も多いため、交流しやすく、本学からも多くの学生が積極的に参加しています。
── 長栄大学とのプロジェクトでは、具体的にどのような活動をされていますか?
これまでさまざまなテーマに取り組んでおり、近年では、函館・道南地域の観光に関する課題について研究を進めています。
函館は観光地として知られており、海外からの観光客も増えています。一方で、観光客が増えることによって、市民生活への影響や地域で観光客を受け入れるための環境作りなど、新たな課題も生まれています。
たとえば、市民が電車に乗ろうとすると行列ができている、ビジネスで函館に行かなくてはいけないのにホテルの予約が取れない、といった問題です。こうした状況は、最近よく耳にする「オーバーツーリズム※」の一例です。
※ 特定の観光地において、観光客が増加することで、住民の生活や自然環境などに悪影響を及ぼす現象。
海外プロジェクトでは、こうした地域の課題に対して、台湾の長栄大学の学生と一緒に解決策を考えます。
昨年度からは、観光業で働く人材を確保できる可能性について研究しています。函館大学の学生と長栄大学の学生がグループを作り、ホテルや寿司店など、観光客や海外の方が集まる場所で職業体験を行っています。
長栄大学の学生と一緒に働くことで、海外からの人材が函館で仕事をすることの問題点をお互いに身を持って調査できます。
── 海外の学生とともに学び、職業体験することは、函館大学の学生にとってグローバルな視点を身につける貴重な機会になりそうです。
そうですね。海外プロジェクトは、いきなり長期留学に行くのではなく、その一歩手前で海外の学生と一緒に学び、交流する取り組みです。留学への助走のような役割を持っています。
海外プロジェクトに参加することで、「留学したい」「もっと中国語を勉強したい」「英語圏にも行ってみたい」という気持ちを持つ学生も少なくありません。
このような海外プロジェクトは、昨年度協定を結んだ韓国の東新大学とも行っています。通訳のサポートがあるため、韓国語が話せなくても参加でき、こちらも学生にたいへん人気です。
もう1つ、学生が海外への一歩を踏み出す後押しとして取り組んでいるのが、「海外旅行補助金制度」です。
函館大学独自の海外旅行補助金制度で海外への一歩を後押し

── 「海外旅行補助金制度」とはどのような制度ですか?
本学の学生を対象に、海外旅行の費用を補助する制度です。海外旅行を経験することで、海外へ目を向け、留学に興味をもってもらいたいという思いから整備しました。
グループごとに支給しており、支給額は旅行に参加する学生が1人〜2人の場合は1人につき1万円を支給します。
3人参加する場合は1人当たり1万5000円、4人参加の場合は1人当たり2万円を支給します。参加人数が多いほど支給額が増える仕組みで、いずれも返還の必要はありません。
人数によって金額が異なるのは、学生同士で誘い合って、1人でも多く海外を経験してもらいたいからです。
── 函館大学の学生さんが羨ましいです!支給の人数に上限はあるのですか?
より多くの学生が利用できるよう、補助金の支給人数に上限は今のところ設けていません。申請し、所定の審査を通過すれば、補助金が支給されます。ただし申請は在学中1回のみです。
支給の条件は、危険地域には行かないこと、旅行中の写真を大学の広報に使用させてもらうこと、帰国後に800字程度の報告書を書いてもらうことなどです。
報告書を読むと、学生たちは自分の語学力の未熟さや、観光業の日本との違いなど、豊かな感受性で多くのことを学んでいることがわかります。
学生にとっても、報告書を書くことは、海外経験を振り返り、次の段階につなげる良い機会になっているようです。
── 海外旅行でさまざまな経験をして帰ってきた学生に、変化は見られますか?
はい。視野が広がり、海外への興味が深まる学生が多いです。海外プロジェクトや留学説明会に参加する学生や、英語学習の意欲が高まる学生もいます。
本学ではTOEIC講座を開講しているのですが、それに参加してスコアを伸ばす学生も珍しくありません。
この制度を利用した学生たちは、海外の文化や社会に触れ、自分の課題に気づき、次の学びへと進んでいます。
ハワイのパシフィック大学との交換留学で幅広く学ぶ函大生

── では、函館大学で用意されている留学プログラムの内容を教えてください。
本学ではおもに3種類の留学プログラムを整備しています。
まず1つ目が、ハワイのパシフィック大学に半年から1年間、交換留学するプログラムです。
一定の語学力が必要ですが、留学先の学費を納入する必要はなく、本学の学費のみで留学できます。
パシフィック大学で修得した単位は、内容に応じて本学の卒業に必要な単位として認定されます。そのため、所定の条件を満たせば、最大1年間留学しても4年間で卒業できるのが特長です。
ただし、教員免許の取得を目指す学生は、少し注意が必要です。
取得を希望する免許の種類によっては、介護等体験や教育実習などが必要となるため、留学との両立が難しい場合があります。
そのため、一人ひとりの履修状況や希望進路に合わせて、5年間での卒業を視野に入れた履修計画を個別に指導することもあります。
── 留学先ではどのような勉強をするのですか?
現地の学生たちとともに、マーケティングなど本学で学んだ分野の学びをさらに深めていきます。
ただ、このプログラムで留学する学生の中には、留学前に本学の単位をほとんど修得している学生もいます。
そのような学生は、卒業に必要な授業にこだわらず、学びたいことを自由に勉強しています。
過去には、インターンシップに参加する学生のほか、留学先ならではの学びとして、専門分野にとらわれず、現地の刑法などの科目を履修する学生もいました。
将来国際的な舞台で活躍する公認会計士を目指している学生は、非常にレベルの高い会計学の授業に挑戦して、苦労しながらも単位を修得しました。
現地の文化を体験するため、フラダンスの授業を履修する学生もいて、それぞれ充実した留学生活を楽しんでいます。
── 函館大学の学生はハワイの過ごしやすい環境でのびのびと学んでいるのですね。
函館大学では長期休暇中の語学留学に手厚い補助金を支給

── 次に、2つ目の留学プログラムについて教えてください。
2つ目は、長期休暇中の語学留学です。以前は春休みの留学プログラムが中心でしたが、規定を改正し、夏休みや冬休みにも参加できる制度にして、学生が留学に挑戦できる機会を増やしました。
この留学プログラムは、英語力を養うのが目的です。オーストラリアのニューカッスル大学付属の語学学校や、フィリピンのセブ島でのプログラムを準備しています。
オーストラリアではホームステイ、フィリピンでは設備が整った学生寮で、英語漬けの環境の中で学んでいます。
ちなみに、長期休暇中の留学に参加する学生には、TOEICのスコアに応じて補助金を支給する制度があります。
人数に上限はありますが、TOEIC400点以上で15万円、500点以上で30万円を支給しており、返還の必要はありません。
── 経済的な支援も充実していますね!
2つの学位が取得できる長栄大学とのダブルディグリープログラム
── 3つ目の留学プログラムはどんな内容ですか?
3つ目は、台湾の長栄大学とのダブルディグリープログラムです。
本学で2年間学んだあと、長栄大学で2年間学ぶと、両方の学位(卒業資格)を得られます。
学費は、最初の2年間は本学に納入し、後半の2年間は長栄大学に納入します。日本に比べて台湾の大学の学費は安いので、双方の学生の不利益にならないような制度にしています。
長栄大学の授業は中国語で行われるので、中国語学習のサポートとして、長栄大学からオンライン教材が提供されます。出発直前まで中国語の力を伸ばせるので、しっかり準備をして留学できる点も特長です。
長栄大学からも留学生を迎え、現在2名が本学に編入して学業に励んでいます。

自主性を育てる函館大学の留学サポート

── 留学に関する相談に乗ったり、留学準備のサポートをする場所はありますか?
留学の相談や情報提供は、「地域連携センター」で行っています。留学についてわからないことなど、個別に相談を受けています。
── 留学中に困ったことが起きた場合は、どのように対応していますか。
ハワイへの留学では、問題が発生したら、まず派遣先大学の国際課に相談するよう学生に伝えています。同時に、函館大学側ともチャットで連絡を取れる体制を整えています。
地域連携センターのスタッフは2週間に1度、学生と連絡を取るようにしています。「風邪をひいてしまった」「バスのチケットがうまく使えなかった」「書類提出を促す連絡が来た」など、さまざまな相談がありますので、その都度対応しています。
必要があれば、地域連携センターのスタッフが留学先の大学へ連絡を取ることもあります。
ただ、大学側が何でも代わりに解決してしまうと、学生が成長する機会を奪うことになりかねません。
必要な情報は伝えながらも、基本的には学生が自分で留学先に相談して問題を解決し、自立して海外で生活できるように支援しています。
個別指導も!レベル別TOEIC講座で函大生の英語学習をサポート

── 留学するには、語学力の準備も必要だと思いますが、語学学習の支援はされていますか?
本学の地域連携センターはラーニングセンターも兼ねており、このラーニングセンターで学生のさまざまな学びを支援しています。英語学習支援もその中の1つです。
── 英語学習のサポートは、どなたが行っていらっしゃいますか?
私はもともと高校の英語教員でしたので、私が指導しています。
「英語力を上げたい」という学生の個別相談に応じるほか、TOEIC講座を開講して学生の英語力の向上をサポートしています。
TOEICは留学のほか就職活動にも役立つので、TOEIC講座は学生の関心が高い講座です。
TOEIC講座はレベル別に開講しており、自分の語学力に合わせて学習でき、TOEICのスコアを大きく伸ばす学生もいます。
また、英語が基礎レベルの学生には個別指導を行っています。弱点を見つけ、その課題を一つひとつ克服していく作業を一緒に行っています。
── 一人ひとりの状況に合わせて指導されているのですね。とてもきめ細かなサポートだと感じます。
そうですね。本学は学生が300人ほどですので、学生と教職員の距離が近く、学生一人ひとりに目が行き届きやすい環境です。
学生の目標が決まれば、教職員がしっかり後押しする体制を大学全体で整えています。
高校生も参加できる函館大学の国際交流イベント

── 高校生が参加できる国際交流イベントはありますか?
長栄大学との海外プロジェクトでは、長栄大学の学生が来日した時に、国際交流イベントを行っています。
本学の付属校や函館市内の高校から高校生を招き、台湾の学生、本学の学生と一緒に台湾料理のルーローハンを食べたり、中国語を勉強したりしています。
── 台湾の雰囲気を楽しく体験できそうですね。高校生が、函館大学の国際交流や留学制度についてより詳しく知る方法はありますか?
留学については、本学の公式サイトの留学のページに詳しい情報が掲載されています。
また、オープンキャンパスでは個別ブースで留学についての相談も受け付けています。
オープンキャンパスには、教職員だけでなく、学生もオープンキャンパススタッフとして運営に関わっています。
海外プロジェクトやラーニングセンターでの英語学習など、実際に参加した学生からリアルな話が聞けますので、興味がある高校生の皆さんにぜひ参加していただきたいです。
函館大学から受験生へのメッセージ

── 最後に、函館大学の受験を検討している中高生にメッセージをお願いします。
受験生の皆さんは、毎日英語を勉強していると思います。
大学生になると、サークル活動やアルバイトなどでとても忙しくなるので、今のうちに英語力を伸ばしておきましょう。
ただ、英語が得意でなくても国際交流に参加できるのが函館大学の強みです。
海外に興味がある人は、まずは本学の海外プロジェクトに参加してみてください。
また、プロジェクトを通じて、英語だけでなく中国語や韓国語を学ぶチャンスも函館大学にはあります。
留学を目指す人は、私と一緒に勉強して、交換留学の語学要件を突破し、ぜひ世界に羽ばたいてください!
函館大学の基本情報
| 大学名 | 函館大学 |
|---|---|
| 学部 | 商学部 |
| 所在地(住所) | 北海道函館市高丘町51-1(〒042-0955) |
| 留学プログラム | 交換留学、ダブルディグリープログラム制度、語学留学、海外プロジェクト |
| 大学公式HP | https://www.hakodate-u.ac.jp/ |
| SNS | 函館大学オープンキャンパススタッフ Instagram 函館大学公式 Instagram |
※ 取材時の情報を掲載しています。
【取材後記】学生一人ひとりにフォーカスする函館大学の国際交流支援
函館大学では、留学相談と英語学習の指導を同じ教職員の方が担当されているので、学生一人ひとりの英語力や目指す留学先に合わせたサポートができます。
また、英語学習から留学準備、留学後まで、教職員が成長を見守りながら継続的に支援できるのも魅力です。顔を合わせる機会も多いので、留学や英語学習の相談もしやすいでしょう。
今回取材に応じてくださった八重樫さんによると、留学の相談のほか「就職活動に有利になるTOEICのスコアは何点?」「海外で働くにはどれくらいの英語力が必要?」といった英語学習に関する質問をする学生もいるそうです。
気兼ねなく文房具を借りに来る学生もいるそうで、「家族みたいに仲良くわいわいやっています」と話す八重樫さんの笑顔からは、函館大学のアットホームな雰囲気が伝わってきました。
実際に函館大学に足を運ぶことで、函館大学の温かく親しみやすい学風を体感できますので、ぜひ一度オープンキャンパスに参加してみてください!
取材日:2026年7月6日
取材/文:野池 亜子
写真提供:函館大学





