福祉・教育・保育・心理分野が学べる田園調布学園大学。「ともに学び、ともに生きる」をスローガンに掲げ、学生や教員、そして地域の人々とのつながりを大切にしている大学です。
『アドバイザー制度』を採用しているのが特徴で、学生約10名につき1人の教員が付き、4年間の大学生活をサポートしてくれます。資格取得を目指す学生も多く、学業や生活面において、アドバイザーの先生の存在は大きな支えになると評判です。
そんな田園調布学園大学では、同じく福祉関連の学部が充実している台湾の弘光科技大学(HKU)と提携し、海外研修やサマープログラムを通して国際的な視点で福祉や保育について見つめる機会を提供しています。
今回は、人間福祉学部共生社会学科の藤森先生に、田園調布学園大学の海外研修や、学内で実施しているDCUサマープログラムについてお話を伺いました。
目次
「学生の顔が見える交流を」田園調布学園大学が目指すグローバル教育
── 田園調布学園のグローバル教育の方針について教えてください。
本学は学生数1200名ほどの小規模な大学です。
元々は短期大学から始まったのですが、2002年に人間福祉学科が4年制になり、その4年後に保育学科が誕生しました。現在は福祉と保育、そして心理と、対人関係・対人援助を専門に学べる大学となっています。
このような特徴から、私たちは「学生と教員の顔が見える大学」であることをとても大切に考えています。
現在、本学は台湾の弘光科技大学(HKU)と提携を結んでおり、本学から学生を派遣したり、反対にHKUの学生に来ていただいたりして、国際交流を展開しています。
そして、私たち国際交流委員会のスタッフと、HKUの国際事務所のスタッフとで密に連絡をとりながら、派遣する学生・受け入れる学生の顔が見える交流を心がけています。
このように、小規模かつ専門性の高さを強みにした、密度の高いグローバル教育が本学の特徴だと考えています。
── 素晴らしいです。ちなみに、弘光科技大学(HKU)と提携を結ばれた経緯を伺ってもよろしいでしょうか。
一方の大学だけが学生を派遣するのではなく、相互に学生を派遣できる大学を開拓しようとしていたのですが、国際交流委員会の委員長だった私が台湾での留学経験があり、現地に知り合いがいて事情もわかることから、台湾の大学を探すことにしました。
過去に欧米圏の大学で研修を行ったこともありましたが、日本はアジアの一員ですし、留学生が来る数も、アジアからが圧倒的に多いことから、そういった面でも台湾が候補に挙がりました。
弘光科技大学(HKU)は、台湾にある大学の中で専門性が本学と非常によく合う大学です。規模は本学よりも大きく、福祉科や保育科があるということで、一度訪問させていただき、そこから交流につながっていきました。
福祉関連の体験を含めた欧米圏での海外研修は、学生の費用負担が大きな課題となっていました。ですが、HKUとの提携によって費用面の課題は解消され、現在は多くの学生が参加しやすい研修プログラムとなりました。
良いプログラムを、学生が参加しやすい条件で提供したいという思いがありましたので、HKUのお力を借りられて本当に良かったです。
田園調布学園大学独自の海外研修(学部プログラム)
── それでは、弘光科技大学(HKU)での研修の内容を教えてください。
本学の海外研修は、人間福祉学部、子ども教育学部、人間科学部の共通プログラムです。
そのため、各学部の専門分野に絞った研修というよりも、異文化理解を主軸に据えたプログラムとなっています。
2025年度に第1回目の研修を実施したのですが、そのときは台湾スイーツを作る授業でパイナップルケーキを作ったり、虹色ケーキを作ったりしました。他にも、ピラティスなど体を動かす体験もしました。
また、海外研修をより充実した異文化理解の機会にするため、学生同士の交流を積極的に取り入れたプログラムにしています。
その一つがバディ制度です。現地の学生がバディとなって本学の学生と行動をともにし、交流を深めていきます。
滞在期間は約1週間で、現地ではHKUの学生寮に滞在します。
── それはとても楽しそうですね。研修では、福祉関連の体験や施設見学などもしますか?
もちろん、HKUの福祉関連の体験もあります。たとえば車椅子体験をしたり、併設の幼稚園を見学したりします。
第1回目の研修では、台北の大安区にある小学校を見学させていただきました。
この小学校はエコに対する意識が非常に高く、学校の中に菜園を作って子どもたちと一緒に野菜を育てたり、コンポスト※や土作りなどもしているんです。
※ コンポストとは、家庭で出た生ゴミや落ち葉などの有機物を微生物の働きを利用して発酵・分解させ、堆肥を作るための容器、またはその方法のことをいう。
研修では校庭で育てた野菜を使って一緒に料理をして、出来上がった料理を一緒に食べて交流をしました。
本学の学生は日本の歌や踊りを紹介して、みんなで一緒に歌ったり踊ったりして楽しい時間を過ごしました。
── とても貴重な体験ですね。研修では他にどんな体験ができますか?
台湾を知ることも大切だと考えておりまして、文化施設の見学もプログラムに組み込んでいます。
台湾には現代的な文化施設もあるので、第1回目の研修では博物館に行ったり、日本人建築家が設計した「台中メトロポリタンオペラハウス」に行ったりしました。アート好きな学生はとても感銘を受けたと言っていました。
また、1週間のHKUの研修が終わった後、台中から台北に移動して2泊3日ほど滞在しました。中正国立紀念堂や清朝時代からある町並みが楽しめる、迪化街というところにも行きました。
台北市にある国立中正紀念堂も見に行った際、学生たちはあまりの大きさに圧倒されているようでした。
── 第1回目は何人くらいの学生さんが参加されましたか?
10名の学生が参加してくれました。
第1回目とあってまだプログラムが学内に浸透していなかったので、今後はもっとたくさんの学生が参加してくれるのではないかと期待しています。
── 海外研修に行く前に、日本で事前研修は行われていますか?
はい、海外研修は授業扱いになるので、事前・事後学習をしっかりと行っています。
事前研修では、主に台湾の文化や社会、歴史に関することを学びます。教員の講義に加えて、学生たち自身が調べて、調べた内容を発表しあい、情報をシェアする時間もあります。
語学については挨拶などを少し学んだりします。
その他、現地で過ごすにあたっての注意事項も伝えています。たとえば、台湾はスコールのような急な豪雨が降ったりするので、服装や、スコールが降ったときの対応などを事前に伝えるようにしています。
授業以外でも、何か気になることがあれば教員や国際交流担当の職員にすぐに相談できるような環境ですので、気軽に声をかけていただければと思います。
世界各国から学生が集まる「HKUサマープログラム」にも参加できるチャンス
── 海外研修のほかにも留学プログラムはありますか?
先ほど紹介した海外研修先の弘光科技大学(HKU)では、毎年8月に約2週間の「HKUサマープログラム」というものを開催しています。
HKUは大きな大学で、世界各国に協定校があり、毎年10ヵ国くらいから50数名の学生を招待しています。招待なので、プログラムの参加費はかかりません。
本学もHKUの協定校なので、この国際サマープログラムに毎年2名~3名の学生を派遣しています。
── HKUサマープログラムでは、具体的にどういった学びや体験ができますか?
HKUにはさまざまな学部があり、その特性を活かしていろいろな体験ができます。
たとえば、ベーカリーの学科があるので、パイナップルケーキを作ったり、タピオカミルクティーを作る体験もできます。
その他、化粧品の学科で乳液を作ったり、美容学科でヘアセットやメイクの体験ができます。
ロッククライミングやピラティス体験といったプログラムもあり、本当にいろいろな体験ができるプログラムなんです。
プログラム実施期間中の2週間は、HKUの学生寮に泊まるのですが、週末には現地のバディ学生と一緒に台中郊外や台北に行って、観光を楽しむことができます。
── とても魅力的なプログラムですね。定員が2~3名ということですが、学内で選考を行って派遣されているのですか?
HKUが学生を招待する形で実施されるプログラムなので、学内で選抜を行い、選ばれた学生を派遣できるようにしています。
毎年4月頃に募集をかけて、5月には派遣する学生を決めています。応募条件は所属学部に関係なく、2年生以上の学生なら誰でも応募できます。
1年生については、大学が始まったばかりでまだ情報が少ない状況ですので、2年生以降にチャレンジできます。
HKUの学生を大学に招いて学内でさらに交流を深める「DCUサマープログラム」

── 田園調布学園大学内でも、国際交流ができる機会はありますか?
先ほど紹介したHKUサマープログラムに連動して、「DCUサマープログラム」を本学で実施しています。
HKUと連携し、HKUサマープログラムが終了した直後に、今度はバディをしていた学生を本学に招いて、日本で文化体験をしていただきます。
HKUサマープログラムが終わると、本学の学生はバディを連れて日本に帰国し、そのままDCUサマープログラムが始まる流れです。
学生の中には、海外研修、HKUサマープログラム、DCUサマープログラムのうち、複数のプログラムに参加し、約1か月間ずっと交流している人もいます。
こうすることで、お互いにより深い交流ができますし、実際に学生たちは非常に良い人間関係を構築しています。
── DCUプログラムを始めたきっかけは何ですか?
「海外に行くのはハードルが高い」「費用面が心配で海外に行きにくい」という学生も、海外に行くことなく学内で国際交流ができることを目指して、2024年度にサマープログラムを始めました。
プログラムの内容は、HKUのプログラムを参考にさせていただきました。HKUの国際事務所の方も、大学内で国際交流ができる環境を充実させたいとおっしゃっていて、方向性が同じだと思ったからです。
オンラインの普及で、若い人々の海外に出る意欲が減少しているためか、私たちだけでなく、世界的にどの大学も学内での国際交流に力を入れているように感じます。
── DCUプログラムでは、具体的にどのような交流ができますか?
DCUプログラムには、「日本文化」「福祉体験」「学生交流」の3つの柱があります。
1つ目の「日本文化」は、文化理解・文化交流ということで、本学の学生と一緒にゲームをすることで、日本語に触れていただく機会を設けています。
和菓子作りやダルマ・水引作りのほか、本学のお茶室で茶道部学生とバディ学生たちが一緒に着物を着て、自らが作った和菓子をいただきながらお茶を立てる、といった日本文化体験を行っています。
2つ目の「福祉体験」については、本学の専門分野である福祉と保育について知っていただくことを目的として、交流や体験の機会を作っています。
具体的な活動としては、本学の卒業生が経営する近くのカフェで子ども縁日を開き、そのボランティア活動を行ったり、地域福祉のカフェで高齢者の集まりに混ざって折り紙をしたり、一緒に歌ったり踊ったりします。
その他、本学で実施している高校生向けの講座があるのですが、その講座に参加して、高校生と一緒に車椅子体験をしたり、保育学科の先生と保育教材を作る体験をしたこともあります。
3つ目の「学生交流」はすでにお伝えした通り、本学のバディ学生を中心に、両校の学生が交流する機会を設けています。
体験学習だけでなく、東京観光にも一緒に行きます。最初の年は職員が同行して、浅草やお台場に行ったのですが、近年は学生主導で観光してもらっています。
スカイツリーや渋谷に行ったり、人気のカフェでお茶をしたり、江ノ島に行って花火を見たりと、学生たちで計画して楽しい時間を過ごしています。
── 非常に充実していますね。サマープログラムの実施にあたり、ご苦労も絶えなかったのではないでしょうか。
学生の派遣と受け入れを短期間で行うため、大変なこともありますが、HKUの職員の方やバディの学生も一生懸命にサポートしてくださって、励みになっています。
HKUの職員の方から、「学生たちにとって一生の経験となるように、これからも一緒にお手伝いしていきましょう」とメッセージをいただいたときは、非常に感銘を受けました。
HKUの学生も、本学の学生を育てるのと同じような気持ちでサポートしていきたいと思っています。
海外研修や国際交流を経験した学生の大きな変化
── 海外研修、HKUサマープログラム、そしてDCUサマープログラムについて伺いましたが、これらに参加した学生に変化は見られましたか?
何と言っても、プログラム参加前に比べて非常に積極的になります。
HKUサマープログラムは、本学からの参加者が1人になることもありますし、海外に初めて行く学生もいて、とても不安だという人が多いです。
ですが、いざ行って帰ってくると、人が変わったと思うくらいみんな積極的になります。台湾はやはり皆さんすごく明るくて積極的な方が多いので、その影響もあるのかもしれません。
また、外の世界に目が開かれて、語学をはじめ、やりたいことや学びたいことが増えていきます。
プログラムに参加した学生の中には、1学期間、もしくは1年の留学を希望する学生もいます。
学生の1人は4年次にHKUサマープログラムに参加して、卒業後はHKUの近隣にある静宜大学の語学コースに1年間留学し、最後はヒッチハイクで台湾一周して帰ってきました。
帰国後は中国語が話せるということで、就職につながったようです。
── 1週間~1か月の比較的短い期間でも、学生さんの成長において大きな成果が見られますね。
その他、人脈が広がったという学生も多いです。
海外研修は3学部合同のプログラムなので、学部や学年の違う学生同士のつながりができるといった良い波及効果も生まれています。
HKUサマープログラムに参加した学生は世界中に友達ができて、帰国後もずっと連絡をとり合っているという話も聞きます。韓国や日本国内の他の協定校の友達ができたという学生もいて、本人はとても喜んでいました。
── これほど充実したプログラムなら、今後は参加を希望する学生さんがどんどん増えるかもしれませんね。
そうですね。2025年度の海外研修に参加した学生は1年生が比較的多かったのですが、今後HKUサマープログラムに行きたいという学生や、DCUサマープログラムのバディ学生に志願する学生がかなり出てくると考えています。
HKUサマープログラムの選考では成績も評価に入りますので、本気で参加したいと考えている学生は、普段の授業へのモチベーションも上がるのではないかと期待しているところです。
大学全体の意欲を高める、良い循環に入ってきたと思っています。
留学プログラム参加者に補助金を支給し学生の挑戦を後押し
── 海外研修やサマープログラムの参加にあたって、経済的支援は実施されていますか?
海外研修とHKUサマープログラムの参加者には、補助金として全員一律5万円を支給しています。
海外研修の費用は自己負担となりますが、補助金が出ることで、10万円弱で参加できます。
※ 2025年度の実績です。物価・レートにより変動します。
サマープログラムにつきましては、すでにご紹介したとおり、HKUの招待ということで参加費は無料です。渡航費は自己負担なのですが、本学から5万円を支給しますので、ほとんど費用負担なしで参加できます。
田園調布学園大学の今後「協定校と連携し学生が希望する留学を実現したい」
── 留学やグローバル教育において、今後どのような点に力を入れたいですか?
現在、短期留学を希望する学生がいるので、そちらの実現に向けて話を進めているところです。
協定校であるHKUと包括協定を結んでおり、さまざまな方法で学生に留学プログラムを提供できると思いますので、協定校との関係をうまく活用しながら展開していきたいと考えています。
まずは、1学期間や1年間の留学を実現していきたいです。
田園調布学園大学から受験生へお知らせとメッセージ
── 中高生が田園調布学園大学の海外研修について相談する機会はありますか?
海外研修に限定した説明会は実施していないのですが、本学の特色を紹介する流れの中で、海外研修についても紹介しています。
そのお話の中で、海外研修に興味を持った方は、国際交流担当の職員に、海外研修について個別にご相談いただけます。
実際に、そのようにして留学のご相談をされる高校生も多いです。
── 最後に、田園調布学園大学の受験を検討している受験生に向けてメッセージをお願いします。
大学の良いところは、いろいろな経験ができるところです。
本学はアットホームな大学ですが、国際交流においてもアットホームさを存分に活かしてサポートを行っています。
大学同士がしっかりと連携をとっており、HKUでも本学で学ぶのと同じくらいのアットホームな雰囲気で研修が受けられるので、初めての海外研修でも、安心して挑戦していただけます。
ぜひ田園調布学園大学でいろいろな経験をして、国際的な視野を広げていただければと思います。
── 本日はありがとうございました!
田園調布学園大学の基本情報
| 大学名 | 田園調布学園大学 |
|---|---|
| 学部 | 人間福祉学部、こども教育学部、人間科学部 |
| 所在地(住所) | 215-8542 神奈川県川崎市麻生区東百合丘 3-4-1 |
| 留学プログラム | 海外研修(学部プログラム)、HKUサマープログラム |
| 大学公式HP | https://www.dcu.ac.jp/ |
| SNS | 公式 Instagram 公式 LINE |
※ 取材時の情報を掲載しています。
海外大学との連携で充実したグローバル体験を実現!田園調布学園大学の取材後記
田園調布学園大学の専門は福祉・教育・保育・心理分野ということで、海外研修も福祉現場の見学や就業体験が中心かと思っていましたが、実際は現地学生との交流や、異文化体験といったさまざまな体験ができるプログラムを実施されていました。
海外研修、HKUサマープログラム、DCUサマープログラムを通して、学生がお互いの大学を行き来し、長期的な交流ができる点も魅力的だと思いました。
HKUサマープログラムについては、選考に通ることができれば、ほぼ費用をかけることなく参加できるので、これほど良い機会はありません。世界中から集まった学生との交流は、きっとかけがえのない体験となるでしょう。
取材を通して、学生の希望を叶えるために日々奮闘されている先生方のお話を伺い、大学全体の温かい雰囲気が感じられました。
田園調布学園大学について、もっと詳しく知りたい方は、オープンキャンパスに参加しましょう。実際に行ってみて、大学の雰囲気を肌で感じてくださいね。
取材日:2026年2月25日
取材/文:富澤 利恵
写真提供:田園調布学園大学





