北海道から九州まで全国7箇所にキャンパスをもつ東海大学は、学生総数が3万人近い規模を誇る総合大学です。
日本の大学では珍しい海洋学部や、北欧言語を学べる北欧学科など、特色あふれる学部学科が数多く設置されています。
約1ヶ月に及ぶ航海を行う海外研修や北欧留学など、東海大学ならではの海外留学プログラムも大きな魅力です。
今回は、東海大学学長室 国際担当の工藤さんと望月さんにお話を伺い、東海大学の留学制度やサポート体制について教えていただきました。
「世界平和に貢献できる人材の育成」東海大学のグローバル教育
── はじめに、東海大学が掲げるグローバル教育の方針を教えてください。
本学の創立者は、かつて北欧のデンマークが他国との戦争に敗れた後、教育を大きな柱として国家を立て直していったことに大きな感銘と影響を受けました。
東海大学の開学は太平洋戦争さなかの1942年です。戦中・戦後と日本という国が大きく変化していくなか、本学は一貫して世界平和に貢献できる人材を育てることを教育理念として大切にしてきました。
本学では、さまざまな国からの留学生を受け入れているほか、柔道やラグビーといったスポーツを通じた国際交流も盛んに行われています。
その際も、社会情勢にとらわれず、人と人の交流を深めることで世界平和に貢献していくという信念をもって取り組んでいます。
東海大学の海洋調査船「望星丸」で行く海外研修航海

── 東海大学の海外プログラムのなかで、特徴的なものは何でしょうか?
東海大学ならではのプログラムとして、まずご紹介したいのが海外研修航海です。
本学の海洋学部が所有する海洋調査船「望星丸」に乗り、約1ヶ月間、船上生活をしながら海外各地を訪問する研修旅行です。
これまでの訪問地はハワイ・オーストラリア・南太平洋の島々など75カ所に及びます。
参加者の所属学部は問わず、全キャンパスから希望者を募ります。
── 海洋学部以外の学生も参加できるのですね。航海中はどのように過ごすのでしょうか?
教員も同行して、それぞれの専門分野に関する講義を行います。海洋学部の教員から船の仕組みについて学ぶ時間や、英語の授業もあります。
移動中も学びの時間になるのは、航海研修の大きなメリットです。
こうして船内で身につけた知識は、目的地到着後すぐに現地の方々との交流や学びに生かされます。
参加学生たちは、1ヶ月という長い期間、船上で寝食を共にすることで、お互いに刺激を与え合いながら学びを深めることができます。
北欧留学から海外インターンシップまで、目的に合わせて選べる海外留学制度

── 海外研修航海以外には、どのような海外プログラムがありますか?
東海大学では海外派遣留学プログラムとして、21の国と地域を対象に79のコースを設けています。
大きく分けて、約1ヶ月の短期プログラムと、3ヶ月から12ヶ月の中期・長期プログラムがあります。
本学は、デンマーク・タイ・ハワイ・韓国・ロシアの5カ所に海外拠点があるので、これらの拠点を生かした留学プログラムが組まれています。
なかでもデンマークを中心とした、北欧地域への留学制度が充実しているのが特徴です。
デンマークはもちろん、スウェーデン・フィンランド・ノルウェー・アイスランドといった国で、英語で開講されているプログラムに参加することができます。必ずしも現地語が話せる必要はありません。
── 東海大学には北欧学科がありますよね?北欧の言語を現地で学ぶこともできるのでしょうか?
もちろんです。例えばスウェーデン語を学ぶ学生であれば、スウェーデンに留学して、現地語を学ぶことができます。
英語で専門科目を学ぶのか、現地語の学びを深めるのか、学生自身が自分の目的に応じて選択できます。
── 就職活動や将来の仕事を意識した留学プログラムもありますか?
海外の現地企業で仕事を経験する、海外インターンシッププログラムを用意しています。
短期はオーストラリア、中期はアメリカのワシントンD.C.で行うものがあり、必要とされる英語力も異なります。
オーストラリアのプログラムでは、参加者の英語能力に合わせて、カンガルーやコアラといった動物のお世話に関わる活動や、現地の小学校・中学校の日本語クラスのアシスタント業務、一般企業での業務などに携わることができます。
── まだ英語力に自信がない学生でも、チャレンジしやすいですね。中期のワシントンD.C.の方はいかがでしょうか?
ワシントンD.C.では、約4ヶ月にわたり現地の一般企業でインターンシップを行います。
こちらのプログラムは、ある程度高い英語力が求められます。学生は、自分の専門に比較的近い業種や業務に就き、英語を使いながら仕事をしていきます。
比較的英語力に自信がある学生であっても、実際のビジネスの場での英語となると、必ずしも100パーセント理解できるとは限りません。
それでもめげずに頑張ってきた学生は、帰国後に大きな成長を遂げていきます。
── 学生時代に、英語で働く経験が積めるのは貴重ですね。
最近は留学に興味はあっても、就職活動との両立を不安に感じる学生もいます。
長期間海外に行ってしまうと、同時期に国内で行われる日本企業のインターンシップには参加できません。そのことで就職活動が不利になるのではないかと心配になってしまうのです。
その点、海外インターンシッププログラムは英語環境と就労経験の両方が手に入ります。
「留学に行きたいけど、インターンシップに参加できないから、やめておこうかな」と悩む学生には、「海外インターンシッププログラムがあるよ」と案内するようにしています。
専門分野を深める東海大学の海外研修プログラム

── 学部の専門分野と結びついた海外研修についても教えてください。
東海大学には62の学科がありますが、学科によってはそれぞれの専門分野の教員が学生を引率する学科独自のプログラムがあります。
例えば、国際学部ではエジプトやアフリカなどを訪れるプログラムがあります。アフリカのブルンジ共和国での研修では、現地のコーヒー農家との交流を通してフェアトレードについて学びます。
現地で生産されたコーヒー豆を仕入れ、日本で適正価格で販売するまでの流れに関われる貴重な学びの場です。
── 学部の垣根を越えて行われる海外研修はありますか?
はい。まだ新しい取り組みなのですが、複数の学部が連携して行う海外研修プログラムも始まっています。
本学では2021年度より、分野ごとに複数の学部をまとめた「カレッジ制」を導入しています。
例えば、国際学部・経営学部・観光学部・情報通信学部・政治経済学部は「グローバルシチズンカレッジ」に、理学部・情報理工学部・建築都市学部・工学部は「サイエンス・エンジニアリングカレッジ」に属しています。カレッジごとに学生をサポートする新たな取り組みの一つです。
このカレッジ単位で、海外研修プログラムを実施する取り組みが始まっています。
一例を挙げると、理系のサイエンス・エンジニアリングカレッジが提供するもので、フィリピンのデ・ラサール大学で1ヶ月間英語を学ぶプログラムがあります。
ほかにも、アメリカのネバダ大学ラスベガス校で行うプログラムもあります。このプログラムでは、午前中に英語を学び、午後は各自の専門に応じて現地の研究室を訪問できます。
英語を学びつつ、専門分野の学びを深めたり、専門を同じくする現地の学生と交流したりしたい学生には、非常におすすめのプログラムですね。
語学留学から長期留学までを支える東海大学の奨学金制度
── 留学費用を支援する奨学金制度について教えてください。
東海大学の留学に関する経済的支援は、大きく3つに分けられます。
1つ目は、協定を結んでいる海外の大学との間で、授業料や寮費などを相互に免除する仕組みです。対象となる費用はプログラムによって異なりますが、現地大学へ支払う費用の負担を抑えられる場合があります。
2つ目は、本学独自の支援である「海外派遣留学スカラシップ」です。中期・長期の留学に参加する学生を対象に、留学期間に応じた奨学金を支給します。
例えば、10ヶ月スウェーデンに行く学生には45万円の奨学金を支給します。使い道は学生が自由に決められるので、フライト代や現地での生活費に充てられます。
3つ目は、日本学生支援機構(JASSO)の海外留学支援制度です。大学を通じて申請し、採用された学生に対して留学先に応じた金額が支給されます。
── 語学留学に特化した支援制度はありますか?
本学では、アメリカのシラキュース大学と、カナダのブリティッシュコロンビア大学に語学留学するプログラムがあり、原則、現地の授業料は東海大学が負担しています。
── 留学先や期間に応じて、受けられるサポートも変わるのですね。自分がどのようなサポートを受けられるのか迷ったときに、相談できる場所はありますか?
各カレッジに設置されたオフィスが窓口になります。カレッジオフィスにはそれぞれ研究担当、就職担当というかたちで、担当のスタッフがいます。
留学先や奨学金のことなど、留学に関する相談ごとは国際担当のスタッフがお受けしています。
また、学長室が主催する、全キャンパスの学生を対象とした留学相談会や、留学報告会などでもさまざまな情報提供を行っています。
早めの留学経験がその後の学びや就職の選択肢を広げる
── 東海大学では、何年生で留学する学生が多いのでしょうか?
短期と中長期を合わせると、2年生で留学する学生が比較的多くなっています。
大学として2年次の留学を特別強く推し進めているわけではないのですが、学生自身がインターンシップなどの実施時期を意識し、「3年生の夏」という時期を避けた結果と言えるかもしれません。
大学では、留学に関して特定の学年を指定していませんが「なるべく早い時期に行くこと」は勧めています。
やはり留学を経験することで、その後の学びに対する姿勢やものごとの見え方も変わってきます。早い時期にさまざまな気づきを得ることで、残りの大学生活がより充実したものになると思います。
── 留学経験は、学生の進路にどのような影響を与えていますか。
留学先で刺激を受け、卒業後は海外の大学院へ進学する学生や、英語力が求められる職種や業界への就職を志望する学生もいます。
北欧学科では、フィンランドへ留学して現地でフィンランド語を学び、卒業後にフィンランド語の翻訳に携わる仕事に就いた学生もいます。大学での学びと留学経験が、仕事へ直接つながった例ですね。
留学と進路を関連づけるサポートの取り組みとして、大学では年に1回程度、留学経験を就職活動へどう生かすのかを考えるイベントを企画しています。
今年は、留学経験のある卒業生から就職活動での生かし方について体験談を聞いたり、就職情報会社の方にも外部講師として来ていただく予定です。
留学で得た気づきによって学生自身が作り上げた国際交流の場

── 留学から帰国した学生が、経験を生かせる場はありますか。
帰国した学生には、留学報告会で経験を話してもらいます。全員ではなく、代表者のみの登壇ですが、これから留学に向かう学生へ向けて、自分たちが現地で学んだことや気づきを伝える機会となります。
また、オープンキャンパスでも、留学経験を話す場を設けています(湘南キャンパス)。
帰国後の学生の行動として印象的なのが、母語の違う者同士でお互いの言語を教え合うランゲージ・エクスチェンジの活動を学内で立ち上げたことです。
これは過去にカナダのブリティッシュコロンビア大学に留学した学生が、現地で行われていた仕組みを持ち帰り、東海大学で「Tokai Language Exchange Table」として作り上げたものです。
本学に留学生として来ている外国人学生と、日本人学生がお互いに言語を教え合い、留学に関心のある学生、帰国した学生、外国人学生がつながる場となっています。
── 留学先で「いいな」と思った仕組みをそのままにせず、「自分たちでもやろう!」と行動に移した結果ですね。ほかにも、帰国後の学生が主導する取り組みはありますか?
そうですね。一例を挙げると留学から帰った学生が主導して立ち上げた、「SHIP」という学生団体が国際学部にあります。
留学生との交流を中心した、イベントの企画などを行っています。
大学から指示されて動くのではなく、海外で得た刺激や意欲をもとに、学生自身が新しい活動を始めていくことに頼もしさを感じます。
東海大学キャンパス内で養う国際感覚と語学力

── 東海大学のキャンパス内でも、グローバル感覚や視野を育てられますか?
本学には現在47カ国から約2,800人の留学生が在籍しており、外国人学生との交流を気軽に行える環境です。
学生が企画・立案したプロジェクトに対して大学が支援金を出す「Tokai Co-creation Challenge(ToCoチャレ)」と呼ばれる教育プログラムのなかにも、海外と接点をもつ取り組みがたくさんあります。
例えば、太陽光で走るソーラーカーで約1ヶ月かけてオーストラリアを北から南まで縦断するプロジェクトがあります。実際に現地に赴きますし、参加メンバーのなかに留学生がいるケースもあるので、プロジェクトへの参加がグローバル感覚や視野を広げるチャンスにつながります。
── ユニークで楽しそうなプロジェクトですね。ToCoチャレにはほかにどのような海外プロジェクトがありますか?
「Beijo Me Liga: ベイジョ・メ・リーガ」という学生団体が行う、日本で暮らす外国籍や外国にルーツを持つ子どもたちとの交流プロジェクトがあります。
── 異なるバックグラウンドをもつ人たちとの交流で国際感覚が磨かれるのですね。コミュニケーションのための語学力を伸ばすサポートがあれば教えてください。
学生が無料で利用できる「スーパー英語」という名称のオンライン教材があります。留学希望者だけでなく、すべての東海大学生が利用できます。
スーパー英語にはTOEIC・TOEFL・IELTSといった英語検定試験対策や、語彙強化に特化したコースなどが設けられていて、学生は自身の目的に応じて学ぶ内容を選べます。
こうしたオンライン教材を活用することで、語学力を着実に伸ばしていけます。
オープンキャンパスで直接聞ける先輩の留学体験談
── 東海大学の留学制度についてくわしく知りたい高校生や保護者は、どこで相談できますか?
オープンキャンパスで相談できます。留学制度について相談・質問できるだけでなく、実際に留学を経験した学生の体験談を聞ける機会もあります。
年の近い先輩の話を、高校生の皆さんはもちろん、一緒にオープンキャンパスに参加された保護者の方も、目をキラキラと輝かせながら聞いてくださいます。
オープンキャンパスを運営している側である私たちも、嬉しくなる瞬間ですね。
また、本学の留学制度については、大学ホームページやInstagramでも情報を発信していますので、合わせてご覧いただければと思います。
東海大学から受験生に向けてメッセージ
── 最後に、東海大学への進学や留学を考えている高校生へメッセージをお願いします。
本学では留学経験者に対してアンケートをとっていますが、回答した学生全員が「留学に行って『とても良かった』または『良かった』」を選んでいます。
後輩へのメッセージにも「迷ったら行ってほしい」という趣旨の言葉が多く並びます。
海外に行くことに不安を感じるのは当たり前ですが、「どうしようかな」と迷っている方はぜひ、その一歩を踏み出してみてもらいたいなと思います。
東海大学のホームページには、留学体験記もたくさん掲載しています。
現地での生活の様子も具体的にイメージしやすくなると思いますので、ぜひご覧いただきたいです。
大学としても、職員一丸となってサポートさせていただきますので、ぜひ勇気をもって世界に飛び出していってください。
── 本日は貴重なお話をありがとうございました!
東海大学の基本情報
| 大学名 | 東海大学 |
|---|---|
| 学部 | 国際学部、経営学部、観光学部、情報通信学部、政治経済学部、文学部、文化社会学部、法学部、教養学部、児童教育学部、体育学部、健康学部、理学部、情報理工学部、建築都市学部、工学部、医学部、人文学部、海洋学部、文理融合学部、農学部、国際文化学部、生物学部 |
| 所在地(住所) | ・品川キャンパス 東京都港区高輪2-3-23 ・湘南キャンパス 神奈川県平塚市北金目4-1-1 ・伊勢原キャンパス 神奈川県伊勢原市下糟屋143 ・静岡キャンパス 静岡市清水区折戸3-20-1 ・熊本キャンパス 熊本市東区渡鹿9-1-1 ・阿蘇くまもと臨空キャンパス 熊本県上益城郡益城町杉堂871-12 ・札幌キャンパス 札幌市南区南沢5条1-1-1 |
| 留学プログラム | 短期留学、中期&長期留学、インターンシップ、海外ボランティア研修、ホスピタリティー研修、海外研修航海、各学科による海外研修、他 |
| 大学公式HP | https://www.u-tokai.ac.jp/ |
| SNS | 東海大学 国際担当(TOKAI Global)公式 Instagram |
※ 取材時の情報を掲載しています。
人と人との関わりを育てる充実の海外プログラム!東海大学の取材後記
たくさんの学部学科をもつ東海大学では、それぞれの専門分野に合わせた豊富な海外プログラムが用意されています。
航海研修のように、専攻の枠を超えて学生が参加できるユニークなプログラムも充実しており、そのバランスの良さこそが東海大学の留学制度の魅力だと感じました。
これまでの留学体験記は東海大学ホームページからアクセスできます。
人と人との関わりを通して得た刺激や学びを基に、力強く躍進していく先輩学生の姿にぜひ触れてみてください!
取材日:2026年8月31日
取材/文:川崎美和
写真提供:東海大学





