北陸大学は、石川県金沢市にある文理総合の私立大学です。国際コミュニケーション分野だけでなく、医療系、薬学系、経済経営系など、さまざまな分野の学生が海外体験に触れられる環境を整えています。
今回は、北陸大学の留学制度や国際交流についてお話を伺いました。
お話を伺ったのは、北陸大学の国際教育や留学支援に携わる国際コミュニケーション学科長の田中教授と、アドミッションセンターの福村さんです。
国際コミュニケーション学科を中心とした多彩な留学プログラムに加え、学内スペース「コミュニケーションオアシス MOGUMOGU(モグモグ)」で行われている国際交流の様子についても、詳しく教えていただきました。
北陸大学のグローバル教育「海外への第一歩を、全学生に」

── はじめに、グローバル教育の全体像について教えてください。
北陸大学には、人文社会学部(2027年4月より国際コミュニケーション学部から名称を変更)、経済経営学部、薬学部、医療保健学部の4学部があり、文系・理系の幅広い分野を学ぶことができます。
一般的には、「留学は国際系の学生が中心」というイメージを持たれることがあるかもしれません。しかし、北陸大学では、学部や学科を問わず、すべての学生に海外へ出て広い視野を養ってほしいと考えています。
また、地方にある大学だからこそ、一人ひとりが国際交流に参加しやすく、学内で海外の学生や文化に触れる機会が充実しています。
「海外に行ってみたい」「異なる文化に触れたい」という思いを持つ学生に対し、学部・学科に関係なく、一人でも多くの学生が国際的な経験を積めるよう、多様な学びと挑戦の機会を用意しています。
北陸大学の体系的な留学プログラムの紹介
── 北陸大学ではどのような留学制度を用意していますか?
留学プログラムでは、段階的なステップ(導入教育→語学力強化→実践)を大切にしています。
まず、1年次の「導入教育」として、海外に出たことがない学生に向けた体験的な2つのプログラムを用意しています。2週間の中国研修(年度によってマレーシア研修)と、3週間のアメリカ研修です。
たとえば、薬学部では中国への留学で漢方や生薬について学びます。また、医療保健学部では、アメリカで理学療法士、つまりフィジカルセラピストと呼ばれる専門職がどのように活躍しているのかを学ぶ研修があります。
早い段階から海外研修に参加することで、単に語学を学ぶだけでなく、学生が自分の専門分野や将来の進路について海外と関連づけて考え始めるきっかけにもなっています。

── 自信をつけた学生は、その後どのような留学にチャレンジするのでしょうか。
2年次の「語学力強化」では、約1か月の短期留学から半年間のセメスター留学、1年間の長期留学まで、段階的に挑戦できるプログラムを用意しています。
留学先は、イギリス、アメリカ、オーストラリア、ニュージーランド、中国、マレーシアなど世界の国と地域にある、北陸大学の姉妹校・友好校・パートナーシップ校です。
希望する国や地域へ留学することができ、一定の条件を満たせば、その成果は本学の単位として認定されます。そのため、留学をしながらでも4年間で卒業することができ、安心して海外での学びに挑戦できます。

── 韓国への短期海外研修についても教えてください。
韓国研修は、3週間の語学学習に加え、文化体験を取り入れたプログラムとして人気です。
中には、韓国語を自主的に勉強した上でこの研修に挑戦する学生もいます。帰国した後は、韓国語での会話に自信がついたり、日常的なやり取りができるようになったと感じる学生もいます。
また、最近では韓国の文化や言語に関心を持つ学生も増えています。そうした学生にとって、韓国への留学機会が用意されていることは、大きな魅力の一つと言えるでしょう。

留学後の成長につながる海外インターンシップや奉仕活動
── それでは、最後のステップである「実践」について教えてください。
3年次には、「グローバル人材としての実践力を身につける」という目的で、留学から帰国した学生を中心としたプログラムを用意しています。
具体的には、マレーシアなどで行われる海外インターンシップと、カンボジアでの海外ボランティアです。
特に海外インターンシップでは、海外の企業で仕事を体験することで、英語を学ぶ目標がより現実的になります。また、実際の職場を知ることで、語学のための留学だけでは得られない職業観も身につきます。
── カンボジアでの海外ボランティアは、どのような活動を行いますか?
カンボジアでは、歴史的な背景から教育現場に課題が残る地域もあります。そこで、学生たちは現地の子どもたちに、「不思議だな」「おもしろいな」と感じられる科学実験や工作の楽しさを届けます。
また、地雷処理に関わるNGOを訪問したり、JETROを訪問したり、現地の日系企業の工場を見学したりする機会もあります。遺跡見学も含まれており、社会問題、経済、歴史、文化を複合的に学ぶ内容です。
この研修の目的は、ただ現地を見学するだけではありません。「自分たちが何を届けられるか」を深く考える点を大切にしています。

── ステップアップ式の留学プログラムで、自然と国際感覚を磨くことができるのですね。
ここで大切なのは、1年次から3年次までのすべてのプログラムに順番通りに参加しなくてもよいという点です。
学年はあくまで目安であり、北陸大学では、学生一人ひとりが自分のタイミングや興味、目標に合わせて自由に選べるよう、多様なプログラムを用意しています。
ぜひ、自分に合った留学プログラムを活用し、世界へ挑戦する第一歩を踏み出してほしいと思います。
中国語で広がる!国際コミュニケーション学科の学び
── 続いて、国際コミュニケーション学科の特長について教えてください。
人文社会学部(2027年4月より国際コミュニケーション学部から名称を変更)国際コミュニケーション学科では、英語と中国語の2つの言語を学べる教育を行っています。
たとえば、1年次には英語と中国語の両方を学び、実際に中国語を使う経験として、中国研修への参加がカリキュラムに含まれています。
中国は、欧米などの留学先と比べて移動時間や費用の負担が少なく、留学しやすい国の一つです。さらに、英語と中国語の両方を身につけることで、世界で活躍できるコミュニケーション力をより高めることが可能です。

その後、中国語をさらに専門的に学びたい学生は、本格的な中国留学やダブル・ディグリー・プログラムへとステップアップすることができます。ダブル・ディグリーとは、一定の条件を満たすことで、北陸大学と海外大学の両方の学位取得を目指せる制度です。
一方、2年次以降、英語を中心とした学修を選択した学生も、4年間中国語を第2外国語として学び続けることもでき、それぞれの目標に合わせて学びを深めていきます。
このように、国際コミュニケーション学科では、1年次の2言語学修を基礎として、学生一人ひとりが自分の興味や将来の目標に合わせて学修プランを選択できることも、魅力の一つです。
北陸大学は留学を後押しする助成金と奨学金制度が充実

── 留学のための費用面での支援はありますか?
留学に挑戦しやすい環境を整えるため、留学助成金の制度を設けています。
たとえば、中国研修では、学生の自己負担額が約10万円になるように助成しています。アメリカ研修については、12万円を支給し、約1か月間の語学留学についても、同様の金額が支給されます。
また、セメスター留学(1学期以上の留学)の場合は、上限37万5,000円※の留学助成金が設けられています。
※国の修学支援制度によって大学に支払う授業料が減額され、その金額が助成金の上限を下回る場合には、減額後の授業料が上限となります。
── ほかにも利用できる、奨学金制度はありますか?
北陸大学では、返済不要の給付型が中心の「入試奨学金制度」にも力を入れています。
入学時の成績が優秀で特待生になった学生は、4年間の特待生奨学金を利用したり、英語資格など一定の語学力を持つ学生向けの「語学取得者選抜」では、1年次の授業料が免除となるため、この制度を利用して留学費用に充てることができます。
つまり、「入学時の奨学金を受給している学生はその奨学金を活用し、それ以外の学生には上限37万5,000円の留学助成金を支給する」という形です。
加えて、JASSO(日本学生支援機構)の奨学金も活用しています。JASSOの奨学金には成績基準があり、その基準を満たした学生の中から選考し、採用しています。
特に、海外インターンシップに参加する学生は、このJASSO奨学金を利用する場合が多いです。
初めての留学でも安心!国際交流センターの手厚いサポート
── 留学について相談がある場合は、どの窓口に行けばいいのでしょうか。
留学に関する相談は、北陸大学の「国際交流センター」で受け付けています。
国際交流センターでは、入学時のガイダンスで、留学を経験した先輩の声を聞くなどの機会を設けています。海外大学とのやり取り、ビザの申請、渡航前の講習など、留学前に必要な準備をサポートしています。
また、留学中に困ったことがあった場合も、国際交流センターに連絡できる体制があります。たとえば、ホームステイ先との相性が合わない場合には、国際交流センターと現地の窓口がやり取りをしながら、対応を考えます。
留学は、楽しいことばかりではありません。生活環境が変わることで、思わぬ困りごとが出てくることもあります。そうしたときに、学生自身で抱え込まず、大学に相談するように伝えています。
── 心強いサポート体制ですね。では、帰国後のキャリア支援についても伺えますか?
留学から帰国後は、本学の学生支援課が留学経験の活かし方をサポートします。
留学経験は、就職活動や将来の進路を考えるうえで大切な材料になります。ただし、経験しただけでは相手に伝わりません。どのような目的で留学したのか、現地で何を学んだのか、どのような行動をしたのかを、自分の言葉で整理する必要があります。
学生支援課では、留学経験をどのように将来へつなげるかを一緒に考えます。国際コミュニケーション学科では、学科長も学生からの相談に乗っています。
留学前から帰国後まで、国際交流センターや学生支援課、教員がそれぞれの立場で学生を支えています。
北陸大学の国際交流スペース「MOGUMOGU」の魅力

── キャンパス内で英語に触れたり、国際交流する場所はありますか。
北陸大学には、「コミュニケーションオアシス MOGUMOGU(モグモグ)」という交流スペースがあります。
明るく開放的なカフェをイメージした空間で、学生が気軽に集まり、ネイティブスピーカーの先生による英会話レッスンなどを通して、英語を実際に使う場として活用されています。
また、北陸大学には海外留学生も多く在籍しているので、そういった留学生と一緒にMOGUMOGU SA(Student Assistant)を中心に学生交流イベントも行われています。(MOGUMOGU で七夕イベントを開催しました。学生レポート)
さらに、石川県が主催するプログラムでは、世界各国の大学生を県内に招き、交流を通して国際理解を深める機会があります。北陸大学の学生も、北陸大学独自の交流プログラムを企画し実行することによって、日本や金沢の魅力をどのように伝えるかを考えながら交流を行っています。
海外へ行く留学とは異なり、海外から来た学生を迎える経験では、自分自身が日本の文化や地域の魅力を見つめ直し、発信する力を身につけることができます。
留学に興味はあっても、いきなり海外へ行くことに不安を感じる学生は、まずは留学生や海外大学生との交流から始めてみてください。キャンパスでの身近な国際交流が、世界へ踏み出す第一歩になります。
行きたい国へ留学しよう!北陸大学から中高生へメッセージ

── 北陸大学の留学制度についてまとめると、一番の魅力は何でしょうか?
まずは、留学プログラムに「人数制限の枠」を設けていないことです。自分が「行きたい」と思う留学先を自由に選べる点が、本学の大きな特徴だと考えています。
また、留学の募集要項について、厳しい基準は設けていません。もちろん、在学中の出席状況など、基本的な姿勢が確認されます。しかし、一般的によくある「TOEICやGPAが何点以上」といった条件は課されていません。
そのため、自信がついたタイミングで留学へ挑戦することができます。学生一人ひとりが、自分の目標やペースに合わせて留学計画を立てられることが魅力です。
── ありがとうございます。では最後に、高校生へ向けてメッセージをお願いします!
北陸大学では、「世界を楽しむ力」を育てることを大切にしています。
世界を楽しむ力とは、海外に行って、さまざまな人と出会い、文化や価値観の違いを肌で感じる力です。語学力だけではありません。自分から行動し、現地の人と関わり、知らなかった世界を受け止める力でもあります。
また、留学に行かない学生にも、コミュニケーションオアシス MOGUMOGUを通じた学内国際交流の機会があります。留学生や海外大学生を迎え、金沢や日本のことを伝える経験もできます。
北陸大学の魅力は、地方の小規模大学でありながら、海外体験の機会が多方面に広がっていることです。そして、学生が「行ってみたい」と思ったときに、挑戦しやすい雰囲気があることです。
そのチャンスを自分で見つけ、手に取り、行動に移す。そこから、大学生活の可能性は大きく広がっていきます。興味のある方はぜひ、オープンキャンパスなどでお待ちしています。
── 本日は貴重なお話をありがとうございました。
北陸大学の基本情報の基本情報
| 大学名 | 北陸大学 |
|---|---|
| 学部 | 薬学部 ・薬学科 経済経営学部 ・経済学科 ・マネジメント学科 人文社会学部(2027年4月より国際コミュニケーション学部から名称を変更) ・国際コミュニケーション学科 ・心理社会デザイン学科(2027年4月より心理社会学科から名称を変更) ・メディア情報学科(2027年4月開設) 医療保健学部 ・理学療法学科 ・医療技術学科 |
| 所在地(住所) | 石川県金沢市太陽が丘1-1 |
| 留学プログラム | ダブル・ディグリー・プログラム(中国) 長期留学、セメスター留学(マレーシア英語留学、中国英語留学) 短期留学 海外インターンシップ 海外ボランティア研修 東洋医薬学導入教育プログラム スポーツ交流プログラム 韓国文化・語学体験プログラム マレーシア多民族文化体験プログラム 中国文化・語学導入プログラム アメリカ語学・社会・体験プログラム アメリカ医療体験プログラム |
| 大学公式HP | https://www.hokuriku-u.ac.jp/ |
| SNS | 北陸大学 公式Instagram |
※ 取材時の情報を掲載しています。
【取材後記】北陸大学で「世界を楽しむ力」を育てる
北陸大学では、留学プログラムが一つひとつ独立しているのではなく、学びが繋がりながら、国際感覚と語学力を高めていけるという点に、魅力を感じました。
今回お聞きした導入から実践プログラムまで、自分の好きなタイミングで参加することで、4年間で卒業しながら、語学力とリアルな国際感覚を同時に獲得することができます。
また、理系・文系すべての学部に留学チャンスがありながら、やはり、国際系の学部を有していることも、大きな強みです。
とくに国際コミュニケーション学科では、1年次は全員が中国語と英語の2言語を学びながら、より中国語を深めたいと思ったら、中国留学やダブル・ディグリー取得の機会へと繋がります。
社会へ出てから高く評価される中国語と英語の知識をどちらも身につけられるので、大学で中国語を学びたいと考えている中高生は、ぜひチェックしておきたいポイントです。
また近年、留学にかかる諸費用が高騰している中、できるだけ負担が少ない海外研修プログラムを準備したり、助成金を整えている点などからも、学生の希望を実現させるために全力でサポートしている大学だと感じました。
北陸大学の詳しい留学プログラムごとの費用等については、公式ページにわかりやすくまとめられています。本記事でご紹介した入学奨学金制度などとあわせて、興味のある方はぜひチェックしてみてください。
取材日:2026年7月24日
取材/文:永谷 知香
写真提供:北陸大学





