山形県酒田市にある東北公益文科大学は、日本唯一の「公益学」を学ぶことができる大学です。
2026年4月、山形県と庄内地域2市3町により公立大学として新たにスタートしました。
同時に、国際学部国際コミュニケーション学科を新設し、地域社会の国際化やグローバル社会で活躍できる人材の育成に取り組んでいます。
国際学部は、専門科目の約80%を「英語」または「英語+日本語」で開講するなど、徹底した英語教育を行っています。
留学制度では、2年次に全員が英語圏へ留学し、全員に留学助成金が給付されるのが大きな魅力です。
また、キャンパス内で語学力を向上させる環境が非常に整っているのも注目したいポイントです。
今回は、「東北公益文科大学ベストティーチャー」に選出された経歴を持つフェック・エドモンド先生に、おもに国際学部の留学制度について伺いました。
東北公益文科大学ではグローバル社会で活躍できる人材を育成

── はじめに、東北公益文科大学の教育方針を教えてください。
本学の国際学部では、英語を中心に学びながら、中国語、韓国語などの多言語や、世界のさまざまな文化への理解を深めていきます。
語学力を身につけることだけが目的ではありません。異なる文化や価値観を持つ人々と円滑にコミュニケーションをとり、お互いを尊重しながら協力できる人になるための言語運用能力を身につけるのが国際学部の方針です。
また、異文化だけでなく日本文化や社会についても深く学び、自分の考えを世界に向けて発信できる力を養います。
海外の人と交流する中で、日本の魅力を自分の言葉で伝えられることも、国際社会で活躍するためには欠かせない力なのです。
このような学びを通じて、広い視野と国際感覚を養い、地域社会の国際化やグローバル社会の持続可能な発展に貢献する人材の養成を目指しています。
東北公益文科大学国際学部は2年次に全員が英語圏へ留学

── 貴学の留学制度には、どのような魅力があるかお聞かせください。
本学の国際学部では、2年次に英語圏への留学を必修としており、全員が留学することが魅力の一つです。
実際に海外で暮らすことで、語学力の向上に加えて多様な文化に触れ、異文化に対する理解を深めるのが留学の目的です。
留学先で受講した授業の単位を本学の単位として認定する制度があるので、留学しても4年間で卒業できます。
また、留学が4年間のカリキュラムの一部として組み込まれているのも特長です。
1年次から2年次の前半にかけて、英語でのコミュニケーションやプレゼンテーションを授業で学び、しっかり英語力をつけた後に留学するので、入学の段階で英語力に自信がない学生も留学に挑戦できます。
3年次からは、留学経験を活かしてそれぞれの専門演習(ゼミ)※に進み、学びを深めていきます。
※指導教員のもと、少人数で専門分野について学ぶ授業。
国際学部は中期から短期・オンラインまで留学プログラムが多彩

── 東北公益文科大学の国際学部には、どのような留学プログラムがありますか?
国際学部の学生は、アイルランドのコーク大学とオーストラリアのビクトリア大学のどちらかを選んで留学します。現在はこの2カ国ですが、今後、留学先を増やしていく予定です。
期間は2か月から4か月の中期プログラムで、基本的には大学の語学コースで英語を学びます。
大学としては、中期の留学を勧めていますが、学生によっては難しい場合もあるので、3週間または5週間の短期プログラムも用意しています。
短期プログラムには、引率として教員が1名参加し、留学先に1週間ほど滞在して、学生たちが海外生活に慣れるまでサポートしています。
── 初めて海外へ行く学生も安心して留学できますね!一方で、やむを得ない事情で海外留学が難しい学生は、どのような選択肢があるのでしょうか?
海外に留学することが困難な学生は、オンライン留学も可能です。
日本にいながら、オンラインでカナダのリジャイナ大学の英語やカナダの生活・文化を学ぶ3週間のプログラムを準備しています。
以上が2年次の必修の留学プログラムです。さらに3年次にも海外で学べるプログラムを用意しています。
── 3年次には、どのような海外プログラムを用意されているのですか。
海外探究型実践プログラムとして、フィリピンで9日間国際ボランティアを行います。
事前にフィリピンの社会や経済について学び、現地では問題解決のために実際に行動するプログラムです。
また、オランダ(アムステルダム)で開催される英語を使った国際会議に参加するプログラムもあります。
世界的な課題を学んだうえで、さまざまな国からの参加者とともに実際に国際会議に参加し、討論します。帰国後には会議のテーマについて学生同士で議論し、学びを深めます。
公益学部の学生が留学しても4年で卒業できる制度を整備

── 公益学部にも留学制度はありますか?
公益学部には、短期から中長期の留学プログラムがあります。
アメリカ、カナダ、アイルランド、オーストラリアのほか、中国や台湾にも協定を結んだ大学があり、英語だけでなく中国語と韓国語も学べます。
留学先で履修した授業を本学の単位として認定するほか、進級要件に配慮し、留学しても4年間で卒業できる体制を整えています。
また、本学では公益学部、国際学部ともに1年を4つの学期に分ける「クォーター制」を導入しています。
これにより、第2クォーター(6・7月)で2か月の留学や、第2クォーターと夏休みを利用した4か月の留学に参加しやすくなっています。

出典)東北公益文科大学CAMPUSGUIDE2027※取材当時
3年次に中長期の留学に行く場合、3年次から始まるゼミなどの専門授業にオンラインで参加することも可能です。
このような制度を整えることで、学生が安心して留学に挑戦できる環境を実現しています。
留学で語学力や自主性を大きく伸ばす東北公益文科大学の学生
── 留学後、学生の様子に変化は見られますか?
はい、非常に大きな変化があります。特に中長期の留学を終えた学生は、語学力がたいへん向上しています。
留学前後にTOEICを受験して英語力の伸びを確認すると、スコアを大きく伸ばす学生が少なくありません。
留学の効果を考えると、特に国際学部の学生には2〜4か月程度の留学を経験してほしいと考えています。
── 語学力の向上以外で、学生が成長したと感じることはありますか?
自信をつけ、何事にも積極的になる学生が多いです。
留学先では「空港に迎えが来ない」「財布をなくした」など、さまざまな問題が起こりますが、自分自身で乗り越えなければなりません。
さまざまな困難を自分の力で解決することで、「自分にもできる」ということがわかり、自信につながっているようです。
また、多文化への理解が非常に深まっているのを感じます。
留学で初めて海外に行く学生も多いので、実際に外国で生活する経験は、学生の価値観や考え方を大きく変えるきっかけになります。
異文化を理解し尊重する姿勢が身につくだけでなく、日本の良さを改めて実感し、より広い視野で物事をとらえられるようになっています。

助成金+授業料免除!東北公益文科大学の手厚い経済的支援
── 留学する学生への経済的支援はありますか?
国際学部では留学を必須としているため、学生全員に留学費用の助成を行っています。
中期留学では、留学費用のうち最大45万円を助成金として給付しています。
それに加えて、本学の授業期間と留学期間が重なる場合、その分の授業料を免除します。
例えば、2か月の留学の場合、助成金最大45万円と2か月分の授業料免除約13万円の、合わせて最大58万円の補助があるということです。
短期留学では、最大30万円の助成金が給付されます。
── 学生にとってたいへん心強い助成制度ですね!公益学部にも助成金制度はありますか?
人数は限られているものの、公益学部の学生にも助成金制度があります。
年間最大15名に、短期留学費用の1/2または30万円のどちらか低い額を給付します。
対象は、2~4年生で一定の成績要件を満たした学生です。応募者が多かった場合は学内審査を実施します。
東北公益文科大学では留学前・留学中も学生を丁寧にサポート
── 留学前や留学中、学生が留学や就職活動について相談できる場所はありますか?
留学に関する相談は、国際交流センターに常駐しているスタッフが対応しています。
初めて海外渡航する学生も多いので、個別に丁寧にフォローするよう心がけています。
また、本学では今年度、学生の語学学習や国際交流をサポートする「SALC(サルク・言語自主学習センター)」を新設しました。
このSALCでも留学準備のサポートを行っています。スタッフが留学相談に応じるほか、留学に関する資料コーナーで資料の閲覧が可能です。
さらに、SALCでは留学報告会も行っています。中長期の留学を経験した学生が、現地での経験や困難の乗り越え方などを発表し、これから留学する学生にとって貴重な学びになっています。
留学中の就職活動は、学生にとって重要な関心事です。就職活動について心配する学生の声を聴き、留学中もオンラインで相談できる体制を整えました。
キャリア開発センターの専門の職員が、一人ひとりのニーズに応じて、きめ細かく支援します。
また、企業が実施している就職関連のオンラインイベントの情報提供も行っています。
言語自主学習センター「SALC」を新設!学内での語学力育成の取り組み

── 次に学内でのグローバル教育についてお伺いします。授業以外で、語学力を向上させる取り組みは行っていますか?
本学では、学生の語学力を上げるために、多くのことに取り組んでいます。
まず、協定校であるアメリカのオハイオ・ウェスリアン大学との、「オンライン・ランゲージ・エクスチェンジ(言語交換)」を紹介しましょう。
「オンライン・ランゲージ・エクスチェンジ(言語交換)」とは、異なる母国語を持つ2人が、オンラインでお互いの言葉を教え合うことです。
オハイオ・ウェスリアン大学で日本語を勉強している学生と本学の学生がペアになり、お互いに英語と日本語を教え合っています。
学生にとってリアルな日常会話や現地の文化を学べる、非常に良い機会になっています。
今まで5回ほど実施し、昨年はオハイオ・ウェスリアン大学の学生が本学を訪れ、直接会って交流を深められました。
── 現地の学生と直接交流できるのは、学生にとって貴重な経験ですね。このほかにも、学生が語学力を高められる取り組みはありますか?
先ほどお話ししたとおり、本学では学生の自主学習をサポートするため、今年度から「SALC(サルク・言語自主学習センター)」を開設しました。
静かな環境で勉強に集中できる「自主学習スペース」や、多数の英語教材を用意した「多読コーナー」、学生同士の交流ができる「ディスカッションゾーン」などがあり、学生の語学学習を支援しています。

元中学校の英語教員がSALC専属スタッフとして常駐しており、学生一人ひとりの英語学習をサポートできる点が大きな特長です。
また、SALCでは語学力向上のためのイベントも行っています。
週2~4回行っている「イングリッシュタイム」では、教員と学生アドバイザーが英語を教えたり、英語の勉強法の相談に対応したりしています。
学生は自由に参加でき、英会話やボードゲームなどで楽しく英語を学べます。
教員だけでなく学生アドバイザーがいるので、学生たちが気軽に足を運べる雰囲気があり、多くの学生でにぎわっています。
さらに、学生のニーズに応えて、TOEIC対策セミナーの開講が決まっています。
学生が自主的に語学を学ぶサークルもSALCの利用が可能です。英語だけでなく中国語のサークルもあり、普段の勉強会のほかイベントも開催し、積極的に語学力を高めています。
高校生も参加できるイベントで東北公益文科大学を知ろう

── 高校生の皆さんが参加できるようなイベントはありますか?
SALCで月に1回行っている「イングリッシュカフェ」には、本学の学生のほか、地域の高校生も参加できます。
酒田市のALT(外国語指導助手)※として英語を教えている外国人の先生が4人ほど来てくださり、英会話の練習をするイベントです。
※Assistant Language Teacherの略で、日本の小中高校で、日本人教員をサポートしながら英語を教えるネイティブスピーカーの先生。
先生方の出身国はさまざまで、いろいろな国のネイティブスピーカーと話ができますので、高校生の皆さんにもぜひ参加していただきたいですね。
国際学部では中国語、ロシア語、韓国語、日本手話などを授業で学べるので、英語以外の語学イベントも今後は増やしていきたいと考えています。
── 高校生がネイティブの英語に触れる良い機会になりそうですね!SALCでは、語学以外のイベントも実施されていますか?
「グローバルセミナー」として、おもに国際学部の教授の研究を一般の方にわかりやすく解説するイベントを開催しています。
例えば、「AI時代の英語学習について」「アフリカ農村世帯のレジリアンス(回復力)」など、語学や国際的なテーマで講義を行っています。
無料で誰でも参加できるイベントで、高校生や地域の方に本学国際学部を知ってもらう機会となっています。
グローバルセミナーの様子は地元の新聞にも取り上げられるなど、地域でも注目されている取り組みです。興味がある方は本学の公式サイトをご覧いただければと思います。
── 高校生が、東北公益文科大学国際学部の留学制度についてより詳しく知る方法はありますか?
オープンキャンパスでは、国際学部の教育内容や留学制度について説明しますので、実際にキャンパスに来ていただき、学内の雰囲気もあわせて感じていただければと思います。

また、公式サイトでも詳しく紹介しているので、参考にしてください。
Facebookでも、学生の留学先での様子や、キャンパス内での国際イベントの情報などをアップしています。
国際学部のPR動画では、学部の紹介とともに留学制度についても丁寧に説明しています。
東北公益文科大学から受験生へのメッセージ
── では、最後に東北公益文科大学の受験を検討している受験生に向けてメッセージをお願いします。
国際学部国際コミュニケーション学科では、地域社会の国際化や、グローバル社会の持続可能な発展に貢献できる人材を育成しています。
語学力を養い、多様な価値観への理解を深める本学での学びを通じて、人と人、地域と世界をつなぐ国際コミュニケーション力を高め、世界中の人々と協働できる力を身につけましょう!
── 本日は興味深いお話をありがとうございました!
東北公益文科大学の基本情報
| 大学名 | 東北公益文科大学 |
|---|---|
| 学部 | 公益学部 公益学科、国際学部 国際コミュニケーション学科 |
| 所在地(住所) | 〒998-8580 山形県酒田市飯森山三丁目5番地の1 |
| 留学プログラム | 短期留学、中期留学、国際ボランティア、海外探究型実践プログラム |
| 大学公式HP | https://www.koeki-u.ac.jp/ |
| SNS | 大学公式 Instagram 大学公式 LINE 大学公式 Facebook |
※ 取材時の情報を掲載しています。
【取材後記】留学に挑戦しやすい環境が整う東北公益文科大学
東北公益文科大学の留学制度で強く印象に残ったのは、経済的な支援が非常に手厚いことです。
国際学部の学生全員に、助成金の給付と授業料免除の制度が設けられ、経済的な負担を抑えながら留学に挑戦できる環境が整っています。
助成金と授業料免除の両方が同時に、しかも全員に実施されているのは全国的に非常に珍しいので、留学に興味がある受験生の皆さんには、ぜひ進学先選びの参考にしていただきたいです。
また、公立化も見逃せないポイントです。インタビューに同席された大学広報のスタッフの方から、公立化によって、受験生からの関心が高まり、山形県外からの受験生が増加した、と伺いました。
今後も県外からの入学生が増えることで、さまざまな価値観や文化が持ち込まれ、学生同士や地域での交流がより活発になり、新しいものが生まれることを期待しているという言葉が印象的でした。
この記事を読んで東北公益文科大学国際学部に興味を持たれた方は、国際学部を紹介したYouTubeをご覧ください。
インタビューに応じていただいたフェック・エドモンド先生が、国際学部で学ぶ内容や留学制度について、流ちょうな日本語でわかりやすく説明してくださっています。
東北公益文科大学での大学生活や留学について、より具体的にイメージできるでしょう。
取材日:2026年6月22日
取材/文:野池 亜子
写真提供:東北公益文科大学





