大阪工業大学は、理系・文系・文理融合の4学部17学科を擁し、教育と研究の実践に挑戦し続けてきました。その歩みは100年以上の歴史を刻んでいます。
専門分野の学びや研究だけではなく、課外のプロジェクト活動、国際交流もさかんで、学生のみなさんの成長を加速させるさまざまな環境・機会にめぐまれています。
今回は、国際交流センター課長の木村さんに、理工系大学ならではの国際交流プログラムの特徴について、実際の支援の様子も交えながら詳しくお話を伺いました。
目次
大阪工業大学が目指すのはグローバル社会に対応できる理工系専門人材の育成

── 大阪工業大学が掲げるグローバル教育の方針を教えてください。
本学は、「グローバル化社会に対応できる理工系専門人材の育成」が大きな軸になっています。
技術系の企業でも海外との関わりが以前よりも身近になっており、企業の生産拠点が海外に移ったり、海外市場を開拓したりする動きが加速しています。
今、社会からは専門分野の技術力だけでなく、海外の人と協働できるコミュニケーション能力と課題解決力のある人材が求められていると認識しています。
このような観点から、本学では段階別に国際交流プログラムを用意し、学生の成長や挑戦を支援しています。
── 学生の皆さんも、国際交流の大切さを意識されていますか?
入学時から留学や国際交流に強い関心を持っている学生は決して多いとは言えません。
ただ、国際交流プログラムに参加する学生の多くは、将来、海外を舞台に技術力を活かして働きたいと考えています。
一方で、留学に関心がない学生に対しては、興味を持ってもらえるように大学側からさまざまな働きかけを行っています。
4つのステップで段階的に挑戦できる大阪工業大学の国際交流プログラム
── 大阪工業大学の国際交流プログラムの特徴を教えてください。
大阪工業大学の国際交流プログラムは、学生の語学力や専門性の習熟度に合わせて、4つのステップに分けられています。

STEP1 海外へ飛び出す第一歩(語学研修・文化体験)
STEP1の語学研修は、実践的な英語運用能力を身につけることを重視しています。
ここ数年は、フィリピンやカナダの語学学校を中心に夏休みと春休みの2回提供しています。予算や時間に制約がある人は同じ語学学校が提供するオンラインプログラムに参加することもできます。
大学附属の語学学校を研修先に選んでいた時期もありましたが、参加費用が高いだけでなく、最小催行人数や留学期間に制約がありました。
民間の語学学校ならカリキュラムやサポート体制も充実しており、1週間単位で1人から参加できるので、学生個人の予定や語学力に合わせてクラスを選びやすい点がメリットです。
どうしても本場のアメリカやイギリスで学びたい人向けには、海外大学(サンフランシスコ州立大学とオックスフォード大)が提供するプログラムも案内しており、一人からでも参加できます。
本学では単位認定の基準にかなうよう、語学学校等ときちんとカリキュラムの打合せを行い、事前指導から事後指導までサポートを行います。
── 文化体験の方はどのような体験ができますか?
文化体験では、主にアジアの海外協定校が主催するプログラムに参加します。現地の学生と一緒に活動しながら、異文化に触れられる良い機会です。
アジアの国の人々はホスピタリティにあふれているので、グローバルマインドを養うのに最適です。
学生たちにとっては、現地の学生と交流する中で「このままの英語力では足りない」とか「日本のことを意外と知らなかった」といった気づきを得るきっかけになっています。
STEP2 ・STEP3 専門分野の研修や研究に取り組む(国際PBLプログラム・IAESTE)

STEP2とSTEP3の国際PBLは、本学の国際交流の特徴プログラムの1つです。
海外のパートナー大学と協力し、原則として隔年交代でホスト校を務め、ほとんどの学科で実施しており、20以上のプログラムがあるのですが、全体では派遣・受入合わせて、年間300人程度が参加しています。
「PBL」(Project Based Learning)とは課題解決型学習のことで、与えられた共通テーマに対してチームで解決策を考え、実践的に学んでいくことで、課題解決力を養います。
また、創造性、チームワーク、タイムマネジメント、コミュニケーション、リーダーシップなど、社会に出てから必要になる能力も養うことができます。
さらに、海外の学生と一緒に取り組むことで、異なる考え方や価値観に触れ、新しい気づきが生まれます。このような経験がイノベーションにつながっていくと考えています。
── 国際PBLには、「エントリー」と「アドバンス」がありますが、違いは何ですか?
「エントリー」は、主に2年生を対象とし、工学の基礎をベースに、海外の学生と一緒に活動しながら、異文化に触れることが重視されるプログラムです。
一方、「アドバンス」では主に3年生以上が参加し、より専門性の高い内容に取り組みます。たとえば、研究室で共同実験をしたり、フィールドワークで専門性の高い領域に踏み込んだりと、より高度な内容になります。
── STEP3の「IAESTE」はどういったプログラムでしょうか?
国際団体IAESTE(イアエステ)に加盟する大学の理工・農・薬学系の学生対象の海外インターンシップです。
主に海外の大学の研究室や現地企業で実践的な研究を行うインターンシップです。最近では、大学院生がアメリカのロードアイランド大学に約4カ月間参加しました。
ちなみに、IAESTEは本学から学生を派遣するだけでなく、海外の学生を毎年インターン生として本学の研究室に受け入れています。

STEP4 支援を受けながら専門性の高い研究ができる(海外研究支援・長期交換留学)
STEP4の海外研究支援プログラムは、主に本学の大学院への進学が内定している学部生や大学院生が、卒業(修士論文)研究の一環で、海外の大学や研究機関で研究インターンシップを体験するプログラムです。
派遣期間は1か月以上、最大で7か月までです。
理工系の学生にとって、海外の研究室で専門分野を深めることは、大きな挑戦に感じられるかもしれません。
ですが、理系の技術交流にはTOEIC®400点程度で参加している学生もいます。専門分野に関する対話では、たとえ流暢な英語でなくても、共通テーマを通じて伝え合うことができるのです。
もちろん、英語力が不要という意味ではありません。ただ、大切なのは完璧な英語ではなく、「伝えようとする度胸」や「視野を広げたいという姿勢」だということです。
本学の指導教員のサポートを受けながら準備を進めていけば、海外で研究に取り組む道も見えてきますよ。

── STEP4の長期交換留学はどのような位置づけでしょうか。
長期交換留学は、協定校や本学が加盟しているUMAP(アジア太平洋大学交流機構)の大学に、半年または1年間留学するプログラムです。留学先の授業料は免除となります。
海外の大学で授業を受けるということもあり、TOEIC®800点以上の高い英語力が求められますが、エントリーする段階ではTOEIC®600点程度あればチャレンジできます。
また一部ですが、語学力の習得を目的とする派遣先もあり、高い語学力がなくても参加できます。
グローバル学習支援制度で経済的に留学を支援
── 留学のための奨学金制度について教えてください。
本学では、海外留学を希望する学生の支援とグローバルマインドの維持向上を目的に、参加費用の一部を支援する「グローバル学習支援制度」を設けています。
Stepが高くなるほど手厚くサポートしています。詳しくは本学公式サイト「国際交流」のページ(国際交流プログラムのサポート体制)を参照してください。
留学フェアまたは国際交流センターで留学相談ができる
── 学生が留学計画を立てる際に、相談できる場所や情報収集の機会はありますか?
年2回、留学フェアを実施しています。4月には主に夏休みのプログラムに向けて、10月には春休みのプログラムに向けて、約1週間かけて留学説明会や相談の機会を設けています。
留学フェアでは、国際交流プログラム全体の概要とともに、プログラム別の説明会を行います。
説明会に参加できなくても、説明会の記録動画と資料を約1か月間閲覧できるように学内限定で公開しており、関心を持った学生が相談しやすいようにしています。
また、国際交流センターでは、個別の相談にも随時対応しています。
たとえば、「留学に興味はあるけれど、何から始めればいいかわからない」「大学のプログラムとは違う国に行きたい」といった相談でもかまいません。
大学が用意するプログラムに限らず、学生の希望に応じて情報を伝えたり、アドバイスしたりしています。
── 留学を経験した先輩と交流する機会はありますか?
留学フェアでは、実際にプログラムに参加した学生に協力いただき、説明会の最後に登壇し、体験談やアドバイスを伝える時間を設けています。
海外研究支援プログラムについては成果報告会を実施しており、こちらに出席すれば先輩の体験報告を聞くことができます。
また、国際交流プログラムに参加した学生全員が、自身の経験を振り返ることを目的に成果レポートを提出することになっており、学内専用サイトでいつでも閲覧することができます。
大阪工業大学は出発前の準備から帰国後のフォローまで手厚く対応
── 留学に行く学生さんへの、準備から帰国後までのサポートについて教えてください。
留学前には、動機づけや危機管理、渡航に関する準備など、国際交流センターが手続き面を含めてサポートしています。国際PBLなど専門分野に関する事前教育は担当の先生が熱心に指導されています。
長期交換留学に参加する学生には、中間報告やレポートを通して、自分の気づきを整理できるようにしています。
また、帰国後も振り返り報告会や体験レポート等の提出を課しています。レポートでは、留学経験を就職や進学にどう活用するのかにも触れ、次にどうつなげるか考える機会をつくっています。
── 振り返りは大事ですよね。海外経験を通して、学生の成長を感じることはありますか?
それはすごく感じます。最初はおどおどしていた学生が、海外経験を経て、自ら積極的に人前で発表できるようになり、自信が表情にも現れます。
複数のプログラムに参加する学生の中には、回を重ねるごとにリーダーシップを発揮する人もいます。
大学側としては、できる限り段階ごとにステップを踏んで、何度でも挑戦してほしいと考えています。
大阪工業大学のキャンパスは英語と国際交流に触れられる環境

── 海外派遣プログラムに参加しなくても、キャンパス内でグローバルな視野を育てる機会はありますか?
大宮キャンパスには、Language Learning Center、通称LLCがあります。LLCには英語ネイティブと日本語の教員が常駐しており、学生が気軽に英語でコミュニケーションできる場所となっています。
昼休みにはフリーカンバセーションを行っており、弁当や飲み物を持ってネイティブ教員や学生スタッフと英語で会話を楽しめます。予約をすれば、マンツーマンの相談にも対応しています。
最初は施設の中に入るのに緊張するかもしれませんが、ゲームを楽しみながら各自の話題など自然と英語でコミュニケーションが取れるようになっていきます。
また、LLCに置かれている英語教材やDVD、雑誌などは自由に閲覧でき、TOEIC®の勉強に活用する学生も多いです。
もちろん、梅田キャンパスと枚方キャンパスの学生も自由に利用できます。またそれぞれのキャンパスにもLLC教員が毎週出講し、同様のサービスを提供しています。
── LLCはぜひ活用したいですね。ちなみに、交換留学生と交流することはできますか?
そうですね。先ほど紹介したLLCは、実は留学生にとって日本語を学ぶ場にもなっているんです。留学生のための初級日本語クラスを開講していて、留学生が毎日LLCを訪れます。
日本人学生が英語を学び、留学生は日本語を学ぶ一方で、学生同士、交流目的に来るので、LLCは自然と国際交流の場になっています。
他にも、本学には国際友好部という交換留学生との交流やバディ活動に関心を持つ学生が集まった団体があります。彼らは定期的に交流パーティーを開くなど、キャンパス内で国際交流を楽しむ機会をつくってくれています。
また、本学の交換留学システムの特徴として、交換留学生は必ずどこかの研究室に所属される仕組みがあります。留学生は、所属研究室の指導教員のもとで日本人学生と一緒に過ごすので、日常的に交流が生まれています。
大阪工業大学より受験生へのメッセージ
── 受験生が国際交流について相談する機会はありますか?
受験相談の窓口である入試部にご相談いただきましたら、国際交流センターに取り次いでいただけますので、お気軽にご相談いただければと思います。
── 最後に、中高生へメッセージをお願いします!
本学は理工系の私立大学の中でも、国際交流がさかんな大学であると自負しております。
現在、世界28ヶ国・90以上の大学とパートナー協定を締結しています。最近は特に欧州からの交換留学生が増えました。2027年度までに協定校を100校まで拡大し、交流先の選択肢を増やして近い将来、毎年、双方の大学から1000人規模の学生が往来することを目指しています。
昨年はキャンパス内で延べ865人の学生が国際交流に参加しました。海外・国内・オンラインなど活動の場所を問わず、多様な文化や価値観を持つ人と交流を通して、「他者を知り、己を知る」つまり日本のことや地元のこと、そして自分自身のことについて気づきを得てもらいたいと思っています。
こうした気づきは、視野を広げて次のステップに進むきっかけになります。ぜひ大学生活中に国際交流プログラムにチャレンジしていただき、グローバル社会で活躍できる専門人材に成長されることを心から願っております。
── 本日はありがとうございました!
大阪工業大学の基本情報
| 大学名 | 大阪工業大学 |
|---|---|
| 学部 | 工学部、ロボティクス&デザイン工学部、情報科学部、知的財産学部 |
| 所在地(住所) | 大阪府大阪市旭区大宮5丁目16−1(大宮キャンパス) 大阪府大阪市北区茶屋町1−45(梅田キャンパス) 大阪府枚方市北山1丁目79−1(枚方キャンパス) |
| 留学プログラム | 語学研修、国際PBL、海外インターンシップ、海外研究支援プログラム、 長期交換留学 |
| 大学公式HP | https://www.oit.ac.jp/international/(国際交流ページ) |
| SNS | @oit.kokusai/(国際交流センター Instagram) |
※ 取材時の情報を掲載しています。
グローバルな理工系専門人材が目指せる大阪工業大学の取材後記
大阪工業大学の学生さんは、国際PBLの活動でも、LLCでの英会話でも、拙い英語であったとしても自分の言葉でしっかり伝えようとする姿が見られるそうです。
国際交流においては、英語のレベルや学習目的に応じて段階的にプログラムが設定されており、意欲があればグローバル人材へのステップを着実に歩むことができます。
ぜひ大阪工業大学のオープンキャンパスに足を運び、大阪工大のグローバルな環境を直接確かめてみてください!
取材日:2026年6月16日
取材/文:富澤 利恵
写真提供:大阪工業大学





