英検準1級対策

「英検準1級のレベルってどれくらい難しいの?」
「英検準1級に独学で受かるにはどうすればよいの?」

この記事では「英検準1級に受かりたい!」と思う受験生や保護者の方に向けて、準1級の勉強法や受かるコツなどをお伝えしていきます。

私自身や高校生の娘の経験談も交えながら、直前期にやるべきことや、おすすめテキストについても書いていきますので、ぜひ目を通してみてください。

英検準1級は、大学入試での優遇措置が年々拡大している背景もあり、大学進学を志す高校生が取得できると大きなアドバンテージとなります。

また「総合的な英語力の証明」として、履歴書等にも記載できるので、就職・転職活動を控えた学生・社会人の方にも取得をおすすめしたい資格です。

効率的な勉強法を身につけて、一発合格を目指しましょう!

執筆者:Lin
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小4までアメリカの現地校に通い、帰国後は「英語はネイティブ並みでしょう?」という周囲の誤解とプレッシャーゆえに、英語の勉強から遠ざかった過去あり。中途半端な英語力にコンプレックスを感じ、大人になってから再勉強。英検1級。ケンブリッジ英検CAE。TOEIC910点。さらに英語指導者(TEFL)や児童英語指導者(TEYL)の資格を持つ。プロフィールの詳細はこちら

英検準1級の試験概要は?一次試験と二次試験の内容を確認

英検準1級には、一次試験(リーディング・ライティング・リスニング)と二次試験(スピーキング)があります。一次・二次ともに基準点を超えると「合格」です。

現在英検準1級を受験するには、以下の2通りの方法があります。

英検準1級の受験方法

受験方法 詳細
従来型 ・年3回実施
・受験級ごとに指定された会場受験
・一次試験は紙ベース
・一次試験に合格した受験生のみ、二次試験に進む
・二次試験は対面式スピーキングテスト
S-CBT ・原則毎週実施
・全国のテストセンターでコンピューター受験
・同日で一次と二次をすべて受験
・一次試験が基準点未達の場合は不合格
・二次試験はヘッドセットを用いた音声入力

従来型・S-CBT型に難易度の差はありません。それでは、各試験の詳しい内容を見ていきましょう。

英検準1級一次試験の内容

英検準1級の一次試験は、筆記試験(90分)とリスニング(約30分)からなる、約120分間の試験です。

測定技能 試験内容 問題数 受験時間 解答形式
リーディング 短文語句/空所補充 18 90分 4択
長文語句/空所補充 6
長文内容/一致選択 7
ライティング 英文要約 1 記述
英作文 1
リスニング 会話内容/一致選択 12 約30分 4択
文内容/一致選択 12
リアルライフ形式/内容一致選択 5

参照)準1級の試験内容

英検準1級二次試験の内容

英検準1級の二次試験は英語での面接です。試験時間は約8分間。

面接試験の内容は、下記のとおりです。

測定技能 形式 内容 問題数
スピーキング 自由会話 面接官との簡単な会話
ナレーション 2分間で4コマのイラストの説明 1
受験者自身の意見を問う問題 イラストに関連した質問 1
カードのトピックに関連した内容についての質問 2
上記の内容をふまえ、社会性のある内容についての質問 1

参照)準1級の試験内容

英検準1級のレベルと合格率

英検準1級のレベルの目安は、大学中級程度とされています。

日本英語検定協会が英検Can-doリストとして示している「合格するための技能別の目標となる英語力」には、具体的に次のように書かれています。

英検準1級 Can-do リスト

参照)英検Can-doリスト(準1級)

つまり、英検準1級では「社会的な話題」について、「複雑な」文章や話を理解し、また自分の考えを明確に伝える力が求められることになります。

ひとつ上の級である英検1級では「専門的な話題」が扱われ、ひとつ下の級である英検2級では準1級と同じく「社会的な話題」を扱いますが、その内容は「複雑」ではありません。

ちなみにさらに下の級になると「身近な話題」「日常的な話題」となっていきます。この「扱う話題」にこそ、各級のレベル差が現れているのです。

級ごとに扱う話題の比較

扱う話題
英検1級 専門的な話題
英検準1級 社会的な話題
英検2級
英検準2級プラス 身近で社会的な話題
英検準2級 日常的な話題
英検3級

英検準1級の合格率は、現在公表されていないため正確にはわかりません。

かつては15%前後で推移していたと記憶しているので、現在もおそらく大きな変動はないと考えられます。

LinLin

誰でも出願できる試験ですので、あまり「合格率」にこだわる必要もないかと個人的には思います。

高校生でも英検準1級に合格できる?

英検準1級は、高校生でも十分合格できます。私の娘も、高校生で英検準1級に合格できました。

特に近年は、英検準1級以上を保持していると、大学入試で優遇措置を受けられる機会が増えています。

私個人の考えを言えば、高校生こそ英検準1級を取得すべきです。受験勉強が本格化する前の高校2年生時に取得するのが理想的ですね。

ただし、通っている高校のレベルにもよりますが、すべての授業が英語で行われているなど特殊な環境以外では、学校の英語の授業内容だけでは合格は難しいでしょう。

目標を定め、しっかり対策していきましょう。

英検準1級一次試験の対策と勉強法

それでは、英検準1級一次試験の対策と勉強法を具体的に見ていきましょう。

私自身の経験をふまえて、高校生の娘が実践して効果があった勉強法を厳選してお伝えします。

英検準1級単語・熟語の対策・勉強法

英検2級との大きな違いが出てくるのが、単語・熟語のレベルです。

単語・熟語の知識を、直接問われるのは大問1の18問。短文の空所に入る語句を四択で選ぶ形式です。

大問1(1)The couple decided not to buy the house in the countryside because it was so ( ). The nearest town was over two hours away by car.

1.stocky 2.cheery 3.ambitious 4.remote

大抵の英検2級保持者は、ここで一度は心が折れます。

「4つある選択肢のうち、ひとつとして読み方すらわからない」
「そもそも短文の意味もわからない」

このように思う人はとても多いです。私も初めて英検準1級の過去問を見たときに、そう思いました。

また、大問1以外のリーディング・リスニングパートでも、複雑な表現がこれでもかと出てくるのが英検準1級です。

LinLin

英検準1級合格のためには、語彙力強化は避けて通れません。しっかり対策していきましょう。

語彙を増やす近道は「読む」

では単語・熟語力はどのようにレベルアップしていけばよいのか。

私がおすすめするのは「読む」ことです。

英文を読み、文脈のなかで使われている言葉を、言葉そのもののもつニュアンスを保持したまま、理解する。

こうした訓練を重ねることで、「使える」語彙力は身につくからです。では、「何を」読めばよいのでしょうか。

教材として使いやすく、おすすめなのが旺文社の「文で覚える単熟語」シリーズです。

英検準1級文単
娘が使ってた文単のテキスト

これ1冊で、単熟語の強化だけでなく、リーディング・リスニングの対策もできる優れものです。

一般的な単語帳よりも値段は高めですが、あれこれ買い揃えるよりも格段にコストパフォーマンスは良いはずです。

「自然・環境」「医療・テクノロジー」「文化・歴史」「教育・心理」「社会・ビジネス」の5つの頻出テーマごとに、200語程度の短めの英文がそれぞれ16、合計で80文掲載されています。

まず押さえておきたいのが、各テーマの最初のページにある「テーマを知る」の項目。

特に高校生など、社会的な問題に対してまだ知識が浅かったり実体験が伴っていなかったりする場合は、この「テーマを知る」の項目に目を通すだけで最低限の重要単語と背景知識を得ることができます。

英検準1級文単語「テーマを知る」
「テーマを知る」

テーマごとの「重要単語」を押さえた上で、どんどん英文を読み、「どのような文脈で使われている単語か」ということを頭に叩き込んでいきます。

英検準1級文単語「本文」
本文

もうひとつ、「絶対に合格したい」と考える方にぜひ取り組んでいただきたいのが、各テーマの最後ページにある「確認テスト」の3番と4番です。

次の単語の意味に最もちかいものをそれぞれ1~4の中から1つ選びなさい

(1)captivate

1.ignore 2.testify 3.doom 4.attract

同義語を選ぶ問題で、難易度は高いものの言葉のイメージが広がるので、語彙力の大幅アップが見込めます。

逆に優先順位が下がるのが「確認テスト」の1番と2番。これは日本語と英語を結びつける問題なので、言葉のイメージが広がりません。「やるな」とは言いませんが、まずは同義語を問う3番と4番を完璧にしてからでも、取り組むのは遅くありません。

次の日本語の意味の単語を下の1~12の中から選んで書きなさい

(1)思い出させるもの
(2)等価のもの
(3)研究室・実験室
 ⋮
 ⋮
(12)解剖

1.anatomy 2.descendant 3.scent …… 12.quest

同じ理由から、「英検頻出単語集」のようなものを購入して、英単語と日本語訳を結びつけて、片っ端から覚えていくやり方も、私個人としては正直おすすめしません。

「頻出」つまり「試験に出る」単語を一気にインプットできるので、一見効率が良いようにも思えますが、準1級以上の受験対策としては不十分でしょう。

英検準1級、そしてこの先の英検1級で扱う語彙は抽象的で、日本語の対訳を読んでもなかなか頭に入りづらいものばかりです。また、日本語の対訳がひとつではない単語、つまり文脈によって意味合いが異なる単語も増えてきます。

こうした難解な単語を自在に操れる、ハイレベルな語彙力を身につけるには、言葉のもつイメージ・ニュアンスまで落とし込んだ理解が不可欠です。

単語の意味だけでなく、「どう使うのか」がしっかり身についたとき、語彙力は盤石となりあなたの英語力を下支えしてくれます。

焦らずじっくり、英検合格のその先を見据えて語彙力を強化していきましょう。

英検準1級リーディング対策・勉強法

英検準1級の長文読解は、約250語を2つ、約400語1つ、約500語1つ、それぞれを読み、空所補充6問と内容一致選択7問が出題されます。

このほかに、ライティングの要約問題に出題されるのが200語程度で、これも「読む力」が必要です。

英検準1級リーディング試験 長文問題

語数 問題数 目安時間 形式
大問2 250 3 15分 空所補充
250 3
大問3 400 3 25分 内容一致選択
500 4

90分間の筆記試験のなかで、トータル1600語近くの英文を読み込むのは簡単ではありません。しっかり対策をしておきましょう。

リーディング力アップのためには、「読む」しかありません。集中的に大量に読むことで「読む力」は確実に上がります。

私の一押し教材は、すでに単語・熟語の対策の項でもご紹介した旺文社の「文で覚える単熟語」シリーズです。

「自然・環境」「医療・テクノロジー」「文化・歴史」「教育・心理」「社会・ビジネス」の5つの頻出テーマごとに、200~300語の英文が16こずつ、計80の文章が掲載されています。

まずはこのなかから1日2つ、「自然・環境」から1つ、「文化・歴史」から1つ、というように違うテーマから選んで読むようにしましょう。

ただし「ただ読むだけ」では意味がありません。読むときのコツを第1ステップから第3ステップまで紹介するので、参考にしてください。

【第1ステップ】声に出して読む

まずは「音読」をおすすめします。声に出して読んでみましょう。

ここで「読み方がわからない」「意味がわからない」単語があったら、印をつけておきます。

次ページをめくると、文中の重要単語の読み方や、語義がチェックできるので確認しておきましょう。

英検準1級文単語「単語」
単語をしっかりチェック

この段階で「単語を暗記する」必要はありません。

また、英文が掲載されているページの右側には、日本語の全訳がありますが、ここはまだ読まずにおいておきます。

重要単語のチェックができた段階で、もう一度「音読」をしてみましょう。1回目のときよりも少しスムーズに音読できるようになっているはずです。

この段階では、まだ文章の内容が100パーセント理解できなくても大丈夫です。

「きっと言いたいのはこういうことだろう」と見当をつけながら読み進める練習をしましょう。

【第2ステップ】音声を聞きながら読む

パソコンから音声データをダウンロード、または旺文社公式アプリ「英語の友」を使用すると英語音声を聞くことができます。

旺文社リスニングアプリ「英語の友」

第2ステップでは、この音声を聞きながら英文を読んでいきます。

1回目は音声を耳で聞きながら、英文を目で追って黙読をしましょう。

2回目は音声を耳で聞きながら、英文を声に出して読み上げます。アクセントの位置や息継ぎのタイミングも意識して読めると、リスニング対策にも効果的です。

ここで重要なのが、止まらずに「音声に合わせて読む」ことです。自分で黙読をしていると、一度読んだ箇所に戻ってしまったり、同じ箇所で止まったりしてしまいがち。

一見「丁寧に読んでいる」ようにも思えますが、実はこの「戻る」「止まる」は大幅な時間ロスを招くので、試験本番ではなるべく避けたいNG行為です。

少しくらい意味がわからなくても、一定のスピードを保ったままとにかく最後まで読み進める。これは時間の限られた試験では、非常に大切なスキルです。

しっかり鍛えていきましょう。

【第3ステップ】日本語訳に目を通す

最後に、日本語訳の全文に目を通し、自分が読み取った英文の意味が合っているかを確認しておきましょう。

一字一句、翻訳できる必要はありません。全体の意味が把握できれば充分です。

LinLin

以上のサイクルを回すことで、「読む力」は必ずつきます。「時間がない」という場合は、せめて音読だけでもやってみてください。一朝一夕では上がらないのがリーディング力です。だからこそ、如実に学習者の実力を表わし、検定試験においては合否を分ける超重要分野でもあります。集中的に「読む」訓練を積んで、一気にリーディング力を上げていきましょう。一度上がったリーディング力は、そう簡単には衰えません。

英検準1級ライティング(英作文・要約)の対策・勉強法

英検準1級のライティングは要約問題英作文の2部構成になっています。

英検準1級ライティングの要約問題

要約問題は、200語程度の文章を読み、60~70語の要約文を英語で書きます。2024年度のリニューアルで追加された新しい形式です。

「要約せよ」と言われると身構えてしまう人もいるかもしれませんが、60~70語というのは、センテンスにするとたったの3~4文です。

まずは本文をよく読み、論旨に関わる重要な箇所に印をつけておきましょう。1段落につき、1文を目安にキーセンテンスを探します。

あとは、この選び抜いた3~4文を、自分の言葉で書き換えれば完成です。難しい単語や表現を使う必要はありません。ミスなく、シンプルで伝わりやすい文章を心がけましょう。

要約問題はライティング力以上に、「読む力」が必要です。しっかりとしたリーディング力があれば難しくはありません。

LinLin

前項で紹介した旺文社の「文で覚える単熟語」に掲載されている文章は、要約問題の対策にちょうど良い200語程度です。キーセンテンスを探す練習を積んでいきましょう。

英検準1級ライティングの英作文

英作文は、与えられたトピックに対して120~150語で自分の考えを表わすエッセイを書きます。4つの「ポイント」が示されるので、そのうちの2つを文章内で使用することが条件です。

まずは、トピックに対しての自分の考えを明確にします。賛成か反対かを決めたら、その考えをサポートする論拠として、提示されているポイントのなかから2つを選びます。

次に、理由や具体例を挙げていきます。箇条書きで良いので、思いつくままにメモしていきましょう。

ここまでは日本語でもOK。メモ書きで充分ですが、しっかりと文章の流れを作ってから書き始めましょう。

必ず、以下のような4部構成になっているかを確認します。

英作文の基本構成

構成要素 役割 使える定型フレーズ
1. 序論 (Intro) 自分の主張(賛成/反対)を示す In my opinion, I agree…/
disagree with the idea that…
2. 本論1 (Body 1) 1つ目の理由と具体例 Firstly, … Because … For example, …
3. 本論2 (Body 2) 2つ目の理由と具体例 Secondly, … Because … For example, …
4. 結論 (Conclusion) 主張を再提示して締めくくる For these reasons, I believe that…

型さえできてしまえば、あとは1文ずつ英文をあてはめるだけ。全体で6~8センテンスで書き上げられるはずです。

「独学で英作文の対策はしにくい」と思われる方も多いかもしれませんが、大丈夫です。過去問や予想問題を使って、まずは英作文の「型づくり」を練習しましょう。

「意見」はあなたの本心である必要はありません。評価されるのは、「いかに説得力があるか」であり、あなたの人間性や価値観ではないのです。「書きやすい」ことを最優先にしましょう。

「型づくり」に慣れたら、実際に英語で書いてみましょう。試験本番で英作文に費やせるのは20~30分程度です。時間内に書き終える練習は必ずしておきましょう。

「時間が足りなくて結論まで書き終わらなかった」では、大幅減点は避けられません。何があっても最後まで書き切ることを目指しましょう。

採点は内容・構成・語彙・文法の4つの観点から行われます。

私の体感ですが、採点基準はそれほど厳しくありません。よほどの論理の逸脱や文の未完成といった致命的なミスを犯さないかぎり、多少の減点はあっても、不合格になることはないと思っています。

大幅減点となる避けたいミスの例

  • 賛成・反対を明確にしていない
  • 2つのポイントが入っていない
  • 論理が破綻している
  • 序論・本論・結論の型ができていない

英検のライティングは決して難しくありません。数をこなして、自信をつけておきましょう。

英検準1級リスニングの対策・勉強法

英検準1級のリスニングは3部構成で、所要時間は約30分です。音声は1度しか流れません。

英検準1級リスニングテスト概要

形式 問題数 音声内容
会話の内容一致選択 12 100語前後のやり取り
(友人同士の雑談・買い物のやりとりなど)
文の内容一致選択 12 150語前後の英文
(雑誌コラム・新聞記事など)
リアルライフ形式の内容一致選択 5 100語前後の英文
(館内放送・交通情報・自動音声案内など)

リスニング力アップには、シャドーイングがおすすめです。

シャドーイングは、耳から聞こえてくる英語音声を影=シャドーのように追いかけて、自分で発話していく訓練法です。

英語検定協会のホームページに公開されている、過去3回分のリスニング音源を使ってチャレンジしてみましょう。このときは問題文を解く必要はありません。

過去問以外で、英検準1級のリスニング教材として個人的におすすめするのは、これまでに再三登場している「文で覚える単熟語(英検準1級)」です。

パソコンから音声データをダウンロードするか、旺文社公式アプリ「英語の友」を使用すると、英語音声を聞くことができます。

いきなりシャドーイングは難しい、という方はまず、英文原稿を目で追いながら音声を聞いてみてください。

次に、音声を聞きながら英文を音読するオーバーラッピングをしてみましょう。

音声と同じリズムで、テンポよく読めるようになったら、いよいよシャドーイングに挑戦です。耳から聞こえてくる英語に集中し、聞こえたままを口に出していきましょう。

thとs、rとlといった細かい発音は、ここでは意識する必要はありません。英語らしいリズムを再現すること、そして英語の内容をしっかり把握できることが最優先です。

「もっとリスニングの特訓をしたい!」「とことんまで極めたい!」という方は、ディクテーションをおすすめします。

ディクテーションとは、英語音声の書き取り訓練法のこと。英語音声を流し、聞き取れた文をそのまま英語で書き起こしていきます。

ディクテーションを行う際は、単語のスペルまで正確にするのが基本です。つまり「thとs」「rとl」といった細かい発音も聞き分け、正確に書き起こすことが求められます。

LinLin

ディクテーションはリスニング力アップに非常に効果がある一方で、やりきるまでに膨大な時間がかかります。ストイックな勉強法であり、万人向けではありませんが、ご興味ある方は一度チャレンジしてみてくださいね。

英検準1級二次試験(面接形式のスピーキングテスト)対策

無事に一次試験を突破すると、いよいよ二次試験です。従来型の場合は対面の面接形式、S-CBTでは一次試験と同日にコンピューターのヘッドセットとマイクを用いて録音形式で行います。

日本英語検定協会のホームページにある「英検バーチャル二次試験 準1級」に、二次試験の流れを説明した動画があるので必ず受験前に確認しておきましょう。

英検準1級のスピーキングでは、問題カードが与えられ、まず2分間で4コマのイラストのナレーションを行います。

準備時間が1分間与えられるので、この時間を使ってストーリーの流れを把握します。

話し始めの最初の文章は指定されているので、必ず指定の文章を使いましょう。分量は1コマにつき、2~3文で充分です。ナレーションの配点は約4割です。

その後、面接官から4つの質問がされます。

面接官からの質問

No.1 イラストに関連した質問「あなたがこの人だったらどう思うか?」
No.2&3 問題カードのトピックに関する質問(No.2以降、問題カードは裏返す)
No.4 問題カードのトピックから派生した、社会性のある内容に関する質問

4問とも受験者自身の意見を求められます。意見を言ったあとは、言いっぱなしにせず必ず理由や具体例を足して2~3文で答えるようにします。

2024年のリニューアルで、No.4の質問に話題導入文が追加されました。これにより面接官が「最近はこういうことが話題になっていますが」と、これからする質問の背景を説明する1文を必ず追加してくれるようになったのです。

受験者としては、質問に答えやすくなるので喜ばしい改訂ですね。

質疑応答の配点は約5割。残りの配点はアティテュード(態度)です。

スピーキング対策に効果的なのは、英検頻出テーマごとのキーワードのチェックです。「文で覚える単熟語」で確認しておきましょう。

イラストのナレーションは、目に入ったことをそのまま言葉にしていけばよいので、抽象的な概念を伝えることに比べると、実はそれほど難しくありません。苦手意識のある人は、日頃から、目に入ったものを2~3文程度で説明する練習をしておくと良いでしょう。

英検準1級二次試験の合格率は現在公表されていませんが、かつては「8割前後」というのが通説でしたので、現在も大きな変化はないと考えられます。

一次試験を突破した受験者であれば「よほどのことがないかぎり」落ちることはないでしょう。「よほどのこと」には以下のようなことが挙げられます。

二次試験に落ちる原因

  • 沈黙してしまう
  • 質問に答えていない
  • 意見のみを言って、理由や具体例を面接官に促されても一切言わない

目の前に面接官がいると緊張してしまう、という方は従来型ではなくS-CBTで受験するのも一案ですね。

リラックスして、英語でのやり取りを楽しめれば大丈夫。合格できます。

英検準1級の直前対策!試験1か月前から前日までにするべきこと

英検準1級の受験日まで1か月と迫ったとき、直前対策として何をするべきか紹介します。

英検準1級の直前対策

  • 過去問を解いて現状把握をする
  • 時間を計って英文を読む
  • ライティングの型を確認しておく
  • 過去問のリスニング音源をシャドーイングする
  • 1週間前~時間配分を意識して予想問題を解く

過去問を解いて現状把握をする

「今更?」と思われるかもしれませんが、過去問を1セット解いてみましょう。時間も計り、本番通りに解いて自己採点をします。

ライティングも、可能であれば身近にいる英語がわかる人に「論理が整っているか」という観点でチェックしてもらえると安心です。もし難しい場合は、模範解答と比較しておくだけでもこの際OKです。

ライティング以外のリーディングとリスニングの正答率をチェックしましょう。試験1か月前の時点で、もし全体で正答率5割に満たない場合は、残念ながら合格は遠いと覚悟しましょう。

一部は正答率8割あるが、一部は5割程度という場合。残り1か月で強化すべきは、この5割の分野です。本番までになんとか6割はとれるように、集中的に強化していけば合格の可能性は高まります。最後まであきらめずに頑張りましょう。

時間を計って英文を読む

試験直前期にぜひ取り組んでほしいのが、時間を計って英文を読むことです。本番では長いもので500語前後ある文章を読みます。いかに素早く内容を読み取るか、は合格への重要なカギとなります。

ストップウォッチで計測しながら「1分間でどこまで読み取れるか」チャレンジするのもよいですし、「音読するのに何分かかるか」を計測しておき、次からどんどん短い時間で音読できるようにタイムを縮めていくのも、ゲーム感覚でできるトレーニングとしておすすめです。

英文は、読めば読むほど力になります。毎日読むことを習慣づけましょう。

ライティングの型を確認しておく

英作文ライティングは自己採点が難しいので、「この答案で合格できるかな?」と直前期に不安に思われる方も多いかもしれません。

繰り返しますが、英検のライティングの採点基準はかなり甘めです。型どおりに英文をあてはめ、論理展開に矛盾なく、最後まで書き切ることができれば少なくとも「不合格」はないでしょう。

難解単語や、複雑な文法構造を無理して使おうとせず、「小学生でもわかるくらいシンプルに」を心がけてください。

まず、問題文をよく読んで話の道筋をつけること。次に定型の書き出し文を押さえること。

定型の書き出し文

序論 In my opinion…
本論 First,… Second,…
結論 In conclusion…

この2つができれば大丈夫です。過去問や予想問題で練習しておきましょう。

要約は、リーディング対策でカバーできます。

過去問のリスニング音源をシャドーイングする

英語検定協会のホームページにある、過去問のリスニング音源のシャドーイング(耳から聞こえた通りに復唱する訓練)を試験本番までに1回はしておきましょう。すでに解いたことのある問題でも大丈夫です。

英検準1級のリスニングは1度しか放送されません。どれほどリスニング力に自信があっても、聞き逃してしまえばアウトです。

問題を解く必要はありません。音源をしっかり「耳を澄まして聴く」「集中して聴く」ことに専念しましょう。

1週間前~時間配分を意識して予想問題を解く

いよいよ試験1週間前になったら、もう一度過去問、または予想問題(初見のもの)を解きましょう。今回は正答率ではなく、時間配分を気にしましょう。

筆記試験は90分ありますが、時間的にはかなりタイトです。

必ず時間を確保すべきなのは、英作文です。英作文はとにかく書き切れさえすれば得点できますが、途中のままや、ましてや手つかずの状態では大幅減点、最悪の場合0点になります。

2つの課題をこなすためにはそれぞれ最低でも20分、合計40分は確保したいところ。

次に時間が必要なのが、大問2と3の長文読解問題です。ここも40分は欲しいです。

そうなると、残りは10分。この10分で大問1を解き、見直しをする必要があります。

時間配分のポイント

  • 大問1はトップスピードでやる わからなければ考え込まないでとばす
  • 試験時間残り40分になったら、途中でも英作文にとりかかる
  • もし時間があまったら大問2と3の見直し
  • それでも時間があまったらリスニング問題を先読みしておく
LinLin

ここまでできれば大丈夫!前日はしっかり睡眠をとり、体調を整えて臨んでくださいね。

英検準1級の勉強法や試験対策についてよくある質問

英検準1級に受かるための勉強時間の目安ってどれくらいですか?
英検2級がCEFR換算でB1だとすると、準1級はB2レベルになります。
B1からB2に上がるのに必要とされる勉強時間は、100~150時間程度というのがケンブリッジ大学英語検定機構の見解です。(Cambridge English Support Site
元の英語力にもよるので一概には言えませんが、1日3時間ほど英語学習にかけられれば、1か月程度で合格することも可能だと言えますね。
英検準1級対策におすすめの問題集や教材が知りたいです。
まずは公式ホームページに上がっている過去問をやりましょう。解答も音源もついているので時間を計測し、本番同様に取り組みます。過去3回分が掲載されています。
長文読解問題は、全く同じ文章が出題されることは考えにくいですが、大問1に関しては選択肢に挙がっていた単語が次の試験で出題されるのは、よくあることです。選択肢も含めて、大問1を丁寧に復習しておきましょう。
過去問以外でおすすめなのは、本文中でも触れましたが、私は旺文社の「文で覚える単熟語」が質・量ともにもっとも優れていると思っています。
さらに各出版社が出している「英検予想問題」に取り組むと、当日の時間配分も身につき最良の形で実力が発揮できるはずです。
英検準1級対策におすすめの通信講座やオンライン英会話はありますか。
もし英検準1級対策で講座を受講するのであれば、「ライティングの添削」や「二次試験対策」といった第三者の視点から評価してもらえる講座やサービスを選ぶことをおすすめします。
英検対策講座を選ぶ際は、英検準1級に対応しているか確認するようにしましょう。英検対策におすすめのオンライン英会話は別記事で詳しく紹介しているので、参考にしてください。
なお、日本英語検定協会が実施している「実用英語講座 準1級クラス」という通信講座もありますが、こちらについては必ずしも受講する必要はないと思います。公式にも「英検の試験対策を目的とした講座ではありません」と書かれており、英検準1級レベルの人向けの英語学習講座という位置づけのようです。

【まとめ】集中的に対策をして英検準1級に合格しよう

この記事では、英検準1級対策として効果的な勉強法やおすすめの教材についてお伝えしてきました。

私自身の経験と、子どもの受験を通して得た最新の受験情報を織り交ぜて紹介したので、これから英検準1級合格を目指す、という方にお役立ていただけますと幸いです。

英検対策は、長い時間をかけてやるものではありません。1か月なら1か月、3か月なら3か月と期間を区切り、短期集中で一気に対策をしていく方が学習効率は高くなります。

一発合格目指して頑張りましょう!