英語できないのに海外赴任が決まった

「海外赴任が決まったけれど自分の英語力が足りているのか不安……」

日本を出て海外で暮らしながら仕事をする海外駐在員、と聞くと「並外れて英語が堪能な人」を想像される方が多いのではないでしょうか。

そのイメージが強いと、いざ自分が海外赴任を打診されたとき「自分の英語力で大丈夫なのかな?」と不安になる方もいるかもしれません。

この記事では、海外赴任の際に求められる英語力とは具体的にどういうものかを考えながら、赴任前からできる準備、そして赴任後に現地でできる英語力アップの方法についてお伝えします。

実際に海外で仕事をしている駐在員のなかにも「実は英語があまりできない」「英語に自信がない」という人はたくさんいます。

英語は仕事や生活をする上で必要となる、数あるツールのひとつに過ぎません。上手に使いこなして、自信をもって海外赴任にチャレンジしていきましょう。

執筆者:Lin
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小4までアメリカの現地校に通い、帰国後は「英語はネイティブ並みでしょう?」という周囲の誤解とプレッシャーゆえに、英語の勉強から遠ざかった過去あり。中途半端な英語力にコンプレックスを感じ、大人になってから再勉強。英検1級。ケンブリッジ英検CAE。TOEIC910点。さらに英語指導者(TEFL)や児童英語指導者(TEYL)の資格を持つ。プロフィールの詳細はこちら

目次

海外赴任で求められる英語力のレベルってどれくらい?

日本語を話す人が極端に少ない海外で仕事をする場合、英語力は高ければ高いほど、仕事も生活もしやすいでしょう。

この場合の英語力とは、「難しい単語をいくつ知っているか」といった英語の知識量ではありません。

「その場にふさわしい言葉選びができるか」「相手の言っていることが的確に把握できるか」といった英語でのコミュニケーション力を意味します。

では最低限求められる英語レベルはどれくらいなのでしょうか。

一般企業の海外派遣基準としてよく聞くのは「TOEIC850点程度」、CEFR基準で言えばB2レベル程度です。

英語試験スコアの比較

現実問題として、B2レベルを保持していないと就労ビザがおりない国もあるので「非日本語圏で仕事をして生活する」にはCEFR B2が最低ラインだと考えてよさそうです。

しかし最近のヨーロッパの学生は、在学中にCEFR C1・C2を取得するのが一般的なので、将来的に彼らと一緒に仕事をすることを考えると、同等の英語力があるに超したことはないでしょう。

とはいえ求められる英語力は当然、職場環境と業務内容にもよります。スタッフは日本から派遣された駐在員だけで、オフィス内はすべて日本語という環境であれば、英語力が低くても日々の業務は回るかもしれません。

また、現地スタッフに日本語が話せるバイリンガル人材がいるかどうかも大きな違いです。日常の困りごと、家族に関するサポートも含めて相談に乗ってもらえる可能性が高まります。

一方、職場でも家の近所でも「日本人は自分だけ」という環境の場合。これは自力で切り開いていくしかありません。

はじめのうちは苦しいかもしれませんが、英語力は否が応でも身についていくでしょう。

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前任者などに、赴任先の職場環境と業務内容を確認しておくと安心です。

英語ができないまま海外赴任をして困ること5選

英語がまったくできないまま海外赴任になると、仕事・生活両面において厳しい状況を覚悟しなければなりません。

具体的にどのような困りごとが出てくるか、見ていきましょう。

英語できない人が海外赴任で困ること

  • 現地の部下や同僚とコミュニケーションが取れず業務に支障が出る
  • 商談相手とのコミュニケーションが取れずビジネスチャンスを逃す
  • 会議などで意見が言えず、評価されない
  • 現地到着後、生活基盤を築くのに苦労する
  • 災害や病気といった緊急時に対応が遅れる

現地の部下や同僚とコミュニケーションが取れず業務に支障が出る

業務内容にもよりますが、多くの「仕事」は自分以外の社内スタッフとの連携作業が発生します。

相手が日本語を話せる人であれば問題はないのですが、海外ともなるとその可能性は低くなります。

交通費精算や休暇届けといった些末な事務処理程度であっても、相手と適切なコミュニケーションが取れないことでミスや面倒ごとも増え、本来業務にも支障がでくるでしょう。

商談相手とのコミュニケーションが取れずビジネスチャンスを逃す

取引先との関係を構築していくにあたり、言葉が片言ではなかなか相手からの信頼は得られません。

意図せず不快な思いをさせてしまったり、誤解を生んでしまったり、英語力が原因でトラブルを呼び起こしてしまうのは、双方にとって不利益を生んでしまいます。

会議などで意見が言えず、評価されない

適切な内容の発言を、適切なタイミングで英語でするのはハードルが高いものですが、これができなければ「その場にいなくてもよい人間」とみなされ、評価されません。

日本人の感覚からすると「黙って聞いている」のはときに美徳でもありますが、英語圏ではただの「何も考えていない人」「プロジェクトに参加していない人」になってしまいます。

現地到着後、生活基盤を築くのに苦労する

仕事だけをしに行く出張とは違い、現地生活を伴う海外赴任の場合は「生活の立ち上げ」が必要です。

住民登録、運転免許証の発行、子どもの学校関連など、こなさなければならない事務手続きは数多くあります。苦手な英語でそのすべてを処理するのは、大変な苦労を伴います。

また、赴任する国にもよりますが、日本と同レベルの事務サービスはなかなか受けられないと思っていた方が良いでしょう。

「何度も同じ用件で役所に出向かされる」「約束した日時が守られない」など海外ではよくある話し。そのたびにしっかり自己主張できるだけの英語力がないと、対応がどんどん後回しにされ我慢を強いられてしまいます。

災害や病気といった緊急時に対応が遅れる

緊急時に英語が不自由で困ることは、情報収集が遅れることです。

テロや災害などはいつ起こるかわかりません。有事の際は日本大使館から在留邦人向けに日本語の情報がでますが、現地メディアなどが伝える英語の情報の方が速いのは確かです。

また自分自身や家族の病気やケガも、起きるときは突然です。状況を的確に伝え、相手の指示を正しく理解できなければ、自分や家族の命に関わる事態も招きかねません。

英語ができない人が海外赴任までにしておくべき英語対策

海外赴任をするにあたって、仕事・生活両面において英語はできるに超したことはありません。

赴任までまだ期間がある人は今から準備ができますが、あまり時間がない方もいるでしょう。

ここでは赴任まで時間がない場合、何から手をつければ良いのか考えていきます。ポイントをおさえて、効率よく対策を進めていきましょう 。

4技能のうち最優先するべきなのはリスニング

「読む」「書く」「聞く」「話す」の4技能のうち、もっとも優先すべきは「聞く」のリスニング力アップです。

その理由は2つあります。ひとつは相手の話す内容が聞き取れなければ、コミュニケーションが成立しないという点。

そしてもうひとつは、リスニング力はやり方次第で短期間で急激に上がる、という点です。

赴任までの時間が限られている場合、リスニング力強化に注力するのがもっとも効率的です。

リスニング力強化のためには英語音声を聞き、聞こえた通りに復唱していくシャドーイングが効果的。

シャドーイングの基本的なやり方

おすすめの教材は、赴任先が英語圏であれば現地のローカルラジオです。現地の英語アクセントや地元情報にも触れられるので、赴任後の生活の助けにもなるはずです。

現地ラジオはまだハードルが高い、という場合は英語学習者向けリスニング教材を活用するのも良いでしょう。

スクリプト=原稿がついているので、音声と同時に原稿を音読するオーバーラッピングの練習ができます。シャドーイングの準備段階として取り入れてみて下さい。

オーバーラッピングの基本的なやり方

ただし、英語学習者向けリスニング教材「だけ」では海外赴任生活に耐えうるリスニング力はつかないのが現実です。

ほとんどの場合、赴任後に「周りの人の英語が全然聞き取れない!」と困惑する事態に陥ります。

その理由は、教材の音声が「正しすぎる」から。多くの教材がアナウンサーやナレーターといった「英語を話すプロ」による音声を使用しています。

残念ながら彼らのように正確かつ美しい発音で英語を話す人に、実生活で出会うことはほとんどありません。

教材「だけ」を使って勉強していると、聞き取れるのは「プロの話す正しい英語だけ」になってしまうのです。

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教材を使うのはあくまでウォーミングアップとして。慣れてきたら一般人が登場するトークショーなどをたくさん聞いてみると、「普通の人の英語」も徐々に聞き取れるように必ずなります。

英語学習アプリでスキマ時間を有効活用

忙しい社会人が英語の勉強を続けるには、スキマ時間の有効活用が欠かせません。

英語学習アプリを利用すれば、通勤途中やちょっとした待ち時間などを学習時間にあてることができます。

アプリを使った勉強法で特におすすめしたいのは、ビジネス上の定型表現をインプットすることです。

「プレゼン」「ミーティング」といった実際にありうるシーンを想定した決まり文句を確認しておきましょう。

ビジネス英語は定型表現が多いので、パターンさえ身についてしまえばあとは単語や数字を入れ替えるだけで実際のコミュニケーションでもすぐに「使える」ようになります。

おすすめ英会話アプリ

特徴 料金 対応OS 詳細
トーキングマラソン
体験談
・語学サービス会社「アルク」のアプリ
・日本語を瞬時に英語にする「クイックレスポンス」のトレーニング
月額4,378円 iPhone(iOS)
Android(Google Play)
シャドテン体験談 ・シャドーイング特化型のアプリ
・ビジネス英語のプロによる音声添削
・LINEでのチャットサポート
月額21,780円 iPhone(iOS)
Android(Google Play)
レシピー体験談 ・リスニング、スピーキング、リーディング、ライティング、単語学習、文法学習の6技能の学習をサポート
・AIが毎日の学習カリキュラムを提案(MY Recipe)
Standard 月額3,600円(契約期間3ヶ月~) iPhone(iOS)
Android(Google Play)
ディアトーク ・AI講師から毎日15分の英会話レッスンが受けられるAI英会話アプリ
・レッスン予約不要、余計な気遣い不要だから続けやすい
年間プラン39,400円(月あたり3,283円) iPhone(iOS)
Android(Google Play)
スピフル ・ビジネス英会話に特化した口頭英作文と独り言英会話のトレーニング
・AIが瞬時に添削してくれる
12ヶ月プラン45,980円(月あたり3,831円) iPhone(iOS)
※ Androidは現在準備中。ブラウザで利用可能。

※ 料金はすべて税込です。

シンプルな英単語を組み合わせたビジネス英語表現を学ぶ

語彙力も円滑なコミュニケーションのためには重要です。

だからといって大学受験のときに使ったような「入試頻出単語集」を丸暗記していくのはまったくおすすめしません。

受験用の教材はあくまで入学試験対策用です。市販の単語集を用意する場合は、必ず「ビジネス用」を選びましょう。

同時通訳者が教える ビジネスパーソンの英単語帳 エッセンシャル

こちらの単語帳は、中学校で習うレベルのシンプルな単語を組み合わせた「使える」ビジネス英語表現がたくさん紹介されています。

英語コーチングサービスを利用して学習習慣を身につけておく

赴任まで日がない場合、短期集中型の英会話スクールや、英語コーチングサービスを利用するのもひとつの手段です。コーチングサービスでは、トレーナーが受講者の1週間のスケジュールをヒアリングし、「どの時間に、どの勉強を、どうやるか」細かく管理・指導してくれます。

赴任前の準備に忙殺され、英語の対策が後回しになってしまう不安を抱える方には強い味方となってくれるでしょう。

はじめはトレーナーの指示通りに学習をこなすのが精一杯だとしても、慣れていくうちに自分なりの勉強計画の立て方や勉強方法も身についていきます。

このようにして身についた「英語学習の仕方」は、赴任後やその先、生涯において英語学習を続けていく上で役立つスキルとなるはずです。

短期集中おすすめ英語コーチング

特徴 人気プラン・料金 海外受講 詳細
プログリット体験談 アプリで教材がすべて揃う
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トライズ スピーキング本科は3ヶ月プランあり
全額返金保証や無料1ヶ月延長保証など保証制度が充実
スピーキング本科(12ヶ月)986,100円~ 可能

ビジネス文書を効率よく「書く」ためのひな型を用意しておく

実は、英語ができない人がもっとも苦労するのが「書く」ことです。

「英語は苦手だから話したり聞いたりは難しいけれど、読み書きは大丈夫」と自称する人がよくいますが、そのような事態はあり得ません。

本当の意味で「読む」「書く」が充分にできているならば、「話す」「聞く」ができないわけがありません。

非常に酷な言い方ですが、現状で「話す」「聞く」が満足にできないということは、つまり「読む」「書く」もまったく能力として足りていないのです。

まずこの「書く能力が足りていない」という現実を踏まえた上で、どうすれば仕事を乗り切れるかを考える必要があります。

ビジネスシーンでは正式な文書のやりとりが発生するのが一般的です。業務内容にもよりますが、多くの場合仕事をする上で「書く」ことからは逃れられないと覚悟しておく方が良いでしょう。

この場合はメールでも、レターでも、とにかく「ひな型」を用意しておくことが重要です。

間違っても「英語の勉強になるから」と1から書き始めてはいけません。恐ろしく膨大な時間がかかり、結果的に仕事が滞ってしまいます。

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仕事中は英語のハンデを最小限におさえるべく、省ける手間は徹底的に省くことが絶対です。社内ですでに回っている文書や、前任者や取引先とのメールなど、使えそうな文書のひな型のストックを日本にいるうちから蓄えておきましょう。

英語ができない人は海外赴任後も英語学習を継続しよう

多少英語ができなくても、海外に行けば急に英語に不自由しなくなる、ということは残念ながら起きません(そうだったら良いのですが……)。

相応の英語力を身につけるには、現地赴任後も勉強を継続する必要があります。現地でできる英語学習方法を考えていきましょう。

周りの人の英語をどんどん真似して使う

英語の学習環境としてみれば、海外に滞在していることは大きなメリットです。

日本語を話す人が極端に少なく、否が応でも英語(もしくはそれ以外の言語)を話さなければならないからです。

英語の学習は、先生の講義を聴いて、練習問題を解くばかりではありません。

そのようなことよりも、実際に話されている英語や書かれている英語をどんどん吸収し、どんどん真似て、自分で使ってみることを繰り返す方が英語力は上がります。

自分以外の人の使う英語(できれば英語ネイティブ)に注意を払い、「そうか、そういう言い方をするのか」と貪欲に学んでいく姿勢を大切にしましょう。

LinLin

継続することで急激に英語力が上がりますよ。

現地メディアのコンテンツを英語学習教材として活用

地元メディアが提供するコンテンツは、最良の英語教材になります。

時代に合った英語表現が身につくだけでなく、時事ネタも仕入れられることで、会話の引き出しが着実に増えます。英語力と、コミュニケーション力の双方をカバーできるのです。

おすすめは「聴く」ことに集中できるラジオですが、テレビは画面上に英語字幕を映せるメリットがあります。

ドラマやリアリティーショーなど、楽しみながら「今どき」の英語を身につけていきましょう。

「週末こんな面白いテレビを観たよ」とオフィスで話題にできるようになれば、同僚とのコミュニケーションも深められますね。

LinLin

イギリスBBCやアメリカNBCの公式サイトは、英語教材としておすすめです。

イギリスBBC 英国放送協会

イギリスBBC 英国放送協会

イギリスBBCの公式サイトでは、動画や写真つきで世界のニュースをリアルタイム発信しています。

アメリカNBC

アメリカNBC

アメリカNBCの公式サイトでは、アメリカのニュースを中心に情報を発信しています。

海外からでも受講できるオンライン英会話やコーチングがおすすめ

オンライン英会話やコーチングは、時差の問題さえクリアできれば海外居住者にも対応しているところがあります。

理想的なのは、日本語・英語のバイリンガル講師によるレッスンです。

さらに日本と現地、両方でビジネス経験がある講師ですと「こういう場合はどう言えば伝わりやすいか?」「日本人が間違えやすい表現」なども的確に教えてもらえるでしょう。

ただの暇つぶしのおしゃべり、ではなく「交渉」「プレゼン」など具体的なビジネスシーンを意識したレッスンが受けられると非常に効果的です。

英日バイリンガルではない、英語ネイティブ講師は、赴任地で探す方が割安でしょう。わざわざ日本を経由してオンラインレッスンをする必要性はありません。

バイリンガル講師が在籍しているオンライン英会話

特徴 人気プラン・料金 海外受講 無料体験 詳細
ネイティブキャンプ体験談 職歴や講師歴で講師が選べる プレミアムプラン 月額7,480円 可能 7日間無制限でレッスン受け放題
レアジョブ英会話
体験談
日本人講師も無料体験可能 毎日25分 7,980円 可能 体験レッスン2回
ポリグロッツ
インタビュー
アプリ・コーチング・英会話レッスンがセットに 3ヶ月成果保証プラン 495,000円 可能 無料カウンセリング(45分)
エイゴックス 会社の英語資料チェックや、プレゼンの練習もできる ポイント定期プラン800 9,900円 可能 体験レッスン1回

※料金はすべて税込みです。

※予約表記は日本時間となります。時差に注意してご利用下さい。

英語ができなくても最低限知っておきたい現地のこと

海外生活をする上で言葉を自由に操れることは大切ですが、言葉さえできれば良いわけではありません。

言葉のほかにも海外生活を円滑に進めるために身につけておきたいこと、知っておきたいことをお伝えします。

現地のビジネスマナー

現地には現地の習慣があり、マナーがあります。

「日本とは違う」と面食らうことも多いかもしれませんが、「ここではこれがあたりまえ」と1日でも早く受け入れてしまう方がストレスなく現地になじめます。

例えば、日本のビジネスでは初対面の名刺交換が非常に重視されます。

名刺を交換し、頂いた名刺に書かれていることを確認、名刺入れを座布団代わりにして名刺を乗せ、会議中は机の上においておくのが一般的なマナーです。

アメリカでも名刺(ビジネスカード)はあるものの、それは「単に連絡先が書かれたカード」と捉えられます。

そのため、名刺を渡したのにぞんざいに扱われたり、名刺をメモ代わりに使われたりして驚いた、という声をよく聞きます。

アメリカと日本のビジネスマナーの違い(名刺)

名刺をぞんざいに扱われたからといって、相手の気分が悪いとかそういう意味ではないので、気にしすぎないようにしましょう。

アメリカでは初対面のときに握手をして、相手の顔をしっかり見て挨拶するのが一般的です。

照れ屋な日本人のビジネスパーソンは、目をそらしがちですが、「目を合わせる=自信の証」にもなります。

現地のビジネスマナーを理解し、それに合わせてしっかり挨拶するように心がけましょう。

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現地の詳しいビジネスマナーについては、前任者や他の駐在員などに聞いておくと良いですよ。

現地の文化や風習

ビジネスマナー同様、文化や風習も「日本とは違う」ことはたくさんあるでしょう。

一度にすべてを理解する必要はありません。ひとつひとつの文化や風習に、関心と敬意をもって接していけば、時間と共に自然に受け入れられるようになります。

現地駐在の日本人と交流する方法

日本人のコミュニティは世界各地にあります。大きくは、現地人の配偶者をもつ永住組と、期間限定の滞在が前提の留学・駐在組に分かれますが、両者が混在しているコミュニティもよくあります。

大都市になると、○○県人会や○○大学同窓会、といった共通の出身地や出身校などで集まり、職種を超えた独自の人脈を築き上げていることも。

日本で生活していたら出会わない人とも出会え、慣れない海外生活のなかで助け合い、心置きなく母語で語り合える、こうした場はありがたいものです。

現地の日本人向けサイトやSNSなどで、現地に在住している日本人を探してみましょう。帰国後も続くような出会いがあるかもしれません。

しかし一方で、海外の日本人コミュニティは人間関係が密になりすぎるためトラブルの元にもなりえます。

特に海外生活に帯同している家族が、日本人社会の人間関係に悩んでしまう話しはよく聞きます。

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日本人コミュニティには依存しすぎず、ちょうどよい距離感でお付き合いするのが理想的です。

海外赴任と英語に関するよくある質問

海外赴任に英語ができない妻と子どもを連れて行くのは、リスクが大きいでしょうか。
家族を帯同しての海外赴任は配偶者の英語力よりも、性格を考慮した上で検討することをおすすめします。好奇心旺盛で、文化や考え方の違いを楽しめるタイプの方は比較的安心です。言葉のハンデなどものともせずに、海外生活を謳歌する方は大勢います。
逆に完璧主義で心配性なタイプの方は、どれほど語学力が高くても現地の生活になじむのには少し時間がかかるかもしれません。家や子どものことなどを配偶者に任せきりにせず、細やかなフォローを通じてしっかりサポートしてあげましょう。
子どもの場合は順応性が高いため、大人とは比較にならないスピードで新しい環境になじみます。しかし「早くなじむ」からといって、ストレスを感じないわけではありません。知り合いがまったくいない、言葉が通じない環境はどれほど幼い子どもであっても不安を感じます。また外見の違い、文化風習の違いから「異質なもの」とされ、周囲から排除されることも子ども社会では珍しいことではありません。
「子どもはすぐになじむ」と過信して放置するのは少し危険です。「給食がおいしい」「優しい先生がいる」など、小さなことでも「ちょっと楽しいこと」を日常のなかに見つけられるように、親も寄り添ってあげられると良いですね。
慣れない土地での生活は決して楽なものではありません。それは大人も、子どもも、同じです。「日本にいればこんなことはなかったのに」と辛く感じることも一度や二度ではないでしょう。
でも同じように「日本にいればできない素晴らしいこと」を家族で経験できる大きなチャンスでもあります。長い人生のほんの数年。家族で新しい環境に飛び込んでみるのも意義深いことではないでしょうか。私自身もこれまでに、子どもとして、配偶者として、海外駐在に二度帯同し苦労もありましたが、今では「どちらも行ってよかった」と思っています。
1年ほど駐在していたら、特に勉強しなくても自然と英語力は身につきますか。
1年ほど英語圏で駐在生活をしていれば、特別に勉強をしなくてもスーパーで買い物をする、飲食店で注文する、公共交通機関を利用するといった日常生活に困らない程度には英語力が身につくでしょう。ただし、その先は本人の努力次第です。意識的に新しい表現を学んでいかない限り、何年駐在していても日常会話力以上の英語力は決して身につきません。
帰国後は周囲から「海外赴任帰り=英語力が高い」と思われることは必至です。「海外駐在していたのにその程度の英語力なの?」と無駄に評価を下げてしまうのはもったいないですよね。海外生活の利点を生かして、駐在中に英語力は上げられるところまで上げておくと、今後のキャリアにも必ずプラスに働くでしょう。
英語ができない駐在員って結構いますか?自分だけ英語ができないと辛いなと思いまして。
実は結構います。その昔、私の父も英語は得意ではないのに、駐在員としてアメリカに派遣されました。「あんなに英語ができないのに、よく海外行ったな」と父本人も、子どもである私たちきょうだいも、いまだに笑い話のネタにするほどです。
父は英語力こそ同僚には劣っていたようですが、とにかく度胸のある人。どんな相手でも物怖じすることなく、持てる英語力を駆使して仕事をこなしていたと言います。もちろん周囲の方の助けがあってのことですし、父本人も恥ずかしい思いや悔しい思いもたくさんしたことは想像に難くないのですが、それでも卑屈にならずに駐在生活を全うしたことは素直に尊敬しています。
英語ができないことを言い訳にしていても何にもなりません。海外勤務を任される時点で、最低限の英語力はあるはずです。必要以上に卑下せず、前向きに努力を重ねていれば必ず英語力はついてきます。

【まとめ】海外赴任に英語力は必要!でも必要なのは英語力だけではない

この記事では、海外赴任をする際に必要とされる英語力について、その詳しいレベルと勉強方法についてお伝えしました。

海外で生活する以上、英語力はどうしても必要とされます。でも必要なのは、英語力だけではありません。

日々多様な価値観に触れ、これまで自分があたりまえだと思っていたものがひっくり返るような経験を数え切れないほどしていくなかで、「忍耐力」や「頑張る力」が問われることも多いでしょう。

しかし海外生活をする上でもっとも大切なのは、ときには「まあいいか」と受け流すことのできる「鈍感力」であり、どんなことでも「面白いなあ」と「前向きに楽しむ力」なのではないかと、私は自身の経験から思っています。

英語力は、日々を乗り切るのに必要なたくさんの「力」のひとつに過ぎません。効率よくアップさせて、自信をもって海外赴任にチャレンジしていきましょう!